ホンダ・レーシングが2026年シーズン向け新型PU「RA626H」を開発。アストンマーティン・アラムコF1チームとともに世界の頂点を目指す

2026年シーズンのF1世界選手権を闘うアストンマーティン・アラムコF1チームのマシン

発表会には、ホンダの三部敏宏社長、フォーミュラワングループのステファノ・ドメニカリCEO、そしてアストンマーティン・アラムコF1チームでエグゼクティブ・チェアマンを務めるローレス・ストロール氏が登壇。各者のスピーチは以下のとおり。

写真左からアストンマーティン・アラムコF1チームのローレス・ストロール エグゼクティブ・チェアマン、フォーミュラワングループのステファノ・ドメニカリCEO、ホンダの三部敏宏社長

ホンダ
三部敏宏社長スピーチ(一部抜粋)

「ホンダは1964年、四輪車を販売して間もない頃にF1という世界最高峰の自動車レースへ挑戦しました。数々の困難を乗り越え、翌年1965年のメキシコグランプリで初勝利を達成。その後、1980年代中盤から1990年代前半にかけては、Williams(ウィリアムズ)やMcLaren(マクラーレン)と共に黄金時代を築き、2021年には、Red Bull Racing(レッドブル・レーシング)とともにドライバーズチャンピオンを獲得するなど、数々の成果とドラマを生み出してきました。

世界最高峰レースであるF1への参戦は、『世界一にこだわれ』『最も困難なものへ挑戦せよ』というホンダ創業者・本田宗一郎の精神を体現したものであり、ホンダが大切にしてきた“挑戦への姿勢”の原点です。

ホンダの新PU「RA626H」

2026年、F1は車体とPUの両面で大きなレギュレーションの変革を迎えます。PUでは、電動出力が従来の約3倍となり、内燃機関にはサステナブル燃料の使用が義務付けられ、F1は「電動技術」と「脱炭素」両方に挑む次世代モータースポーツへと進化します。さらに、コストキャップ制度(※)の導入により、限られた開発資源の中で最大限の成果を上げられる開発効率が求められます。ホンダは、こうした新時代のF1を“挑戦と先進性”の象徴と位置づけ、ホンダのレース運営子会社である株式会社ホンダ・レーシング(以下HRC)が2026年シーズン向け新型PU「RA626H」を開発。アストンマーティン・アラムコF1チームとともに、世界の頂点を目指して挑戦を続けます。
※FIAが定めるPU供給に関する年間支出上限制度。なお、チームの年間支出上限についても同様の制度がある

アストンマーティン・アラムコF1チームのマシンにはホンダの新しい「H」ロゴを採用

RA626Hを搭載するF1マシンには、ホンダ四輪事業の新たなシンボルであり、新たなデザインのHマークを掲げます。このHマークはホンダの四輪事業の変革を象徴するもので、F1をはじめとするさまざまなモータースポーツ車両に掲げていきます(インディカーシリーズ、SUPER GT、全日本スーパーフォーミュラ選手権、スーパー耐久シリーズに適用予定)。

シビック・タイプR HRCコンセプト

また、HRCがF1を筆頭にモータースポーツ活動で培った技術や知見を生かし、走りを磨いたHRC仕様のモデルを市場に投入することで、モータースポーツ活動を通じて四輪事業に貢献していきます。その方針を具体化したシビック・タイプR HRCコンセプトをベースにしたモデルを市場に投入し、操る喜びや走る楽しさ、そしてホンダの挑戦の情熱を体感いただく機会をお客様に提供していきます。

また、F1は技術の頂点であると同時に、人材育成の場でもあります。世界の強豪たちとの競争の中で鍛えられた人材が再び商品開発に合流することで、より一層お客様に喜びと感動を提供する商品を生み出していくと考えています」

フォーミュラワングループ
ステファノ・ドメニカリCEOスピーチ

「ホンダとアストンマーティン・アラムコF1チームのパートナーシップにより、両社がともにF1の最大の栄冠に挑むことは、レース界にとって非常にエキサイティングな節目となります。

