「THE MOVEUM YOKOHAMA」にて『グラン・パレ ムラージュ工房~心奪われる名彫刻達 Coup de foudre ―ひと目惚れ― 展』開催

横浜・山下ふ頭の「THE MOVEUM YOKOHAMA by TOYOTA GROUP」で1月22日、フランスの文化遺産を紹介する特別企画展『グラン・パレ ムラージュ工房 〜心奪われる名彫刻達 Coup de foudre ―ひと目惚れ― 展』が開幕した。フランス文化省傘下の公的機関グラン・パレRmnが誇るムラージュ工房制作の精巧な複製彫刻15点を展示する本展は、古代ギリシャから20世紀近代までの名作を通じて、普段はヨーロッパの美術館から決して館外に出ることのない至宝に「ひと目惚れ」する貴重な機会を提供する。会期は3月31日まで。

『グラン・パレ ムラージュ工房 〜心奪われる名彫刻達 Coup de foudre ―ひと目惚れ― 展』

展示作品を制作したムラージュ工房は、1794年にルーヴル美術館の技術的伝統を継承する形で設立された、フランス随一の専門機関だ。230年以上にわたり彫刻の複製を制作してきた歴史を持ち、フランス国家から「無形文化財企業(EPV)」および「卓越したサヴォワフェール」の称号を授与されている。

同工房の最大の特徴は、伝統的な職人技と最新デジタル技術の融合にある。熟練の職人による型作りから、3Dスキャンやプリントによるデジタル型取りまで両者を併用し、オリジナル作品の造形と表面特性を細部まで忠実に再現。約6000点におよぶコレクションを保有し、通常はひと目に触れることのない美術遺産にアクセスする機会を世界中に提供している。

1月22日からの開催にあたり、会場では記念セレモニーが行われた。

「ミロのヴィーナス」ほか、時代を超えた傑作15点

本展では、屋外3点と屋内9点の計12点をまず展示。会期中に3点が追加され、合計15点の複製彫刻のうち12点ずつを入れ替えながら公開される。

屋外には、高さ234cmの「ベルヴェデーレのアポロン像」、アントニオ・カノーヴァの傑作「アモルの接吻で目覚めるプシュケ」、そして「アフロディーテ いわゆる《ヴェヌス・ゲネトリクス像》」という大型彫刻3点が設置されている。

「アモルの接吻で目覚めるプシュケ」の鋳型は3Dプリント技術で制作され、「ベルヴェデーレのアポロン像」は16世紀にフランソワ1世が依頼したフォンテーヌブローのブロンズ像のレプリカを鋳型として使用するなど、歴史と最新技術を融合した制作方法が採られている。

みなとみらいのビル群を背景に3作品が屋外展示されている。複製とはいえ、有名彫刻をここまで間近に見られる機会は滅多にない。

屋内では、誰もが一度は歴史の教科書や美術書で目にしたことがあると思われる「ミロのヴィーナス」が鎮座。さらに「眠れるヘルマプロディーディース」、エティエンヌ・ファルコネの「無言のアモル 別名《威嚇するアモル》」など、ルーヴル美術館所蔵の名作を中心に9点が展示される。さらに、アメデオ・モディリアーニの「女性の頭像」(ポンピドゥーセンター所蔵、1912年)や、紀元前2500-2000年のギリシャ・ケロス島出土「キクラデス諸島の偶像の頭像」など、古代から近代まで幅広い時代の作品が揃う様子は壮観だ。

屋内展示の様子。複製とはいえ、有名彫刻をここまで間近に見られる機会は滅多にない。

大阪万博のレガシーを横浜へ

展示作品のうち大型彫刻4点は、2025年大阪・関西万博のフランス館で展示されていたもの。これらが横浜に移設されたことには、2027年開催予定の横浜国際園芸博覧会「GREEN×EXPO 2027」への引き継ぎという意味も込められている。

記念セレモニーには大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」もスペシャルゲストとして登場。足立哲郎・横浜市にぎわいスポーツ文化局長は「大阪からグランパレ像が届けられましたが、来年は横浜から新しい可能性を発信できたら」と語り、GREEN×EXPO 2027への抱負を示した。

足立哲郎氏(横浜市にぎわいスポーツ文化局長)とスペシャルゲストのミャクミャク。

廃材が美術台座に──サステナビリティとアートの融合

本展のもうひとつの注目点は、展示の一部にトヨタのアップサイクル技術が活用されていることだ。屋内展示の「キャピトルのアンティノウスの胸像」などを支える台座には、燃料電池車(FCEV)用水素タンクの製造過程で生じるパージ材(廃材)を再利用した大理石のようなマーブル調素材が使用されている。

