1980年代の人気車種が現代に復活

イタリアの名門Moto Moriniが1980年代に人気を博した“Kanguro”の名を現代へ甦らせた。新型は「Kanguro300」として、コンパクトで軽快な300ccクラスのデュアル・アドベンチャーとして開発されている。元々のKanguroは欧州で人気を集めた耐久性と扱いやすさを兼ね備えたモデルだったが、その精神は現代版でも色濃く反映されている。歴史に根差したモデル名を冠しつつも、最新技術と現代的デザインを融合させたことが、Moto Moriniの戦略的な狙いだ。

技術仕様と走行性能

新生Kanguro300の心臓部には300ccの水冷4ストローク単気筒エンジンを搭載し、最高出力は約34PS、最大トルクは27Nm程度に設定されている。このパワー設定により、欧州のA2ライセンスで扱える仕様として親しみやすく設計されている。軽量な車体と組み合わせることで低速からの扱いやすさと、舗装路・未舗装路を問わないオールラウンドな走行性能を実現する構成だ。

またABSはOFFに切り替え可能な機能を備え、ダート走行時のライダーの意図に応える柔軟性を持つ。前後サスペンションは250mmの長いトラベル量を確保し、フロント21インチ・リア18インチのエンデューロサイズのホイールは荒れた路面でも高いトラクションと安定性を発揮する。これらの基本設計は、伝統的なオフロードモデルの良さを現代的に再構築したものと言えるだろう。

デザインとモデルバリエーション

外観は元祖Kanguroのコンパクトで機能的なプロポーションを現代的に解釈したもので、細身のフェアリングやLEDライト、スリムなタンク下配置のデザインなどが特徴だ。燃料タンクをシート下に配置することで重心を低く保ち、立ち乗り時のハンドリング性も向上させている。新型Kanguro300は標準モデルに加えて“Rally”バージョンも展開される予定だ。Rallyは低めのフロントフェンダーや小型のウインドシールドなどを装備し、より本格的な冒険走行に適した装備を備える。2モデルとも基本構成は共有するが、それぞれ異なるライディングスタイルが味わえる。

市場投入と今後の展望

Moto Moriniは新型Kanguro300を2026年後半に欧州市場で発売する予定としているが、価格設定については現時点で正式発表されていない。また、このKanguro復活は単体モデルの復刻に留まらず、Moto Moriniブランド全体の多角化と活性化戦略の一環でもある。近年はクラシックモデルの再解釈や新世代モデルの投入が相次いでおり、若年ライダー層や新規ユーザーの獲得を狙った動きが鮮明だ。伝統と革新を両立させる試みが、今後の同社の存在感を左右する重要な鍵となるだろう。

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