1月1日に発足した自工会新体制

出席したのは、佐藤恒治新会長と片山正則副会長(前会長)、鈴木俊宏副会長(スズキ株式会社社長)、イヴァン・エスピノーサ副会長(日産自動車社長兼CEO)、三部敏宏副会長(本田技研工業社長)、設楽元文副会長(ヤマハ発動機社長兼CEO)、松永明副会長(自工会専務理事)。
通常の会見ではなく、「メディア向け説明会」としたことは、佐藤新会長の思いを反映したものだ。
冒頭、佐藤新会長は「新たに自工会の会長になりましたトヨタ自動車佐藤ございます。あらためましてよろしくお願いいたします。今日、臨時のミーティングが開催されまして、今日をもって新しい体制の自工会がスタートしました。 会見という形は、定例の理事会のタイミングで実施をさせていただきますので、本日はご覧のような車座のような形で、今後の活動をご取材いただくため、理解を深めていただけばと考えております」と挨拶。報道陣とのやりとりもこれまでよりリラックスした雰囲気のなかで行なわれた。

佐藤新会長は
・自工会の運営の仕方をもっとフレキシブルに
「隔月で理事会を開催して、委員会ベースで議論してきている。ご案内の通り、自動車産業を取り巻く課題が非常にスピード感持って対処していくべき状況にあるなかで、こういう定例的な開催でいいのかということを多くの理事から意見が出まして、テーマbyテーマで少しフレキシビリティを持って、議論の場を持って部隊に落としていくというやり方に変えていこうというような話をさせていただきました」(佐藤新会長)
・世界の自工会との連携をもっと深めていく
「例えば欧州で進む規制の観点、あるいはアメリカ経済、あるいは自動車技術、産業の動向、国や地域をまたいだこういった自動車産業の連携を深めていくなかで、日本の自動車産業としてどうやってそれに向き合っていくのか、どう価値筋を作っていくのかを考える上でも、国際連携をより重視して取り組んでいく必要がある」(佐藤新会長)
・メディアとの関係性をより深く、意義のあるものにしていきたい
「コミュニケーションのあり方も、皆さんに意見をいただきながら工夫をして、質を高めていけるように取り組んでいきたい」(佐藤新会長)





「新7つの課題」とは?
自工会佐藤新体制が掲げる「新7つの課題」とは、次の7項目だ。
①重要資源・部品の安全保障……資源・部品不足による「作れないをなくす」
②マルチパスウェイの社会実装……2050年カーボンニュートラルに向け、マルチパスそれぞれで脱炭素商品の普及を目処付け
③CE(サーキュラー・エコノミー)の仕組み作り……経済安全保障・環境対応に向け、部品・資源を使い倒す仕組みを構築
④人材基盤の強化……安定した開発・生産・販売・サービスに向けて、継続的に人材が確保・育成される仕組みを構築
⑤自動運転を前提とした交通システム確立……安全・安心な交通社会に受けて車両・人・インフラ三位一体で仕組み構築
⑥自動車関連税制抜本改革……簡素化負担軽減でユーザーに納得感のある税体系へ
⑦サプライチェーン全体での競争力向上……電動化・知能化や労働力不足に対応し、競争力をたかめるべくサプライチェーンを再構築し、現場の余力を拡大
ちなみに、2023年11月に定められたのが、「7つの課題」だった。具体的には
❶ 物流・商⽤・移動の⾼付加価値化/効率化
❷ 電動⾞普及のための社会基盤整備
❸ 国産電池・半導体の国際競争⼒確保
❹ 重要資源の安定調達 強靭な供給網の構築
❺ 国内投資が不利にならない通商政策
❻ 競争⼒のあるクリーンエネルギー
❼ 業界を跨いだデータ連携
新7つの課題について、鈴木副会長は次のように述べた。
「この新7つの課題は自工会の課題かというと、僕は日本の産業界の抱えてる課題でもあるかなと思います。そういうようなところを含めて、日本の産業を元気にするんだという取り組みにうまく結びつけていきたい」
新7つの課題に対する「当面のゴール(案)と取り組み例」

