ワークス仕立てのチューンドに囲まれて
スカイラインマニア探訪
「変態級のスカイラインマニアがいる」(←クルマ好きにとって最上級の褒め言葉!?)と聞いてやってきたのは、熊本からオートポリスへ向かう道中にある高濵さんのガレージ。ここはオートポリスへのルート上にあるだけでなく、ツーリングスポットとしても知られた場所だ。

通りに面したガレージにはリフトや大型工具が完備され、ワークススタイルのハコスカやBNR32、DR30が出入りしているのだから、通りすがりの人は「なんてマニアックなショップだろう!」と思うに違いない。
しかし、ここはあくまで趣味のガレージ。この絶好の環境の中で、ワークススカイラインに囲まれたチューニングカーライフを送っているのが高濵さんなのだ。

さっそく自宅と並んで建つ2棟のガレージを見せてもらうと、国光仕様のワークスカラーを纏った2ドアのセミワークス・ハコスカと、Gr.A仕様のカルソニックカラーのBNR32が並んでいる。本来であれば、ここにスーパーシルエット・トミカ仕様のDR30も鎮座するはずだが、現在は大きな仕様変更のため、神奈川県のスクートスポーツへ長期入庫中とのこと。

「まず、なぜワークススカイラインなんですか?」と尋ねると、当時父親が日産車(110シルビア)に乗っていたことで、毎月日産ディーラーが発行する雑誌が自宅に届いていたという。その誌面では、ハコスカの伝説や日産のレーシングカーが活躍するシーンが毎回大きく取り上げられており、それを見るうちに大の日産党、そしてレース好きとして育っていったそうだ。
中学生の頃には「いつかハコスカのGT-Rを買う」と心に決め、高校生になるとハコスカGT-Rを所有する知人(先輩)に「手放す時はぜひ譲ってほしい」と談判していたというから筋金入りである。



話は変わるが、高濵さんは非常に手先が器用、というよりも“何でも自分でやりたい”タイプ。結婚して自宅を建てる際には、なんと建築士/設計士の資格を取得し、自身の理想を具現化した家を建てたというから、並の趣味人ではない。もちろんガレージもコンクリート基礎からDIYで建設。愛車や仲間のクルマのチューニングも、若い頃はほぼ自分の手で行ってきたという。

最初に製作したワークス仕様は、ハコスカ(しかも本物のGT-R)。JCCAのクラシックカーレース(Fクラス)参戦を目的に、ドンガラ状態から作り上げたレーシングカーを、憧れの“国さん”こと高橋国光選手のカラーで仕上げた。


エンジンはS20改2.1Lにソレックス44φキャブを組み合わせたフルチューンスペックとなる。セミワークスのオーバーフェンダーに収まるスリックタイヤが迫力を放つ。

ボディ補強やロールケージの溶接組み立ては高濵さん自身がDIYで手がけたという。エンジンも自ら組み込んでいた時期があったが、「要所はプロに任せたほうが、結果的に良いクルマに仕上がる」と今では感じているそうだ。かつては保安部品を装着した公認仕様で車検を通していた時期もあり、車体の各所に高橋国光選手のサインが記されているのも、マニア心をくすぐるポイントだ。

次に手に入れたのが、DR30のトミカカラー・スーパーシルエット。長谷見昌弘選手がドライブしていた仕様で、ナンバー付きのサーキット仕様を知人が製作していると聞き、「手放す時は声をかけてほしい」と依頼して入手したという。完成したら次を作るために手放すタイプの人だと知っていたからこその行動だった。

当初はFJ20ET改2.1L+TD06タービンというハイパワー仕様だったが、ある時「NAサウンドを思い切り響かせたい」との思いから、FJ20E改にソレックス+メカチューンという構成へ変更。絶対的な速さは求めなかったものの、気持ち良さを重視した仕様だったという。


現在は、スーパーシルエットに相応しいサウンドと、マフラーから火を噴く姿をサーキットで再現すべく、エンジン換装を依頼中。預け先がスクートスポーツという点からも察せられる通り、狙いはもちろん4ローター搭載。完成が待ち遠しい1台だ。

国光仕様と長谷見仕様が世代違いで並べば、次に欲しくなるのは当然、星野一義選手仕様。Gr.A仕様を作るべくBNR32を探していたところ、カルソニック仕様に仕上げられた不動車があるとの情報が舞い込む。日産の三巨頭を世代違いでコンプリートできると、即決で手に入れたという。
もともとは小径ミラーを備え、強めのキャンバー角が与えられた本格的なGr.A仕様だったが、公認ストリート仕様として自走で全国のサーキットへ遠征するため、現在はややデチューンされている。

タービンは純正置き換えタイプへ変更されているものの、「決して綺麗に仕上げられたエンジンじゃないので、遠巻きに見てください(笑)」とのこと。

ガレージに並ぶプラモデルについて尋ねると、組み立てが趣味というわけではなく、実車のカラーリングを再現するための資料として購入したものだという。


その後の2台も手直しには相当な手間を要したが、現在はストリート兼サーキット仕様として完成度の高い状態に仕上がり、全国各地のサーキット走行会へ自走で遠征。数えきれないほどの思い出を刻んできた。
気がつけば、ハコスカだけで所有歴は17台。そのほかにも、このガレージを出入りしたクルマの数は相当なものだ。

駆け足での紹介となったが、土地柄と環境にも恵まれた高濵さんのカーライフは、充実度120%。これからも末永く、スカイラインとともに走り続けてほしい。