F1と日本の関係は深く、1976年に日本グランプリが初開催、1987年には開催地を鈴鹿サーキットに移し、これまで13回のドライバーズタイトルが日本で決定してきました。現在、日本には約1700万人のF1ファンがおり、昨年の鈴鹿には26万6000人が来場、日本の視聴者数は前年比26%増を記録するなど、人気は急速に拡大しています。ホンダの復帰は、日本市場におけるF1の成長ポテンシャルをさらに後押しするものです。

世界では現在8億2700万人のファンがF1を支持しており、その活動は文化、エンターテインメント、音楽、テレビ、映画など、従来とは異なる領域にも進出しています。また、健全なスポーツは関わるすべての人に利益をもたらすべきですが、F1の各チームも強固な財務状況を維持すると同時に、名だたる一流企業のスポンサーを惹きつけるなど、F1というエコシステムが世界的なブランドにとっていかに他に類を見ない魅力を持つかを示しています。

ホンダが再びF1に戻ってきた理由のひとつは、2026年から導入される新たなレギュレーションです。今回、車体とPUの双方が刷新され、F1史上最大規模の見直しが行われます。パフォーマンスを損なうことなく、先進的なサステナブル燃料で作動する、よりシンプルなハイブリッドエンジンが導入される予定です。

私たちは、ホンダとアストンマーティン・アラムコF1チームのサステナビリティへの取り組みに共感しており、F1としても2030年のネットゼロ達成に向けて順調に進んでいます。すでに2024年末までに2018年比で26%の二酸化炭素排出削減を達成しており、今後もホンダのようなパートナーとともに、新たな技術革新に挑戦していきます」

アストンマーティン・アラムコF1チーム
ローレンス・ストロール エグゼクティブ・チェアマン スピーチ

「ホンダとのパートナーシップの始まりを皆様とともに祝えることを大変うれしく思っています。アストンマーティン・アラムコF1チームとホンダは、多くの価値観を共有しています。その価値観こそが、2026年とその先へ向けて、私たちを強く結び付けました。

英国のシルバーストーンに新設したテクノロジーセンターが完成し、私たちの組織はこれまでにないほど強化されました。新しい風洞設備はすでに開発に大きく貢献しており、現在はさらなる強化に向けてデータセンターの建設も進めています。将来の成功を常に念頭に置きながら、たゆまぬ努力を続けています。

2026年から私たちはホンダと真のワークスパートナーシップを結びます。これは、シャシーとPUをひとつのパッケージとして設計・開発することを意味し、チャンピオンシップ獲得という目標にとって極めて重要な一歩です。

また、アラムコからはサステナブル燃料、Valvoline(ヴァルヴォリン)からは潤滑油の提供を初めて受けることを、大変誇りに思います。私たちの成功には、強力な技術パートナーシップが欠かせません。ホンダ、アラムコ、そしてヴァルヴォリンが私たちとビジョンを共有し、常に全力で尽力してくれていることに、改めて感謝の意を表します。

我々の英国拠点とHRC Sakuraとの強固な連携は、私たちのパートナーシップの深さを物語っています。私たちには、勝利を掴むために必要なすべての要素が揃っていると確信しています。そして、ドライバーたちもホンダのPUと、エンジニアたちに絶大な信頼を置いています。また、チーフストラテジーオフィサーのAndy Cowell(アンディ・コーウェル)がチーム内で新たに担う役割は、ホンダと私たちがいかに密接に協力しているかを示すものです。彼の豊富な専門知識は、私たちが互いに前進していくうえで大きな力となっています。

日本のファンの皆様、勝利を目指すこの挑戦の旅に、ぜひ参加してください。ホンダとともに、私たちは勝利に向けて全力を尽くし、新たな歴史の章を築いていきます。皆様とこの旅路をともにできることを楽しみにしています。引き続きのご支援をよろしくお願いいたします」