中古車探しは……
中古車探しでまず始めることといえば、情報収集です。とはいえ、当時の私にとって、ポルシェの中古車検索は趣味感覚のもの。ただ習慣的に行っていると、およその相場や流通している年式や仕様の傾向などが見えてきます。

例えば、2026年1月現在、大手中古車検索サイトで「911」を検索してみると、掲載台数が約1100台もあります。ただ内訳をみていくと、大きく狙いが絞られてくることが見えてきます。最新世代となる992は、最多の約420台が掲載されていますが、クラシックの領域になってきた996以前のモデルは、どれも二桁の台数しかないからです。

予算だけでなく、古い911を探すこと自体が、以前よりも難しくなっていることが分かります。エントリーポルシェとして注目されるケイマンやボクスターも、6気筒モデルに限定すると、ケイマンが120台ほど、一世代多いボクスターでさえ、197台と少ないのが現状です。
昔のポルシェ事情の一例として、2011年に発行された中古ポルシェのバイヤーズを紹介したいと思います。YouTuberとして有名なウナ丼さんが手掛けていたマニアックなクルマたちのバイヤーズガイド『エンスーCARガイド』の1冊なのですが、ずばりタイトルは、『100万円台のポルシェ・ボクスターと200万円台911って買って大丈夫ですか?』というもの。

書籍には、当時の歴代911と初代ボクスター相場が掲載されているのですが、マニア人気の高い964でも、グレードによっては150万円台あたりから存在し、MT車でも200万円台から狙えるとあります。なんと930さえ、初心者にオススメで、200万円台からも探せるという今となっては夢のような情報が載っていますが、もちろん、全て事実です。

高級車でも中古車となれば、希少性が高いものを除けば現実的な価格であったのが、ひと昔前の中古車市場だったのです。当時、状態の良い911を手にした方は、自身の判断が正しかったことを噛みしめているに違いありません。

それでも、私は手が出せなかった。その頃は転職をして駆け出しの編集者だったこともあり、中古ポルシェを買う余裕などなかったという現実に加え「古いポルシェは壊れやすい」「維持費にお金がかかるのでは?」というイメージもありました。実際に「部品や整備代が高い」「空冷は大変」なんて話も小耳に挟んでいましたから。
手頃なポルシェ……ましてMTは少なかった
それから13年が経過し、ポルシェの中古車検索をしていた2024年当時は、今よりは古いポルシェの流通量が多かった気もします。それでも流通台数が減っている感覚はあり、手頃な価格でポルシェを手に入れるのが、どんどん非現実的になってきているのを感じていました。
ただクルマ自体は所有していたので、欲しいと思える911、ボクスター、ケイマンが見つかったら、真剣に購入を検討しようという緩いスタンス。修復歴のないMT車で、程度が良さそうなものを中心にチェックしていました。

しかし、スポーツカーであるポルシェでも圧倒的に多いのはAT車。上記した中古ポルシェの流通量から割り出すと、中古911全体の8割弱がAT車というのが現実なのです。さらに中古ボクスターで約8割弱、中古ケイマンでも約7割がATなので、MT車のポルシェの中古車は、いずれも2割ほどしかないことになります。
そのため、当然、人気があって数が少ないMTの方が圧倒的に高くなってしまいます。特に近年では、PDKなどの新ATの登場やラインナップ自体もATが中心に変化していった事情もありますが、高級車だけに新車購入者の年齢も高めとなるわけで、必然的にATが多いのです。むしろ、964で開発されたスポーツAT「ティプトロ」が存在しなければ、これほど2ドアのポルシェが、世界的に売れることもなかったことでしょう。



狙いは不人気モデルの996……カレラ4Sが好きだけど
個人的に、最も関心があった初の水冷モデルである996。911の中では不人気な存在でしたが、新車当時、大学生だった私には最も憧れたポルシェといえる存在でした。

特に後期型のカレラ4Sがお気に入り。カレラ4Sは、不評だったボクスターと共通の涙目ライトをターボと同デザインのものに変更した後期型に設定されたモデル。

リヤをブリスターフェンダーとし、ワイドトレッド化を図ったターボボディに、3.6L NAエンジンと4WDシステムを搭載したもの。ターボとのビジュアルの大きな違いはリヤスポレスとなるところでした。その姿を新車当時から非常にカッコいいと感じていました。もちろん、6速MTも設定されています。

ただ、ワイドボディとグレードの「S」の名からも分かるように、カレラシリーズの高性能モデルであるため、超人気車。当然、996の中古車の中でも高値で推移していました。そこで911だけでなく、ボクスターとケイマンを含めて、MTを最優先してウォッチしていたのですが、それでもMTとなると価格が高い。

では、現実的な選択肢は?
まず手頃な価格のポルシェを知るために、低価格のものを中心にチェックすることにしました。996に関しては、手頃なものは、特に不人気扱いされる前期型が主役。もちろんトランスミッションはATばかり。しかし、MT車ばかりを所有してきた身としては「憧れのポルシェこそMTを所有してみたい」と考えてしまうもの。

時々、ポルシェの認定中古車でボクスターやケイマンが登場することもありましたが、保証付きのものは相場よりも高めな上、ATがほとんど。ただオプション満載なことも多いので、掲載写真の雰囲気が良いものは、まさに瞬殺で売れてしまう状況でした。
つまり、情報を探っていても望むような手頃な中古ポルシェなど見えてきません。そこで中古ポルシェの現状を掴むべく、AT車であっても値段が現実的で状態が良さそうなものを見つけたら、一度、見に行ってみたいと考えるようになりました。それでも、なかなか問い合わせてみようと思うポルシェは見つかりませんでした。しかし、中古車は縁が全て。突然、見に行ってみたいと感じる1台が現れました。その話は、また次回に……。









今や新車は1853万円〜!? 憧れのポルシェ911は買えるのか?歴代モデルの中古相場と現実的な選択肢は…… | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム