バイク販売サイト「グーバイク」でリサーチ!

上記はバイク販売サイト「グーバイク」に掲載された物件の一例(2026年2月4日現在)。「旧車」「お宝ビンテージ」「お宝絶版車」などと称される人気のモデルだ。いずれも中古車ながら、現在の新車の水準よりもかなり高額。“お宝ビンテージの王様”ともいえるカワサキZ1に至っては、支払い総額が1,000万円を超える。

筆者の知る限り、旧車人気は今に始まったことではない。最新の機能や高性能にこだわらない、ビンテージモデルならではの個性や雰囲気を堪能するフリークやマニア、コレクターは昔から存在した。

たとえば人気中古バイク専門誌「ミスターバイクBG(モーターマガジン社発行)」。同誌は筆者がモトチャンプ編集部に在籍していた1990年後半~2000年前半当時から、バイク専門誌売り上げナンバー1として君臨。

「ミスターバイクBG」は今も昔も基本的にビッグバイクの旧車をメインにしているが、モトチャンプ誌では筆者が在籍していた当時、その“すき間”を突き、『ビンテージミニ(略してビンミニ)』と名付けてミニバイクの旧車を頻繁に取り上げて好評を獲得。当時ビンミニの旧車価格は、新車に比べて全般的にお手頃だった。

筆者の記憶によれば、当時は今ほどではないが、「ミスターバイクBG」に掲載されていたカワサキZ1&Z2。またホンダCB750F等の中古車価格は、すでに相応のプレミアが付いていた。

そのワケは、Z1&Z2は人気マンガ「あいつとララバイ(楠みちはる著)」。また1998年に放映された反町隆史主演のテレビドラマ「GTO(フジテレビ)」と原作マンガ。CB750Fは人気マンガ「バリバリ伝説(しげの秀一著)」に登場していた影響が強い。

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これらのマシンは確かに一定数のマニアやフリーク、またマンガに触発されて購入する者も存在したが、少なくとも今のような加熱さはなかった。ユーザーは流行に流されない“こだわり”を持った、ちょっぴり風変わり(個性的ともいえる)な人が多かった気がする。言い換えればビッグシングル・ヤマハSR400/500のフリークに近い、という感覚。

モノの価格は需要と供給の変化で上下する。具体的には需要が高まり供給が足りないと価格は高騰。一方、供給過多になれば価格は低下。

現在の旧車価格高騰は、個体数よりも「超高額でも入手したい」というユーザーが多い供給不足。これはお金持ちの高年齢層のバイクリターン組が増えたのも理由のひとつだろう。

旧車の魅力は、最新モデルにはない懐かしいデザイン。またアナログチックな雰囲気や機関など。最近はファッションに敏感な若者。マンガに登場するモデルを見て憧れを抱いた人。若い頃に憧れていたマシンを入手する高年齢層など、ユーザーは多岐に渡る。

バイクブーム時代をリアルに生きた筆者としては、時代遅れでポンコツのイメージが強かった旧車の人気と価値が、こんなにも急騰するなんて想定外中の想定外。地金や東京都内の不動産のように爆上がりする販売価格を、ただただ傍観するのみである。

筆者は最近、高校時代の愛車だった1986年式のホンダVFR400R(初期型のNC21)に乗っている夢を頻繁にみる。「もう一度乗りたいな」と思って「グーバイク」でリサーチしたところ1件ヒット(写真下/2026年2月4日現在)。中古車価格は現状渡しで65万円(当時の新車価格は64万9000円)。仮にそこそこ走れる状態にするにはエンジンのオーバーホールやキャブレターの調整、各部の部品交換等が必要だと思われるため、プラス数十万円かかると推測。つまり同クラスの新車が購入できる金額まで膨れ上がる。

ここからが本題。旧車の値段が高額になった理由とは?

筆者は1969年(昭和44年)生まれ。1981年の小学校6年生よりバイクに目覚め、1985年の高校時代にバイク免許取得。大学卒業後、三栄書房(現三栄)に入社し、バイク専門誌「モトチャンプ」に配属。バイク好き歴約45年の筆者が長年各バイク専門誌を読み、様々なバイク業者を取材し、業界関係各者と会話し、享受を受けた経験と知識に基づき、「旧車の値段が高額になった理由」をまとめてみた。

1:コロナ禍によるバイク人気の向上と中古車価格の高騰

2020年2月より新型コロナウイルスが世界中で蔓延。これ以降、ソロキャンプなど一人で楽しめるバイクの人気が急激に高まり、中古車価格相場も上昇した。この現象は、旧車価格の高騰にもつながったと思われる。

※注:「バイク」王調べ
※注:「バイク」王調べ
1981年(昭和56年)に発売された1型のホンダCBX400F(ホワイト×レッド)。
【2023年】コロナ禍でなぜ中古バイク価格が高騰? その理由と今後の市場動向に切り込む!③ ~旧車・絶版車~ | Bike Life Lab|バイク王

