航空機などの分野において、優れた材料特性および長年の使用実績から、構造部材には熱硬化性※1CFRPが広く適用されている。近年、小型部品や複雑な形状の部材の需要増加に伴い、高レート生産に好適かつ形状自由度の高い、熱可塑性※2CFRPの適用が広がりつつある。今後は、これら2つの材料を適材適所で組み合わせることで、性能と生産性を両立した機体の開発が期待されている。一方、熱硬化性CFRPと熱可塑性CFRPの接合で従来用いられてきた接着剤接合やボルトファスナー接合では、接着の信頼性や煩雑な工程が課題となっており、信頼性の高い高速接合技術が求められている。

東レは、長年蓄積してきたCFRP用の中間基材(プリプレグ)の製造およびCFRP成形加工の知見を活用し、熱硬化性CFRPと熱可塑性CFRPの新規熱溶着接合技術を開発した。本技術により、従来の接着剤接合を上回る接合強度※3(図1)を実現するとともに、航空機模擬構造体(図2)の接合時間を、従来の接着剤接合とボルトファスナー接合の1/3以下に短縮することに成功。この技術の適用により、ボルトファスナーの削減に伴う重量低減が可能となり、機体の軽量化に寄与する。今後は、航空機関連メーカーとの連携による、社会実装に向けた取り組みを加速していく。

なお、本技術は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成による「次世代複合材創製・成形技術開発プロジェクト」事業の成果であり、1月28日(水)から1月30日(金)まで東京ビッグサイトで開催される「nano tech 2026(第25回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議)」にて、展示が予定されている。

【注釈】

  1. 熱硬化性:
    熱を加えると化学反応が起こり、分子同士が強固に結合して硬化する性質。一度硬化すると再加熱しても柔らかくならない。
  2. 熱可塑性:
    熱を加えると柔らかくなり、冷やすと再び固くなる性質。
  3. 接合強度:
    シングルラップシア試験(ISO 4587)で測定したシングルラップシア強度。