BMW M3/M4並みの0-100km/h加速を誇るEVスポーツセダン

BYDシールは、全長4800×全幅1875×全高1460mmというボディサイズで、Dセグメントのミドルサイズ級に分類できる。2024年6月に日本に上陸して以来、初となるアップデートを2025年10月に受けている。

バッテリー容量82.56kWh(総電力量)をはじめ、RWDモデルの640km、AWDモデルの575kmという航続距離も変わっていない。AWDは、0-100km/h加速3.8秒をクリアし、2000万円級のスポーツカーに匹敵する加速性能を披露する。

BYDシールのリヤビュー

0-100km/h加速のスペックどおり、そして、モーター駆動らしくスタートから圧巻の加速を容易に引き出せるのは当然だが、BYDの特徴といえる回生ブレーキによる減速フィールは「High」にしても控えめだ。

パドルシフトやシフトレバーなどの回生レベルセレクターも備わらず、回生ブレーキ時の電動車両らしさは希薄だ。乗員の酔いを誘わなかったり、内燃機関からの乗り替えでも違和感はそれほどなかったりする利点はあるだろう。

2025年10月のアップデートの内容

マイナーチェンジを受けたBYDシール

マイナーチェンジの主な内容をおさらいすると、外観は新デザインの19インチアルミホイールをはじめ、レッドブレーキキャリパー(AWDモデルのみ)などが採用されている。

インテリアは、Dセグメントセダンにふさわしく、前後席ともにゆったりしたシートサイズを確保する一方で、後席の着座姿勢は少し独特だ。

フラットな床面を実現していて、後席は3人掛けも無理なくできそう。後席のフットスペースもかなり広いが、ヒール段差がやや低めということもあり、足を投げ出すような着座姿勢になる。

BYDシールのインテリア

また、前席下への足入れ性ももう少しで、窮屈ではないが、姿勢の自由度はそれなり。ミニバンやSUVなど、背高系パッケージングでアップライトな乗車姿勢のクルマからの乗り替えだと最初は少し戸惑うかもしれない。ただし、先述したように後席の足元空間は広く、今回のアップデートで電動サンシェードが標準化されたこともあり、室内の開放感が高まったのは朗報だ。

前席はシートサイズが大きく、横方向のゆとりも感じられる

そのほか、運転席にサングラスケースが備わり、冷却性能向上、空気清浄機の強化、静粛性向上が図られたエアコン性能向上もトピックス。ワイヤレス「CarPlay」、スマホがリモコンキーになる「デジタルNFCキー」にも対応し、利便性の向上が盛り込まれている。

AWDに採用された電子制御式サスペンション「DiSus-C」

走りのアップデートも図られていて、RWDモデルにも機械式油圧可変ダンパーの可変ダンピングアブソーバーが備わり、AWDモデルには新たに電子制御式サスペンションの「DiSus-C」が搭載された。

後席はヒール段差が低め

電制サスペンションの「DiSus-C」は、よりきめ細やかな減衰力制御が可能で、滑らかな乗り心地と高い操縦安定性を両立しているというのが謳い文句だ。

今回試乗したのはAWDモデルで、その直前にPHEVのSUVモデルである新型「SEALION(シーライオン)6」に乗ったこともあり、その違いもより明確に感じられた。なお、シーライオン6は、全長4775×全幅1890×全高1670mm、ホイールベース2765mmというサイズ。

シールの方が25mm長く、15mm狭く、210mmも低い。ホイールベースもシールの方が155mmも長く、スポーツセダンらしい低く、流れるようなスタンスが目を惹く。

マイナーチェンジ前に乗った印象では、AWDモデルの引き締まった乗り味が印象的だったが、電制サスペンションの「DiSus-C」が採用されてもその印象は大きくは変わらない。

BYDシールのリヤビュー

いままでのBYDの各モデルは、とくに乗り心地の面で、荒れた路面や低速域などの状況によっては粗さも感じさせことがあった。シーライオン6は、この点がかなり改善していて、十分なストローク感を抱かせる良好な乗り味を提供してくれる。快適性重視に振っているのは間違いないだろう。

一方のシール(AWDモデル)は、明らかにスポーツセダンらしい味付けで、路面状態が良ければ路面追従性の高さとフラットライド感を享受できる。一方で、路面に大きな凹凸やうねりなどがある荒れた路面では、上下動だけでなく、左右にも揺すぶられるような挙動を示す。

BYDシールのトランク。EVとは思えないほど床面が低く抑えられている

しかし、狭いワインディングを走らせると、謳い文句のとおり、操縦安定性との両立が図られているのも実感できる。アップデート前のやや曖昧だったライントレース性や大舵角を与えた際の旋回性の安定性も高まっている。 0-100km/h加速3.8秒級を誇る快速モデルは、アウディS8やBMW M3/M4などで、同4.1秒のポルシェ911カレラをも凌ぐ。

回生ブレーキの強弱はセンターディスプレイで行う

そう考えると、シール(AWD)の乗り心地は良好な部類に間違いなく入るし、572万円という価格(FWDは495万円)は、BYDらしい驚異的な価格破壊であることは間違いない。なお、シールは、2025年10月のマイナーチェンジで33万円の値下げを敢行して