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2:海外での日本製旧車の人気と円安の影響

タレント・ユージ氏の情熱を具現化! 前後にナイトロン製サスを採用したカワサキZ1000MKⅡの超贅沢なフルカスタム|モーターサイクルショー2024 ※写真はイメージ

海外では輸入規制が緩和され、日産スカイラインGT-Rなど日本製の絶版スポーツカーの人気が加熱。またカワサキZ系、ホンダCB系、スズキカタナなど、日本製の絶版大型バイクの需要も急上昇。海外での需要増=世界規模で希少性が高まり、価格高騰を招いていると考えられる。これは2026年2月現在の金価格高騰にやや似ている(現在、世界中で金の希少性が非常に高いと噂される)。

それらの現象がもっとも顕著に伺えるのが、国内カスタムショップの動向。日本車を知り尽くし、仕事の丁寧。また卓越した技術とセンスを誇る国内カスタムショップには、世界中のコレクターやマニアからレストア&カスタムの依頼が多い。彼らの多くは「お金ならいくらでも出す」という富豪で、カスタムショップにとっては大事なお得意さん。

国内カスタムショップと海外ユーザー(お客さん)をつなぐ重要な場所が、国内の主要都市で開催される東京オートサロン、モーターサイクルショー、ジャパンモビリティショーなど。近年は外国人客の多さに驚くばかりだ。

「壊れない・低燃費・カッコいい」の三拍子を揃えた日本のバイクは、海外でも人気が高い。また近年の日本経済は、輸出業者にとって有利な円安。このため国内の中古車が海外に多数流れ、国内の供給不足で価格は上昇。

これとは逆に、日本でのカワサキZ系、ホンダCB系、スズキカタナなど旧車の多くは、国内で探し出すのではなく、現地生産もしくは日本から輸出された海外仕様モデルを北米や欧州から輸入調達。

現在の円安は、バイク本体・業者の渡航費・人件費・車両の運送費用など、アメリカやヨーロッパから絶版車を“逆輸入”する際の価格高騰を招く要因のひとつになっている。

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3:国内でのタマ数が少ない=希少性が高まった

程度良の初期型Z2は1,000万円超!? 「750RSのみが本当のZ2!」「Z750FOURはZ2ではない!」マニア間で意見が分かれる“Z2問題”とは【東京オートサロン2026】 ※写真はイメージ

国内では1995年まで、新規登録から10年を超えたクルマやバイクは、1年ごとに車検を行受ける義務があった(現在は2年ごとに法律改正)。10年超えの車両は「1年車検車」と呼ばれ、所有するユーザーは毎年多大な経済的負担を強いられた。1年車検車は中古車業者には“お荷物的”な存在だったのだ。

そのため当時は生産から10年を超えたクルマやバイクは、熱狂的なマニアから支持された一部のモデルを除き(トヨタ2000GT、ハコスカやケンメリなどの日産スカイラインGT-R等)、多くは「消費は美徳」という当時の価値観に基づいて次々と廃車にされた。

旧車はスクラップにされたり(当時は空き地にクルマが山積みされているのを頻繁に目撃した)、解体屋さんで部品取り車になったり(筆者は原付スクーターの乗せ換え用エンジンを解体屋さんで格安にて購入した経験あり。解体屋さんで工具を借り、車体から取り外したのは素人である筆者。2026年現在、解体屋さんは滅多に見かけなくなった)、格安で海外に輸出された。

筆者が高校生だった1985年頃、世の中は空前のバイクブーム。フルカウル付きの超高性能車&超ハイパワーモデルが一番エラかったあの時代、走行距離が2万km前後で程度上の中古のZ2(Z1の750cc版)が、雑誌の個人売買コーナーで20万円〜30万円程度にて頻繁に売り出されていた。

これは中古車販売店での買取査定においてほぼ値段が付かず、結果的に個人売買に頼ったのだと思われる。ちなみに一時代を終えたホンダCBX400F前期型の中古車は、30万円前後で投げ売りの状態。筆者は高校時代、友人から赤のCBX400F(走行距離1万8,000km)を「20万円で買ってくれないか?」と相談された経験あり。筆者を含め「あの時買っておけば」という人も多いはず。

また排ガス規制の強化により姿を消した過激な走りの2ストローク車の希少性と存在価値が高まり、中古車市場では車種を問わずに価格が上昇中。現在、“ナナハンキラー”と呼ばれたヤマハの名車・RZ350などのRZ系。カワサキのマッハやKH。ホンダNSR系など、多くの2スト車はお宝モデルとして扱われている。

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4:コレクションや投資の対象として保有

昔から希少な旧車は「クラシックカー」「クラシックバイク」と呼ばれ、一部のマニアやお金持ちの贅沢な趣味として珍重。これらの旧車はマニア間で、超高額な値段にて取り引きされてきた歴史がある。この現象が一般ユーザーや中古車市場にも波及し、現在の旧車価格高騰につながっている傾向が強い。

