本実証の背景・目的
ダイナミックマッププラットフォームは、国土交通省の中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)を通じて空港内情報集約基盤「VIPS」の開発を進めている。VIPS(ビップス)とは、空港内の様々なダイナミックマップ情報※1を集約したデータ連携基盤のことである。
ダイナミックマップ情報は制限区域内のAI搭載カメラやセンサによって自動的に検出され、VIPSに登録される。登録された情報は、自動運転車両が走行するエリアに応じて必要なもののみ車両システムに配信される。配信された情報は車両システムに組み込まれた「高精度3次元地図データ」と統合され、静的情報と動的情報を重ね合わせた「ダイナミックマップ」として、自動運転車両の正確な走行に活用される。この仕組みは空港だけでなく、港湾や物流センターなど他の施設でも利用可能であり、様々なエリアにおけるレベル4※2自動運転の実現に貢献する。

自動運転による航空機走行経路の横断を実現し、走行可能エリア拡大へ
今回の実証ルートには、航空機の走行経路を横断する車両走行路であるサービスレーンが含まれている。サービスレーンでは車載のカメラやセンサのみで航空機の状況を確認することが難しく、レベル4自動運転の実装に課題が残っていた。しかしVIPSを活用すると航空機の位置がリアルタイムで認識できるため、システムによる走行可否判断が可能となる。これまでレベル4自動運転が可能なエリアはターミナル周辺に限られていたが、VIPSを活用することでターミナルから離れた駐機場(沖止めエリア)まで拡大することができる。

システムの正確な判断による走行で安全性向上にも寄与
サービスレーンは人の目で判断して走行する場合においても、人為的ミスによるインシデントが発生しやすいエリアである。VIPSを活用し多様な情報を集約したダイナミックマップによる自動運転を導入することで、システムの正確な判断による走行を可能にし、安全性の向上にも寄与する。
2025年2月には本実証の前段として、高精度3次元地図データのみを使用した自動運転実証が同空港にて実施された。今回の走行実証はこの結果をふまえ、VIPSと高精度3次元地図データを掛け合わせたダイナミックマップの有効性を検証したものである。今後ダイナミックマッププラットフォームはVIPSを用いたダイナミックマップの実用化、ならびにサービスレーンを含むエリアでのレベル4自動運転の実現が目指される。また本実証の結果をもとに、中部国際空港以外のグローバルな空港をはじめ、港湾や物流センターなど多様な施設においてVIPSの導入が推進される。
【注釈】
- ダイナミックマップ情報:工事や故障車の停車などによる通行不可エリア等の静的情報や、航空機や車両の位置などの動的情報。情報のリアルタイム性ごとに静的・準静的・準動的・動的の4階層に分類された情報を持つ地図データベースである「ダイナミックマップ」を構成する情報
- 自動運転レベル4:場所・天候・速度等の特定条件下において、自動運転システムがすべての運転操作を実施
