実証実験の概要

今回の実証では、まず「CR-V(シーアールブイ)」にセンサー類を設置した実証実験車両を使用し、安全監視員が乗車した状態で、小田原市橘地域の工業団地にある公道を周回する形でCI自動運転システムの技術検証が実施される。その後走行エリアが拡大され、システムの対応速度も時速60kmまで引き上げるなど、実証範囲を拡張していく計画とされている。また実証車両も、EVモデルである「N-VAN e:(エヌバン イー)」へ移行し、CI自動運転技術の進化とカーボンニュートラルの実現への取り組みも並行して推進される。CI自動運転技術は、高精度地図や大規模なインフラ設備を必要としないことを生かし、今ある町や道路環境の中に先端技術を加え活性化していく「レトロフィット※2型のアプローチ」が推進される。ホンダは、このCI自動運転技術を2030年頃に実用化することを目指し、まず2027年度に特定条件下※3での自動運転レベル4認可取得を目指す。

自動運転レベル4に必要な冗長性の確保と対応速度域の拡大

これまでホンダは、CIマイクロモビリティ(グリーンスローモビリティ※4)として、カメラによる認識技術とCIを組み合わせ、車両の走行条件が時速20km未満での自動運転レベル4の実現を目指してきた。今回の実証実験では、交通量や走行速度の高い一般道での自動運転レベル4の展開を見据え、カメラに加えてLiDARを実証実験車両へ搭載する。これにより、遠方の物体や交通参加者の位置・速度を高精度に計測し認識精度と冗長性を強化することで、対応速度域を時速60kmまで拡大しても、自動運転レベル4に必要な安全性の確保が目指される。

傾斜地における認識能力の向上

CI自動運転技術は、高精度地図を必要とせず、カメラベースで周辺環境を認識しながら自動で走行する「地図レス協調運転技術」を搭載している。しかし、勾配変化が大きい走路では、検出した交通参加者や道路構造物の位置精度が変化するため、自動走行の難易度が上がるという課題があった。今回LiDARを搭載することで、勾配変化に影響されず交通参加者や道路構造物の位置を高精度に検出することが可能となる。今回の実証では、小田原市のさまざまな勾配でシステムの検証が行われ、傾斜地における認識能力・精度の向上が目指される。

【注釈】

  1. 振る舞いや言葉を通じてコミュニケーションを図り、ユーザー・周囲の人と協調しながらユーザーを支える人工知能
  2. 既に存在するものを壊すことなく生かしながら、新しい技術や仕組みを用いて改装・改造することで新たな機能を持った新しいものにアップデートすること
  3. 幅員6m以上、一般的な傾斜条件、最高車速 時速60kmでの自動運転レベル4の実現を目指す
  4. 国土交通省が推進する、時速20km未満で公道を走行可能な電動車を活用した小さな移動サービスと、その車両も含めた総称