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今日は何の日?

■65年も前に登場した女性向け専用車ブルーバード・ファンシー・DX

日産「ブルーバード・ファンシーDX」

1961(昭和36)年2月3日、日産自動車は日本のモータリゼーションをけん引した初代「ブルーバード(310型)」に女性向け「ブルーバード・ファンシーDX」を設定して発売を始めた。当時はやっとクルマが一般家庭に普及し始めた頃。そんな時代に設定されたユニークな女性専用車として注目を集めた。

日本の大衆車市場を開拓した初代310型ブルーバード

1959年8月、初代ブルーバード「ダットサン・ブルーバード」が誕生した。当時は、クルマはまだ一般ユーザーには手の届かない贅沢品だった。ブルーバードの前身にあたる「ダットサン110型」および「210型」もタクシーの需要が主体だった。

1959年に誕生した日産初代「ダットサン・ブルーバード」

初代ブルーバードは、セミモノコックボディに4ドアセダンのみで親しみやすい丸みを帯びたフォルムを採用。ちなみに、ブルーバードの車名は、メーテルリンクの童話“青い鳥”に由来する。

パワートレインは、最高出力34psを発揮する1.0Lおよび43psの1.2L 直4 OHVエンジンと3速MTの組み合わせ、駆動方式はFR。車両価格は、1000スタンダード68.5万円、1200スタンダード69.5万円、1200DX(デラックス)76.9万円だった。

自家用車として家族が乗って楽しめる室内空間と優れた乗り心地が実現され、1ヶ月で8000台を受注。翌年にはトヨタからライバル車の新型「トヨペット・コロナ」がデビューし、市場を二分して熾烈な販売合戦、いわゆる“BC戦争“が繰り広げられたがブルーバードはコロナを圧倒、連続64ヶ月間小型乗用車のトップの座に君臨した。

当時の日本は自動車黎明期、ブルーバードはコロナとともに、誰でも手の届く大衆車として日本のモータリゼーションをけん引したのだ。

時代の先端をいく女性のためのブルーバード・ファンシーDX

1961年にデビューした女性向けの日産「ブルーバード・ファンシーDX」

1961年2月のこの日、初代ブルーバードにユニークな女性向け専用車「ブルーバード・ファンシーDX」がデビューした。当時はまだ女性ドライバーは希少であり女性自らステアリングを握るのは、会社経営者など裕福な女性に限られていた。

日産はそんな時代の先端をいく女性に乗ってもらえば、大きな反響を呼んで憧れのクルマになると考えたのだ。当時のファンシーDXのカタログには、“走る、あなたのチャーミングルーム。世界で初めての試み”と記載されていた。

日産「ブルーバード・ファンシーDX」のスペック

ベースになったのは、ブルーバードのハイグレード「1200DX」。パワートレインは、最高出力55ps/最大トルク8.8kgmにパワーアップした1.2L 直4 OHVエンジンと3速MTの組み合わせで、基本的な機能は1200DXと同じである。

専用のボディ色は、レモンクリーム系とピンク系のボディカラーと同色のホイールで、一目して女性のために仕上げられた特別仕様車だと分かる。ファンシーDXは女性専用車の先駆けであり、国産車として初の女性向けの特別仕様車だった。

女性のための装備は、驚きの30種以上

ファンシーDXのユニークな装備は30種以上あり、ユーザーニーズ調査に基づいて女性が好むモノばかりが備えられた。

日産「ブルーバード・ファンシーDX」のカタログ(1)

エクステリアでは、女性好みのボディ色に加えて、フェンダーミラーが一般的な丸形ではなく、お洒落な角形に変更。白色のフォグランプも装備され、フロントウインドウは太陽光を和らげるサンシェード付きだった。また、ピンク系のボディカラーには、タイヤのホワイトリボン部分もピンク系となった。

日産「ブルーバード・ファンシーDX」のカタログ(2)、内装のピンクがカワイイ♪

インテリアについては、助手席のサンバイザーには化粧品入れが組み込まれ、その上部にはお化粧時に使えるランプを装備。インパネ上部にメモが書き込めるメモリクリップや小物入れ、ハンドバックが収納できるアンダートレーも配備された。

日産「ブルーバード・ファンシーDX」のカタログ(3)、メイク直しも楽チン

さらに、ステアリングホイールやスイッチ類はアイボリーホワイト基調でまとめられ、シートはツートンカラー、フロアカーペットも専用カラーが使われた。アクセルペダルはハイヒールでも踏みやすいスリーパータイプ形状、そしてウインカーの作動音は何とオルゴール音だった。さらに、傘立て、カーテン、コートハンガー、後席用ミニテーブルなども装備された。

1961年にデビューした女性向け日産「ブルーバード・ファンシーDX」

これだけの特別装備したファンシーDXの車両価格は72.4万円に設定。当時の大卒初任給は、1.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で1110万円に相当する。ファンシーDXの価格は、1959年の1200DXよりも下がっているが、1962年のブルーバードの1.0L車の価格が6万円ほど低下しているので、ファンシーDXはベースよりも数万円程度上がっていると予想できる(注:1962年の1200DXの価格が特定できず)。

日産「ブルーバード・ファンシーDX」、室内に洋服が掛けられる
日産「ブルーバード・ファンシーDX」、室内に傘立ても

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モータリゼーション黎明期に登場した女性向け「ブルーバード・ファンシーDX」の販売台数は、当然ながら限定的だった。しかし、多くの女性がブルーバード・ファンシーDXに注目することでブルーバードの知名度が上がり、ブルーバード人気の加速に貢献したと思われる。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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