3度目の登場で走る開発車両となったBEVスポーツカー
ケータハム・プロジェクトVが更に進化して東京オートサロン2026に登場した。
2024年に薄いグリーンのボディで華やかにアンベールし、昨年の2025年はホワイトで出展、今回は英国スポーツカーらしく濃いグリーンとなっての再々登場となった。

改めて概要を見てみよう。
全長✕全幅✕全高=4350✕1850✕1230mm、ホイールベース=2630mm、車両重量=1430 kgと、サイズはポルシェ・ケイマン/ボクスター、ロータス・エヴォーラなどに近い。ライトウェイトスポーツカーと言うにはやや車重がある気もするが、電動車としては軽量な部類に含まれるだろうし、前後バランスの良さはかなり期待できる。
パワーユニットは電動モーターのみで、リヤシート下付近に搭載され、後輪を駆動する。
最高出力は200kW(272ps)、0-100km/h加速は5.0秒以下、最高速度は230km/h、47kWのバッテリーを搭載し、航続距離は400kmといったスペックを目指している。


サスペンションは前後ダブルウィッシュボーン、タイヤサイズは前235/ 35R19、後285 / 30R20となっている。
昨年との違いはカラーチェンジだけではない。デザインコンセプトモデルから開発車両としてのプロトタイプへと着実に進化していた。
サイドブレーキはEPBではなく「手引き」に
まず、量産化に向けてテールランプユニットが認可を取れるものが取り付けられていたり、全長は少しだけ長くなっているというが、ほぼシルエットに変更はない。電気自動車であるにも関わらず、サイドブレーキが電動でなく、手動の引き上げ式となり、スポーツカーらしさを損なわないようになっている。いずれも、量産化へ向けて開発が進んでいると思わせる変更点だった。また、後席乗車定員が1名を基本としていたのを2名に改められた。言わば、現実的な路線を歩みだしたとも言えるだろう。









内装はブラウンのバックスキン調で統一され、華美ではないが高級感があり、大人のスポーツカーといった雰囲気に包まれる。メーター周りも実用性を重視した、アナログでオーソドックスな見やすいものとなっていた。
パワーユニットは、以前からの宣言通り、ヤマハ発動機のe-Axleが実際に搭載され、走行テストが始まっているという。
ガソリンエンジンにすれば3リッター相当のパワーユニットを目指しているという。昨年はパネル展示だったものが、今年はe-Axleの実物が展示されていた。
ヤマハ発動機AM開発グループの岡田さんによると、すでにテスト車両にそのe-Axleは実装しており、走行実験を行っているとのこと。今後は、加速の仕方などの味付けと、さらなるモーターや制御、その他の部分の効率を上げていくなどを進めているという。
「AM開発」のAMとはオートモーティブの略であり、古くは2000GTの3Mやセリカ、レビン/トレノにも搭載された2T-Gなどに始まるトヨタの高性能パワーユニットを作ってきた4輪用パワーユニットの開発部門。スポーツカーの心臓を作り続けた集団が手掛けるプロジェクトVのパワーユニットの走りにはいやが上にも期待が高まる。
実物は今回初めて見たが、やはりヤマハが手掛けるだけあって、見た目も綺麗に仕上がっていた。




e-Axele自体の開発は大かた完了しており、いわばセッティングの段階に入っているということだろう。
「日本車」と言えるかも知れない供給&開発体制
バッテリーユニットは台湾Xing Mobilityの液冷バッテリーが採用され、100kW、20分で20〜80%の急速充電を可能にする目標値を設定しており、その性能実現へ向けて進んでいる。また、現在の日本における様々な充電環境にあわせたテストが行われているという。
液冷バッテリーの中身を構成するバッテリーセルはパナソニックエナジー製だ。
走行テストはもっぱら日本国内のクローズドコースで行われ、開発はレーシングカーやプロトタイプモデルの開発で有名な東京R&Dが担当している。
ENEOSも冷却液などで関与している。
つまり、イギリスのケータハムで企画され、その心臓部の供給と実際の開発、その他の供給なども日本で行われている、かなり日本車に近いのがケータハムプロジェクトVなのだ。
生産拠点についてはまだこれから検討を重ねていくとのことだが、欧州が濃厚なものの、日本でもその可能性がないわけではないという。
いまもスーパー7を作り続けるスポーツカーとは何かを知り尽くした人たちにより企画され、スポーツカーの心臓部を生み出してきた集団がパワーユニットを産み出し、レーシングカーでの実績を持った環境で開発が進められる。ある意味、理想的なスポーツカープロジェクトなのではないだろうか。

ガソリン車が次々に無くなって「乗りたいスポーツカーがない…」と嘆いている人は周りに多いが、これなら素直に乗りたいと思えるのではないだろうか。デビューが待ち遠しい1台だ。
