連載

【歴史を飾ったライバル対決】

■クルマを大衆化した先駆車サニーとカローラ

1966年3月にデビューした日産「サニー1000」
サニーのライバルとして1966年にデビューしたトヨタ「カローラ1100」

1960年代、日本は前例のない高度経済成長を迎え、所得倍増計画などによってサラリーマンの収入は激増、日本中が豊かな生活を手に入れた。1964年の東京オリンピック開催を機に、新幹線や高速道路などの建設ラッシュが続き、これによりクルマの普及が進み、日本のモータリゼーションの準備が整った。

それまで乗用車を購入するユーザーの大半は、富裕層かタクシーなどの法人だった。それが、国民の所得増大によって一般大衆でも入手可能な存在となり、クルマのターゲット層が一般大衆、サラリーマン層に代わったのだ。

そうは言っても、すでに発売されていた100万円を超える高級車「クラウン」や「セドリック」というわけにもいかず、一方で安価な軽自動車では高速道路を走るには力不足だった。

そこで一般大衆が求めたのは、サニーやカローラのような1.0Lクラスの小型大衆車。サニーとカローラの車両価格は、当時の平均的なサラリーマンの年収100万円の半分以下、サラリーマンでも手の届く価格だったのだ。

その時代背景のなか、1966(昭和41)年4月にデビューして大衆車の先駆けとして人気を獲得した日産自動車「ダットサン・サニー」、そこから遅れること約半年、同年11月にトヨタの「カローラ」がデビューしたのだ。

軽量ボディで爽快な走りが人気を呼んだサニー1000

1961年にデビューしたトヨタ初の小型乗用車「パブリカ」
1964年にデビューしたマツダ「ファミリア800 セダン」

当時、排気量1.0L以下の大衆車としてトヨタ「パブリカ」やマツダ「ファミリア」、ダイハツ「コンパーノ」などが存在していたが、市場を席巻するには至っていなかった。

1966年3月にデビューした日産「サニー1000」

そんな市場に、1966年4月に日産が満を持して投入したのが「ダットサン・サニー」である。最大の特徴は、新開発の一体成型システムで剛性を確保しながら、外板の薄肉化によって達成した車両重量625kgの軽量化であり、それを生かした優れた動力性能だった。

長いノーズに傾斜したリアウインドウで構成されるファストバック風の当時としては斬新なスタイリングを採用。パワートレインは、最高出力56ps/最大トルク7.7kgmを発揮する1.0L 直4 OHVと3速MTの組み合わせ。駆動方式はFRで、最高速は135km/hを超えて1.5Lクラスの爽快な走りが自慢だった。

日産「サニー1000」のコクピット
日産「サニー1000」の1.0L直4 エンジン

車両価格は、41万円(スタンダード)/46万円(デラックス)と軽自動車のハイグレード並みだった。当時の大卒初任給は2.6万円(現在は約23万円)程度だったので、単純計算では現在の価値で約363万円/407万円に相当する。

発売後、サニーは5ヶ月で3万台を超える大ヒットを記録し、その年の12月には月販台数が1万台の大台を突破したのだ。またサニーは、デビューの半年前の1965年12月に、大衆車時代を飾るにふさわしい大々的な“ティザーキャンペーン”を展開し車名を一般公募するなど、今では珍しくはないが当時としては革新的な宣伝手法を採用、これも販売促進に大きく貢献した。

排気量を100ccアップしてサニーに対抗したカローラ1100

サニーのライバルとして1966年にデビューしたトヨタ「カローラ1100」

トヨタは、大衆車として1961年6月に「パブリカ」を発売したが、パブリカは低コストを意識して装備を簡素化し過ぎたために地味な印象を与えて、市場で歓迎されたとはいえなかった。「カローラ」は、パブリカの課題を踏まえて、上級志向に応える大衆車としてサニーから遅れること約半年、1966年11月にデビューした。

トヨタ「カローラ1100」のコクピット
サニーに対し”100ccの余裕”としたカローラに搭載されたエンジン

カローラは、まさしくサニーを意識した“プラス100ccの余裕”というキャッチコピーとともに、サニーより100cc排気量が大きい最高出力60ps/最大トルク8.5kgm を発揮する1.1L 直4 SOHCエンジンを搭載。トランスミッションは4速MTが組み合わされ、スタイリングは当時最先端のセミファストバックが採用された。

“80点+α”という開発コンセプトのもと、すべての性能をバランスさせたカローラの目標は、巡航速度100km/hが最高速度の75%以下、3速の最高速度が100/h以上、0-400m加速が20秒以下であることを掲げ、いずれの目標もクリアしていた。

車両価格は、43.2万円(スタンダード)/49.5万円(デラックス)。ライバルのサニーより2万~3万円程度高額で、現在の価値では382万円/438万円に相当する。サニーより遅れてデビューしたカローラだが、販売台数でサニーを凌ぎ、大衆車トップの座を獲得した。

日産「サニー」vs.トヨタ「カローラ」
日産「サニー」vs.トヨタ「カローラ」
日産「サニー」vs.トヨタ「カローラ」

サニーとカローラでそれほど大きな差があったわけではないが、カローラの方が排気量で100cc大きい分、余裕のある走りができ、インテリアについてもカローラはパブリカの反省も踏まえて内装・装備面で上回っていた。また、販売力(販売店数、営業マン数など)でトヨタの方が強力だったことも、カローラに有利に働いたのだ。

1966年3月にデビューした日産「サニー1000」
サニーのライバルとして1966年にデビューしたトヨタ「カローラ1100」

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一般的にモータリゼーションは、国民の年収の約1/3で自動車を購入できる水準に達すると進展するとされている。一方で、日本人の年収は1961年から7年で倍増し、平均年収が100万円を超えたのは1963年~1964年である。
このように考えると、40万円超のサニーとカローラが誕生した1966年は、ちょうど平均的な国民がサニーとカローラが買えるようになった時期であり、またモータリゼーションが進展する時期だったのだ。

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