FCEV用水素タンクのパージ材から制作されたマーブル調の台座。下山工場の職人によって制作されたのだとか。

トヨタ・コニックの山下義行社長は「本来は役目を終えた素材に新たな価値を見いだし、文化空間の一部として蘇らせる試み。環境への配慮と美の創出を両立させるのは素晴らしい」と説明。フランス大使館のマテュー・フルネ文化参事官も「リサイクル素材などのエコ素材を用いた創作は、複製技術における新たな挑戦であり、本展はその実験場としての側面を持っている。フランスの伝統的な彫刻術と、日本の廃材再活用の取り組みが結びつくことは、両国の開発力と創造性を見事に体現している」と称賛した。

山下義行氏(トヨタ・コニック代表取締役社長)
フランス大使館 マテュー・フルネ氏(フランス大使館文化参事官アンスティチュ・フランセ日本代表)

本展のコンセプトは「Coup de foudre(一目惚れ)」。観る者が芸術作品と出会った瞬間に覚える電撃的な感動を体験することを目的としている。

山下ふ頭から眺める横浜の景色に溶け込むように彫像を展示することで、来場者が作品群の一部となるような一体感や、芸術家の視点を追体験できる空間を創出。時代を超えた傑作との「鮮烈な邂逅」を通じて、鑑賞者を永遠の美の世界へ誘う。

フルネ文化参事官は「2028年に日仏外交関係170周年を迎えることを念頭に、本展が両国の文化・技術交流を深める素晴らしい例になる」と述べ、「この実り多い連携を実現させたトヨタ・コニック社や、素晴らしい立地を提供した横浜市に対し、深い敬意と感謝を表明したい」と語った。

「MOVE」を生み出す新たな文化発信拠点に注目

会場となる「THE MOVEUM YOKOHAMA」は、2025年12月20日にオープンしたばかりの施設。名称は「”MOVE(動き)”を生み出す”MUSEUM”」という意味を込めた造語で、心や身体、社会、未来へと新しい動きを生み出すことを目指している。

足立局長もプライベートですでに訪問済みで「音と映像に囲まれる没入型の体験ができる、横浜の魅力ある新しいデスティネーションができた。心豊かな暮らしや持続可能な社会を実現するにあたって欠かせない役割を担う場として期待している」と施設の価値を称えた。

世界と日本文化の”交差点”である横浜において、アートを軸にした文化・教育発信施設としての役割を担う同施設では、本企画展と同時に『ウィーン世紀末 美の黄金時代』展と『LISTEN.』展も3月末日まで開催中だ。

横浜市の新たな名所となりつつあるTHE MOVEUM YOKOHAMA。
『ウィーン世紀末 美の黄金時代』展と『LISTEN.』展も見どころたっぷり。

公式サイト https://global.toyota/info/themoveum/

トヨタが巨大空間の没入型芸術体験施設をオープン。「THE MOVEUM YOKOHAMA(ザ・ムービアム ヨコハマ)」でアートを体感しよう!

音と映像に包まれ、アートを全身で受け止める──。横浜・山下ふ頭に期間限定でトヨタ グループが開催する「THE MOVEUM YOKOHAMA(ザ・ムービアム ヨコハマ)」は、従来の美術館像とは異なる没入型の文化体験を提示する新たな試みだ。これからのアートは、鑑賞ではなく体感するものになるのかも!?

THE MOVEUM YOKOHAMA by TOYOTA GROUP(ザ・ムービアム ヨコハマ by トヨタグループ) 概要

• 会期
2025年12月20日(土)~2026年3月31日(火)
所在地
神奈川県横浜市山下ふ頭4号上屋(神奈川県横浜市中区山下町279-9)
• 開館時間
日曜日~木曜日・祝日:10:30~19:30
金曜日・土曜日・祝前日:10:30~20:30
• チケット料金
一般:オンライン販売 3000円/当日会場販売 3800円
大学生・高校生・専門学校生:オンライン販売 2000円/当日会場販売 2700円
小・中学生:オンライン販売 1200円/当日会場販売 1900円
障がい者手帳をお持ちの方:オンライン販売 2500円/当日会場販売 3300円
未就学児:無料