1964年創立の老舗

Moto Parillaという名を聞いて、戦後のイタリアンモーターサイクル史を思い浮かべる者は少なくない。1946年にミラノでジョヴァンニ・パリッラによって創立され、独創的なエンジンとスタイリッシュな車体で人気を博したこのブランドは、1960年代の市場変化の波に飲まれ、約20年でその活動を終えた。しかしその名は長く語り継がれ、コレクターや愛好家の間で根強い支持を得てきた。こうした伝説的ブランドが、欧州で正式に復活を宣言した。
Moto Parillaは戦後イタリアのモーターサイクルシーンを象徴する存在だった。初期のモデルは250cc単気筒OHVから始まり、125ccや250ccを中心に多彩なモデルを展開した。革新的な設計と精緻な作り込みで評価を集める一方で、競争激化とコスト高騰によって1967年に生産を停止した過去を持つ。ブランド名は時代を越え、現在では電動アシスト自転車などの分野で細々と用いられていたが、このたびの発表は本格的なモーターサイクル市場への復帰を意味している。
復活にあたってParillaは、中国のLongjia Motorcycle Groupとの戦略的パートナーシップを締結した。これにより、設計やデザインのイタリアンエッセンスを保ちながらも、競争力のある価格と品質を実現しようという狙いだ。
新たなラインアップと戦略
Parilla復活後の展開は、多様なライフスタイルに応える4モデルでスタートする予定だ。これらは2026年の市場投入を目指しており、価格帯は3000ユーロから7500ユーロ程度と見込まれている。ラインアップの特徴は、日常的な移動にも応える軽快な125ccネイキッドとプレミアム・スポーツスクーター、そしてツーリング性能を備えた500ccクラスのツアラーとアドベンチャーだ。これらの車両はすべて最新の電子制御系や高性能サスペンション、優れたブレーキシステムを標準装備し、安全性と快適性を高いレベルで両立させる。
新生Parillaのコンセプトは“Alternative Italianism”と銘打たれ、イタリア伝統の美と現代的な機能性を融合するものとなっている。設計やデザインの段階はイタリア国内で行われ、欧州のデザインスタジオとの協業によって洗練されたスタイルが描かれる。一方で、生産やエンジニアリングの多くはLongjia Motorcycle Groupの拠点で実施される予定で、グローバル市場へのスピーディな展開を可能としている。
ブランドの未来と市場への影響
Moto Parillaの復活は、単なる懐古趣味やブランドロゴの再利用ではない。戦後のイタリアンモーターサイクルの象徴として世界に名を馳せたブランドが、現代のモーターサイクル市場に新たな価値を提案する挑戦として受け止められている。過去の栄光だけでなく、技術的な進化と国際的な生産戦略を融合させることで、価格競争が激しい中でも強い存在感を放つことを狙っている。
復活の背景には、若いライダー層の獲得と、欧州市場におけるプレミアム・エントリーモデル需要の高まりもある。特に125ccクラスは都市部の移動手段として高い人気を誇り、500ccツアラーやアドベンチャーは週末のロングツーリング需要を満たす。Moto Parillaはこれらのニーズを的確に捉え、ブランドの歴史とモダンな魅力を両立させる姿勢を明確にしている。
Moto Parillaの復活は、単なるブランド再生ではなく、伝統と革新の融合がテーマとなる。戦後から続くクラフトマンシップと現代的な市場感覚を融合させることで、過去の名声に安住することなく、新たな価値を創造しようとしている。イタリア発の美意識と世界基準の技術がどのような結果をもたらすか、2026年の正式デビューが待ち遠しい。
