ストリートに主眼を置いたグループA

ホンダのワークスチューナーとして知られる「無限 MUGEN(以下、無限)」。レース活動だけでなく、ディーラーで買えるカスタマイズアイテムも多数用意している。ホンダファンにとっては、ディーラーオプション感覚のチューニングブランドといった、比較的ライトな印象もあるだろう。
そんな無限が、ホンダのスポーツフラッグシップであるシビックタイプRに用意しているカスタマイズプログラムは、ストリートをメインターゲットにした「グループA」と、サーキットに軸足を置く「グループB」の2種類となっている。
今回、グループAとグループBの無限シビックタイプRを乗り比べる機会を得た。まずはグループAの印象からお伝えしよう。

無限シビックタイプRグループAの主な装着アイテムは以下のようになっている。
フロントアンダースポイラー:11万円
フロントバンパーガーニッシュ:10万4500円
サイドガーニッシュ:13万2000円
リアアンダースポイラー:9万9000円
リアウイング:44万円
カーボンドアミラーカバー:11万円
LEDテールライト:16万5000円
19インチアルミホイール「FR10」:70万4000円(4本)
ホイールセンターキャップ:1万7600円(4個)
パフォーマンスダンパー:14万3000円(前後セット)
ブレーキパッド:3万6000円(フロント)/2万9700円(リア)
無限リザーバータンクカバー:2200円
スポーツエキゾーストシステム:39万6000円
ステアリングホイール:14万3000円
フルバケットシートMS-C:29万7000円(運転席)/29万7000円(助手席)
シフトノブ:2万2000円
カーボンセンターコンソールパネル:7万1500円
スポーツマット:5万7200円
スカッフプレート:2万2000円

一見して、ワークスチューナーらしい完成度を誇るが、BBS共同開発のアルミホイールや、翼端板にカーボン素材を用いたリアウイングといった特徴的なアイテムだけでラクに100万円を超える予算が必要となるのだから、その圧倒的パフォーマンスを感じさせる迫力も納得だろう。
ただし、走り出すと「レース直系の無限チューニング!」といった雰囲気はない。1本出しとなったスポーツエキゾーストシステムの生み出す排気音こそノーマルと異なる音質となっているが、けっしてうるさいことはない。カーボンとアルカンターラ、パンチングレザーを組み合わせたステアリングホイールは握りやすく、フルバケットシートも乗降性を除くと自然に乗っていられるもの。
60km/h程度で公道を走っている限りは、むしろ乗りやすく、落ち着いた挙動のチューニングカーといったイメージさえある。



こうした乗りやすさや安定性、安心感を生み出しているのは、パフォーマンスダンパーとリアウイングに象徴される空力デバイスの存在だろう。
ボディの振動を適切にコントロールするパフォーマンスダンパーは、シビックタイプRの乗り心地改善とハンドリング向上を期待できるものであるし、空力デバイス全体の効果はクルマを押さえつけるダウンフォースを25%増しにしているという。
こうしたチューニングの効果は、日常的に感じられることが確認できた。スポーツドライビングには縁がないというユーザーであっても、無限がシビックタイプRに用意するグループAアイテムの恩恵を受けることはできるのだ。

ダウンフォースを3倍にしたグループB

よりモータースポーツ直系というイメージが強いのが、無限シビックタイプRグループBとなる。
カーボン製のボディアイテムをはじめ、以下に示すハイパフォーマンスアイテムの装着により、標準比で約38kgの軽量化を果たしていると同時に、ダウンフォースは3倍になっているという。まさにサーキット走行を意識して「究極のタイプR」を目指したカスタマイズプログラムである。
カーボンフロントバンパーロアスポイラー:165万円
カーボンサイドスポイラー:165万円
カーボンリアバンパーディフューザー:165万円
カーボンエアロボンネット:132万円
カーボンフロントエアロフェンダー:88万円
カーボンリアウイング:110万円
カーボンテールゲートスポイラー:22万円
スポーツチタンエキゾーストシステム:88万円(ガーニッシュセット)/82万5000円(エキゾースト単体)
ハイパフォーマンスブレーキシステム:110万円
これ以外にも、シビックタイプRグループAのほうで紹介したフルバケットシートなどインテリア系アイテムも装備されている。そして上記のアイテムに限っても、その価格をざっと足すと1000万円を超えていく。無限シビックタイプRグループBを手に入れるには、スーパーカー並みのコストが必要となるのだ。



しかし、それだけのコストをかける意味は、クローズドな短時間の試乗でも実感できた。
無限シビックタイプRグループBについては、場内の特設コースによる試乗となったが、ハンドルを切ったときのリニアリティはノーマル状態とは違う次元にあると感じられるものだった。
サーキット仕様を感じさせたのは、ブレンボ製6ポットキャリパーに無限オリジナル設計のブレーキパッドを組み合わせたハイパフォーマンスブレーキシステムの仕上がりだ。
乗り始めは、効きの甘さも感じたが、フルブレーキによってシステムを温めていくと、レーシングブレーキ的な金属音がほんのり聞こえるようになり、そこからはガツンとパッドとローターがかみ合う感触を味わえる。おそらくシビックタイプRの性能を使い切るような国際サーキットであっても不満のない制動力を発揮してくれるだろう。
純正比8.75kgの軽量化を実現するというチタン製エキゾーストは、想像するほど騒がしいわけではなく、保安基準適合アイテムであることも確認できた。
無限シビックタイプR・グループAとグループBの印象をひとことでまとめると、「拍子抜けするほど乗りやすいチューニングカー」となる。ヘンに緊張することなくドライビングすることは、マシンのパフォーマンスを引き出すために重要な条件であると思えば、乗りやすさを感じさせることも、ワークスチューナーらしさといえそうだ。













