背景
豊田自動織機東知多工場では、エンジンに使う鋳造部品を製造しており、多数の熱処理炉やアルミ溶解炉が稼働している。本工場では、2050年のカーボンニュートラル達成目標に向け、CO2排出量の削減が重要な課題となっている。一方、本工場が立地する愛知県の衣浦港周辺では、脱炭素燃料であるアンモニアの受入環境の整備が検討されている。こうした背景から、本工場ではアンモニア利用技術の探索が進められてきた。
Daigasエナジーは、業務用機器や工業炉向けの都市ガス用バーナの開発を多数手がけ、効率的かつ安全な燃焼を実現する技術を蓄積している。近年は、顧客のニーズに応じて、水素やアンモニアを燃料とするバーナ開発にも取り組んでいる。
豊田自動織機と大阪ガスをはじめとするDaigasグループは、2021年からアンモニアを燃料とする小型エンジンシステムの技術開発・実証を通じてパートナーシップを深めてきた。さらに豊田自動織機とDaigasエナジーは、新たな取り組みとして、製造工程でのアンモニア燃料の利用実現に向けて共同で本実証が行われた。
実証内容
本実証では、Daigasエナジーが新たに開発した都市ガス専焼・アンモニア専焼の双方に対応するバーナを、豊田自動織機が新設した実証試験炉に搭載し、エンジン部品の鋳造ラインにおける熱処理工程でアンモニア専焼時の製品品質への影響が検証された。
アンモニアは燃焼速度が遅いため安定燃焼が難しく、燃焼時に窒素酸化物(NOx)が多く発生する、などの技術課題がある。これらの課題を解決するため、Daigasエナジーは、これまで蓄積してきたバーナ開発の知見と、大阪ガス先端技術研究所が有するアンモニア燃焼の基礎知見を活かして、金属熱処理工程での利用を想定したアンモニアバーナが開発された。本バーナは、都市ガス専焼とアンモニア専焼の双方に対応し、実証試験炉におけるNOxや未燃アンモニアなどの発生量の基準値・仕様を満たすよう設計されている。
本バーナを搭載した実証試験炉において自動車用エンジン部品の製造実証を行い、アンモニア専焼でも都市ガス専焼と同等の温度条件を満たし、アンモニアに含まれる窒素成分によって金属がもろくなる「窒化」の影響もなく、実際の量産品と同水準の製品品質が確認された。
本実証を通じて、両社は金属熱処理におけるアンモニア燃料の活用について可能性を見出すことができた。今後は、本実証で得られた成果を踏まえ、金属熱処理工程へのアンモニア燃料の導入に向けた課題の解決や、他の製造設備への利用拡大に向けて、両社で検討が進められる。
【注釈】
- 金属熱処理工程においてアンモニア専焼で量産品と同水準の品質を確認したことが国内初。豊田自動織機・Daigasエナジー調べ(2026年1月現在)
