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今日は何の日?■ミゼットIIのパネルバン「ミゼットIIカーゴ」を追加

1997(平成9)年1月10日、ダイハツは前年にデビューした1人乗り超小型軽トラ「ミゼットII(MT仕様)」に、新たに小型荷室を備えた「ミゼットIIカーゴ」を追加した。初代ミゼットは1957年に登場し大ヒットした超小型の3輪軽トラック「ミゼット」だが、ミゼットIIは4輪となって、超小型で小回りの良い軽貨物車というコンセプトは受け継いだ。
“街のヘリコプター”と謳った超小型3輪車ミゼット

戦後しばらく一般市民の物流を担ったのは、安価で製造が容易な3輪トラックだったが、徐々に性能や乗り心地、静粛性に優れる4輪トラックが台頭し、1950年代半ばには4輪トラックが主役の座に着いた。

3輪車は市場から徐々に消えていくことになったが、そのような中で1957年8月にダイハツの「ミゼット」が発売された。当時はまだ、庶民の生活必需品や食料品の運搬・配達は、リヤカー付きの自転車やバイクが主流だったが、運べる量が限られていた。これに目を付けたダイハツが、“街のヘリコプター”というユニークなキャッチコピーで市場に放ったのがミゼットなのだ。
ミゼットのサイズは、全長2535mm×全幅1200mmで1人乗り、荷室は長さ1.2m、幅1.0m、深さ0.4mほどで、積載量は300kg、エンジンは249cc(その後、360cc)空冷単気筒2ストロークエンジンで、最高出力10ps/最大トルク2.0kgmを発揮した。ミゼットは街中の運送や農家の手足として重宝され、爆発的なヒットを記録、ミゼットはこの種の超小型3輪トラックの一般名称として定着するまでになった。

その後、ミゼットは海外での需要も増え、バリエーションを増やしながら進化した。しかし、ブームは数年で終わり、1960年代に入ると走行安定性に優れた4輪の軽トラックブームへと流れが変わってしまい、1972年に販売を終えた。
復活したミゼットIIも1人乗り超小型軽トラック

ミゼットの販売終了から24年経った1996年4月に登場したのが、「ミゼットII」だ。8代目「ハイゼット」のラダーフレームやシャシーを流用しながら、丸型ヘッドライトやフロントサイクルフェンダーをボディの外側に張り出させた初代と同じコンセプトの超小型トラックである。

ボディサイズは、初代譲りの全長2790~2865mm×全幅1295mm×全高650mmの最小サイズで、基本的には1人乗りで積載量は150kg、最小回転半径も3.6mと小回りが効き、スペアタイヤをフロントに装着したユニークなデザインが特徴だった。
エンジン排気量が初代の360ccから660ccへ拡大され、パワートレインは最高出力3ps/最大トルク5.1kgmを発揮する直3 SOHCエンジンと4速MTの組み合わせ。駆動方式はフロントミッドシップのFRである。

車両価格は46.9万~59.9万円で扱いやすく便利な超小型の軽トラだったが、1人乗りで積載量が150kgと用途が限られていたためヒットモデルとはならなかった。とは言え、そのユニークなキャラクターには根強いファンがいた。
ミゼットIIにカーゴと2人乗りAT車を追加

「ミゼットII」デビューの翌1997年1月のこの日、パネルバン「ミゼットIIカーゴ(1人乗り、2人乗り)」と、ミゼットIIに2人乗りとAT車が追加された。
ミゼットIIカーゴは、ミゼットIIをベースに荷台部にフロントキャビンと一体化した鋼板製の荷室を装備した超小型の軽トラである。荷室の前部に開口部を設けるとともに、2人乗りについては前倒れ式助手席シートが配置された。その他にも、リアワイパーや電磁式バックドアオープナー、ハイマウントストップランプが装備された。
ミゼットIIカーゴの価格は、標準グレードで62.2万円(1人乗り・4速MT)/70.7万円(2人乗り・3速AT)に設定。当時の大卒初任給は19.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約73万円/83万円に相当する。
また改良型ミゼットIIの2人乗りAT車については、コラム式3速ATとベンチシートの採用によって大人二人2が乗車できるように工夫された。
車両価格は、標準仕様で58.7万円(2人乗り・3速AT)。現在の価値では、69万円に相当する。
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ミゼットIIおよびカーゴは画期的で話題性もあったが、実用面で軽トラックに敵わず、徐々に台数が落ち込んで2001年6月に生産を終えた。初代ミゼットが売れた昭和30年代は、狭い道を走って少量の荷物を配送する超小型配送車の需要があったが、1990年代になるとそのような需要はなく、もっと荷物が運べる軽トラックが活躍し始めたのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