当面のゴール(案)と取り組み例
①重要資源・部品の安全保障に対しては
ほとぼりがさめても後戻りしないBCP(事業継続計画)の仕組み構築(リスク評価~対応検討~調達行動)
・業界としての足元の資源調達の対応力強化
・競争・協調の明確化と業界としてのコミット具体化
とした。
「テーマはどれも大きな課題で、優先順位をつけるのは大変難しい。喫緊の課題で言いますと、事業資源の安定調達は、足元の供給リスクに対してしっかりとサプライチェーンを守っていくという観点で短期的に取り組むべきことも多々あろうかと思います。一方で、長期的なBCPの観点から、しっかりと議論して構えを取る。元素ごとに状況違いますので、どの元素がどういう状況にあるのかは我々把握できています」(佐藤新会長)
②マルチパスウェイの社会実装に対しては
WtWを前提に、2050年カーボンニュートラル達成に向けたBEV・CN燃料車・FCEVそれぞれのCO₂削減施策具体化
各動力・エネルギーへの投資予見性を高める実装プロジェクトの立ち上げ
・各動力のCO₂削減量を評価する指標の統一(=WtW)
・関連業界が投資に踏み切るための環境整備・コミット具体化
③CE(サーキュラー・エコノミー)の仕組み作りに対しては
静脈産業の事業化(社会実装)に向けたモビリティ産業としての指針明確化
・各材料(電池・樹脂・非鉄など)の静脈商流における課題整理
・再生材使用・データ基盤等の標準化
・国内循環に必要な支援制度の具体化
④人材基盤の強化に対しては
生産現場・ソフロウェア人材等の確保に向けた打ち手の明確化
・自動車産業におけるソフトウェア人材不足の真因具体化
・産業の魅力訴求・採用増に向けた生産現場の働き方改革
⑤自動運転を前提とした交通システム確立に対しては
交通システム基盤の社会実装に向けた規格統一
・統一すべき交通システム基盤の明確化(通信・運行管理等)
・関係省庁・業界横断での議論の枠組み整備
・自動運転の社会実装時期や具体的進め方の官民合意
⑥自動車関連税制抜本改革に対しては
今回の税制大綱で示された「簡素化・負担軽減」の道筋のさらなる具体化
・官民での議論を通じた、重量税の暫定税率の税体系全体のなかでの扱い具体化
・BEV・FCEV・軽など異なる領域を公平に扱う仕組みの具体化
⑦サプライチェーン全体での競争力向上に対しては
戦略的水平分業として、OEM間の仕様標準化・協調領域拡大
・エンジン(部品標準化)
・半導体(仕様・情報基盤標準化)
・物流(共同物流の仕組化)

税制については、「ご案内の通り、環境性能割については廃止の方向で議論をさせていただきました。これはやはり国内の需要喚起にとっては非常に大きなきっかけになろうかと思います。一方で、実効化として掲げている税制に対する3本柱にしっかりこだわって、自動車税・重量税については、引き続きの議論がありますので、しっかりと税制の議論を続けていきます」(佐藤新会長)
もっとも質問が集中した⑦については、
「当社(スズキ)は、ある会社さんとね、クルマの共同開発やりましょう、部品の共通化やりましょうよって(取り組みがありました)。かなり昔です。そしたら灰皿しか共通化できなかいうような話もあります(笑)」(鈴木副会長)というほど、難しいテーマだ。
「特に半導体なんかはやっぱり世代超えてっていうか、やっぱり自動車業界でも共通化してって、数稼がないとどうにもならないのよねっていうような時代だと思ってますんでね、やっぱりそこはお取引先様通じてやっぱり共通化を進めていくというようなところが必要」(鈴木副会長)
日本の自動車産業の「国際競争力」を高いレベルでキープするために、スピード感を持って議論、提言を自工会が中心になって行なっていく……そんな決意が見えた佐藤新体制のスタートである。

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