これに関連するのが、“旧車好き芸能人”のメディア露出。高額所得者の彼らは巨費を投じ、お宝ビンテージモデルを購入&カスタマイズし、テレビのバラエティ番組、自身のYouTubeチャンネル、バイク専門誌などで愛車を披露。その結果、「俳優やお笑い芸人の〇〇も乗っている」というプレミアが付く。これも旧車価格高騰の要因にもなっている可能性あり。

また昨今では旧車を「乗用」ではなく、骨董品のような「資産」として購入し、長期的に保有するコレクターも増加。土地や地金のように、旧車も「所有することで価値が増す」と考える人が存在する。

5:SNSの普及により中古車の「完璧さ」が求められる

誕生50周年のカワサキZ1! リプレイスパーツをフル投入して新車状態まで復活|RMC ※写真はイメージ

機械=バイクは生産から時間が経つと、たとえ屋内で完璧に保管していても経年劣化で性能が低下する。新車時の性能をキープしようとしたら、経年劣化した部品を交換する必要あり。つまり手間とお金がかかる。

「私はプロ並みの知識と技術力、そして専用工具や整備用機器。また工作機械を持っている」という人を除き、エンジンや足周りのオーバーホール、レストアなどは専門業者に依頼することとなる。この時、相応の工賃が発生する。これが旧車の常識。

旧車のエンジンや足周りのオーバーホール、レストアなどでもっとも厄介なのが、交換するパーツの入手。特に低年式はメーカーが純正パーツの供給を終了。そのため、

1:希少な中古の純正パーツを探す(年式が古いほど見つけるのが困難。見つかったとしても価格はプレミアム付きで超高額)

2:社外メーカーが発売するアフターパーツやリプレイスパーツを流用(採算が取れないため、基本的に人気車種以外はラインナップなし)

3:1も2もない場合、ワンオフパーツを製作。もしくは市販中の純正パーツやアフターパーツを加工流用(特注品となるため一般的に価格は跳ね上がる)

等々が必要。結論からいえば、旧車を普通に走行できるまで復活させ、その状態をキープするには、現行モデルよりも遥かに手間とお金がかかる。新築よりも古い家屋のほうが維持費もメンテナンスの手間もかかる。これと同じ理屈だ。

昨今ではSNSの普及により、粗悪な個体を高額で販売する悪徳業者が減少。絶版車は「そこそこ走れる状態で販売する」のが常識となってきた。旧車は個体費用に加え、専門的な知識と技術力が必要なレストア&オーバーホール費用、また入手困難なパーツ費用がプラスされるため、結果的に超高額になってしまう。

誕生50周年のカワサキZ1!リプレイスパーツをフル投入して新車時まで復活|RMC | Motor-Fan[モーターファン] 自動車関連記事を中心に配信するメディアプラットフォーム

 旧車ブームの昨今、カワサキZ1はお宝モデルのキングとして君臨。程度の良い車両は、数百万円で取り引きされるなど、その価値は現在も大幅に上昇中だ。  Z1(ゼットワン)の正式名称は、「Z900スーパー4」。Z1は1972年 […]

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6:台数限定モデルや特別仕様車は“プレミア”が付きやすい

バイク販売サイト「グーバイク」に掲載された物件の一例(2026年2月4日現在)。

ヤマハSR400は2021年に生産終了。最終モデルの「ファイナルエディション」は国内限定1000台が60万5000円(税込)で発売された。同車はプレミアが付き、程度の良い個体は新車時を大幅に上回る価格で取り引きされている。

中古車市場では一般的に、希少性の高い台数限定の「リミテッドモデル」や「特別仕様車」は、スタンダードモデルよりも高額になる傾向が強い(個体の程度が同じ場合)。

まとめ:旧車は財力・覚悟・忍耐力+メカニズムの知識が必要

旧車は純正パーツの入手がほぼ不可能。修理は代替品となる社外のカスタムパーツやリプレイスパーツ。もしくは純正品を加工流用したり、ワンオフパーツを製作するのが定番なので、転倒などの自損事故は絶対に避けたいところ。

お宝車はコンビニでたった数分間、駐車している間に盗まれたという事案も珍しくない。しかも旧車は錆びやすいスチール製パーツが多く、バイクカバーをかけて屋外保管なんて論外。盗難抑止力が極めて高い、施錠された屋内での保管が常識。

故障を防ぐため、定期的に信頼できるプロによる細やかな整備も必要。現行車に比べ、日頃のメンテナンスにも手間がかかり、しかも消耗パーツ代、車両保険や盗難保険など維持費も高額。

確かに旧車は現行車にはない外観・懐かしさ・アナログな乗り味を持っているのが大きな魅力。ただし現行車に比べ、旧車はあらゆる面でワガママで(よく故障する)、面倒くさくて(管理や保管が大変)、しかもお金がかかる(維持費や保険が高額)。まるで年季の入ったベテラン大物女優のような存在だ。

旧車(特にお宝車)のオーナーになるには、相応の財力・覚悟・忍耐力+メカニズムの知識が必要。これらに自信のない人は、故障が少なくアフターサービスも徹底している現行車の新車購入をオススメしたい。

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