AZURE
作業はすべてインハウス

1995年に「コンチネンタルR」をベースとするドロップヘッド・クーペとして誕生した「アズール」は、イタリアの名門カロッツェリアであるピニンファリーナで、オープン化のためのリデザインと設計が行われたボディを製造。それをイギリス・クルー本社へ送りアッセンブリーするという方法で生産が行われた。
しかしながらベースとなったコンチネンタルRの製造が終了したのに伴い、アズールの製造も2003年をもって終了。しばらくビッグ・クーペ&コンバーチブルの系譜は途絶えることとなった。そして2005年、ベントレーはロサンゼルス・オートショーでアルナージ・コンバーチブル・コンセプトを発表。それをそのまま市販モデルとした2代目アズールを同年のフランクフルト・ショーで発表する。
アズールのベースになったのは、フラッグシップ・サルーンの「アルナージ」だ。そのホイールベースは3116mmとアルナージと同寸だが、オープン化に伴いプラットフォームをカーボンファイバー製のアンダーフロア・クロスブレースで補強。そこにアルナージのイメージを踏襲しつつも、クリスピン・マーシュフィールドがデザインした全長5400mmの2ドアボディを架装することで、エレガントな2ドアコンバーチブルへと生まれ変わらせた。
2代目アズールの特徴は、それらの作業がすべてインハウスで行われたことだ。またソフトトップは耐候性に優れた3層構造の立派なもので、油圧式の電動開閉システムにより30秒で収納が可能。もちろんインテリアは惜しげもなく上質なレザーとウッドを使った贅を尽くしたもので、スイッチ類の配置やドライビングポジションなど最新の人間工学に基づいたレイアウトが行われているのも、初代との大きな相違点となっていた。
エンジンはフォルクスワーゲンとBMWの間で争われた買収劇によって再び脚光を浴びることになった6.75リッターV型8気筒OHVを大幅に改良したもので、アルナージ・シリーズ2と同じ新設計のブロック、シリンダーヘッド、吸排気バルブ、バルブギヤ、ボッシュ・モトロニックME7.1.1、2基のギャレット製T3ターボ・チャージャーを装着。その最高出力、最大トルクはアルナージTと同じ456PS、875Nmを発生していた。トランスミッションはZF製6HP-32の6速ATのみの設定。駆動方式はRWDで、車重2695kgながら最高速度270km/h、0-100km/h加速6.3秒を記録している。
最後のベントレー製ビッグコンバーチブル

そして2008年のロサンゼルス・オートショーでベントレーは、アズールのハイパフォーマンス・バージョンというべき「アズールT」を発表する。
外観ではフロントバンパー下部のル・マン・エアベント、ダークティンテッドの上下グリル、アルミニウム製のジュエル・フィラーキャップ、ボディ同色仕上げのドアミラーマウント、255/40 ZR20サイズのピレリPゼロと組み合わせた8.5J x 20インチ5本スポーク2ピースアルミホイールを装着。
ノーズに収まる6.75リッターV8OHVツインターボはターボチャージャーを三菱製に変更するとともにマネジメントシステムなどの改良を施したことで、最高出力507PS、最大トルク1000Nmと大幅にチューンナップ。その結果、最高速度288km/h、0-100km/h加速5.5秒という素晴らしいパフォーマンスを発揮することとなった。
その後、フラッグシップサルーンのミュルザンヌが登場した2010年をもってアズールの製造は終了。2014年にはミュルザンヌをベースとした2ドアコンバーチブルのコンセプトカーが発表されたものの、2019年にマリナーの手によってわずか19台が限られた顧客のために製造されただけに留まったため、実質的に2代目アズールが、現時点で最後のベントレー製ビッグコンバーチブルとなっている。

