4輪用タイヤにも使われる一般的なメトリック(ミリ)表示
まずは、近年、一般的に使われているメトリック(ミリ)表示について解説する。基本的な表示は、4輪の乗用車用のものと同じだが、一部バイク特有の表記もあるので注意したい。

ちなみに、これらサイズ例は、すべて後輪タイヤのもの。一番上のホンダ「CB1000F/SE」用と真ん中のスズキ「Vストローム800DE」用がラジアルタイヤの表記で、一番下にあるカワサキ「W230」用はバイヤスタイヤの表記となっている。



いずれも、「タイヤ幅」「扁平率」「構造表記」「リム径」「モーターサイクル用表記」「荷重指数」「速度表記」の順番に並んでいることが分かるだろう。以下に、それぞれどんな意味を持つのかを紹介する。
【タイヤ幅】
タイヤ幅は、タイヤの断面幅のことで、無負荷状態のタイヤの最も幅の広い部分を測定した値だ。上の例では、CB1000F/SEの後輪用が180mm、Vストローム800DEの後輪用が150mm、W230の後輪用は110mmのタイヤ幅であることが分かる。
【扁平率】
扁平率とは、タイヤ幅を100としたときのタイヤの高さを比率で表したものだ。以下の計算式で割り出すことができる。
「扁平率(%)=(タイヤの高さ÷タイヤの幅)×100」
また、この数値により、たとえば、CB1000F/SEの後輪用タイヤは、高さ99mm(180mm×0.55)であることも分かる。
【構造表記】
構造表記により、装着するタイヤがラジアル構造なのか、バイアス構造なのかが分かる。ラジアルタイヤの場合は「R」か「ZR」、バイアスタイヤは「ー」で表記される。
また、ラジアルタイヤの場合、最高速度が270km/hを超えるタイヤにはZRを表記する。つまり、高い速度を出すことのできる高性能バイク用タイヤという意味だ。
こうしたタイヤの性能を現す表記には、後述する荷重指数や速度記号にも一定のきまりがある。そして、これらを見るだけで、自分のバイクがどんなポテンシャルを持つのかの参考になるし、また、その性能に耐えられるだけのタイヤであるのがか分かるのだ。
【リム径】
タイヤに適合するホイールのリム径のことで、タイヤの内径ともいえる。メトリック表示の数字は、基本的にミリメートル表記だが、リム径に関してはインチ表示となる。
上の例では、すべて17インチだが、例えば、16インチのホイールを装着していれば数字は「16」、19インチのホイールであれば「19」といった表記になる。
【モーターサイクル用表示】
リム径の後ろにある「M/C」は、13インチ以上のタイヤに付いており、モーターサイクル用という意味だ。4輪の乗用車用タイヤとの混同を防ぐ目的で付けられている。

「荷重指数」や「速度表記」でバイクの走りも分かる
加えて、タイヤサイズには、「荷重指数」+「速度表記」といったタイヤの性能などを示す情報も入っている。

荷重指数は、規定の使用条件で、タイヤが受け止めることのできる最大荷重のこと。ロードインデックスともいう。また、速度表記は、規定の使用条件で、そのタイヤが走行できる最高速度を示す記号だ。タイヤメーカーのホームページなどを見れば、これらの記号が実際に、どんな数値を表示しているのかが分かる。
例えば、一番上にあるCB1000F/SEの後輪用は「(73W)」なので、荷重指数73=365kg、最高速度はW=270km/h以上。
真ん中にあるVストローム800DEの後輪用は「69H」なので、荷重指数69=325kg、最高速度はH=210km/hだ。
一番下のW230の後輪用は「60S」なので、荷重指数60=250kg、最高速度はS=180km/hとなる。
このように、これら記号により、装着するバイクとタイヤそれぞれが、だいたいどんな性能を持っているのかが分かるようになっているのだ。
ちなみに、CB1000F/SEの後輪用タイヤのように、荷重指数と速度表記が(73W)と( )でくくられている場合。
これは、前述したラジアル構造表記の「ZR」と同様、最高速度が270km/hを超えるタイヤであることを意味する。もちろん、公道では、こんな速度は出せないが、タイヤの性能的には「高速レンジにも十分に対応していますよ」という証となるのだ。
旧車やオフロード車に多いインチ表示
一般的なメトリック表示のほかにも、たとえば、旧車やオフロード車などに装着しているタイヤには、サイズをインチ表示にしているものもある。主にバイアス構造の小型サイズが多く、現在も車種によって使われる場合もあるので、主な意味を紹介しよう。

上の上段は、ヤマハ「WR125R」に装着している後輪用タイヤのサイズだ。「タイヤ幅」「リム径(インチ)」「荷重指数」「速度記号」といった順番で表記されており、「タイヤ幅」「リム径(インチ)」の間にはバイアスを示す「ー」が入っているのが一般的だ。

また、下段は、荷重指数、速度指数の代わりにプライレーティングという表示を使ったサイズ例だ。プライレーティングとは、荷重指数、速度指数と同様に耐荷重強度を現す記号のことを意味する。プライ」とは、タイヤのボディを構成するコードの層のこと。2輪車用タイヤではナイロン、ポリエステルといった有機繊維が使われることが多いという。
そして、プライレーティングは、それを何枚重ねた強度を有しているかを意味する記号。上の例では「4PR」となっているが、この4という数字が「5」や「6」と大きくなるほど、負荷能力が高くなるのだ。
クルーザー系バイクなどに多い「B」の文字は?
さらに、たとえば、ホンダ「レブル1100」シリーズのようなクルーザー系モデルなどのタイヤには、構造表記に「B」という記号が付いているものもある。

これは、タイヤに「ベルテッドバイアス構造」を採用していることを意味するものだ。この構造は、バイアス構造のタイヤをベルトで補強したもので、トレッド部の剛性が高まることで、重量車に適していることが特徴だ。そのため、クルーザー系車両用のタイヤに多く採用されることの多いタイヤなのだ。

このように、タイヤのサイズ表記は、愛車の装着サイズだけでなく、耐荷重など多様な意味が隠されている。特に、前後2輪のみが地面に接するバイクでは、タイヤの役割はかなり重要なだけに、サイズの意味もしっかりと知っておくことをおすすめする。
