連載
今日は何の日?■タントに対抗して登場したパレット

2008(平成20)年1月24日、スズキは人気のハイトワゴン「ワゴンR」よりもさらに全高を高めたスーパーハイトワゴン「パレット」を発表(発売は1月30日)した。パレットは、2003年にデビューしたダイハツ「タント」が開拓した新たなスーパーハイトワゴン市場に参戦するため、スズキが放った対抗馬である。
元祖スーパーハイトワゴンのタント誕生

スズキ「ワゴンR」が火付け役となったハイトワゴンブームで軽市場が盛り上がる中、2003年11月にダイハツは独自のパッケージングでさらに車高を高め、クラス最大級の室内スペースを実現したスーパーハイトワゴン「タント」を発売した。
タントは、圧倒的に広い室内スペースと使いやすさが子育てファミリー層の支持を集め、発売1ヶ月で1万台を超える受注を記録し、その後も月販台数で8000台をキープする大ヒットモデルとなり、スーパーハイトワゴンという新たな軽自動車のジャンルを開拓した。

そして2007年12月にタントは2代目へモデルチェンジ。大きな話題となったのは、軽自動車として初となるセンターピラーレスとスライドドアで構成される“ミラクルオープンドア”だ。
初代よりもホイールベースを2440mm→2490mmに拡大し、初代はヒンジドアだったものを助手席側後席はスライドドアに変更し、さらにセンターピラーをなくした。これにより、フロントドアとリアスライドドアを全開すると、幅1480mm×高さ1355mmの圧倒的な広さの開口部を実現。このミラクルドアによって、初代にも増して広い室内スペースと楽々の乗降性ができるようになったのだ。
2代目タントも引き続き好調な販売を続け、スーパーハイトワゴンという新たなジャンルはタントの独占状態となった。
ミラクルドアに対して両側スライドドアで対抗したパレット登場
やや出遅れた感はあるが、2008年1月のこの日、スズキからスーパーハイトワゴンの「パレット」が発表された。

ボディサイズは、パレットの3395mm(全長)×1475mm(全幅)×1735mm(全高)に対して、2代目タントは3395mm×1475mm×1750mmと、パレットが15mmほど全高は低い。ただし、室内高はパレットが低床化していることから1365mmとタントより15mm高い。一方、室内長はタントの2160mmに対してパレットは2025mmと135mm短い。

ボディ構成の大きな違いは、パレットが両側スライドドア(一部グレードは電動)に対して、タントは上記のようなミラクルオープンドアを採用していること。大胆な開き方をするタントの方が利便性に優れているように思えるが、使い方次第でどちらが利便性が高いとも言えない。
パレットのパワートレインは、最高出力54ps/最大トルク6.4kgmを発揮する660cc 直3 DOHC VVT、60s/8.5kgmの同インタークーラーターボの2種エンジンと4速ATの組み合わせ。駆動方式は、FFと4WDが用意された(2代目タントのパワートレインもほぼ同じ仕様、ただしターボはカスタムのみに搭載)。

車両価格は、NA(自然吸気)の2WD仕様で111.3万~136.5万円、ターボの2WD仕様は147.0万~157.5万円に設定。ちなみに、タントのNAの2WD仕様は108.15万~140.7万円である。
タントの対抗馬として登場したパレットだったが、販売台数では大きく劣り、タントの牙城は崩せなかった。

挽回を期してパレットの後継としてスペーシア登場

2013年3月、スズキはタントの後塵を拝していたパレットのモデルチェンジを機に車名を「スペーシア」に変更した。パレットからすべての面において大きく進化して大幅にクルマが変わったことから、広大なスペースをイメージさせるスペーシアという車名に変更したのだ。

スペーシアのボディサイズは、パレットと同じ3395mm×1475mm×1735mmだが、ホイールベースを2400mm→2425mmに延長。室内長は、2025mm→2215mmとクラストップ(2代目タントは2160mm)と大幅に改善された。
これによって、スペーシアはタントにも負けない広い車内空間を実現。さらに90kgの軽量化とエネチャージなどを盛り込んだ“スズキグリーンテクノロジー”と称した低燃費化技術によって、JC08モード29.0km/L(←パレット23.5km/L)を実現した。
パワートレインは、最高出力52psの660cc 直3 DOHC NAおよび64psのインタークーラーターボエンジンとCVTの組み合わせで、駆動方式はFFと4WD。車両価格は、NAの2WD仕様は122.86万円~132.3万円、ターボ仕様が141.75万円に設定された。
このようにパレットの弱点を解消して人気を獲得したスペーシアだったが、それでも販売台数でタントを超えることはなかなかできなかった。
・・・・・・・・・・

スズキ「スペーシア」とダイハツ「タント」が熾烈な競争をするなか、2011年11月にホンダのスーパーハイトワゴン「N-BOX」がデビュー。ホンダ独自のセンタータンクレイアウトによって実現された圧倒的な室内空間と高い安全性能などで、一気にN-BOXが軽市場トップの座に君臨、タントとスペーシアはどうしてもトップを奪取できない状況が令和の現在も続いている。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。


