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今日は何の日?■RVブームに対応するためにデビューしたOEM車ホライゾン

1994(平成6)年2月11日、ホンダはいすゞ「ビッグホーン」のOEM車「ホライゾン」をリリースした。1990年代初頭、三菱「パジェロ」やトヨタ「ハイラックス・サーフ」などの4WDオフローダーが人気となったRVブームが起こり、ホンダはRVブームに対応する4WDオフローダーとしてOEM車のホライゾンを投入したのだ。
ラインナップ補完のためにOEMを進めたホンダ
ホンダは、1979年に英国のBL(ブリティッシュ・レイランド)社と技術提携を締結し、欧州における4輪車生産の第一歩を踏み出した。2年後の1981年には、初代「バラード」を欧州で「トライアンフアクレイム」としてライセンス生産を開始し人気を獲得。1985年には、高級車「レジェンド」が共同開発で誕生するなど、その後も多くの共同開発車を日欧に投入した。なお、BL社は1986年にローバー社へと改称した。

その一方で、日本では1991年にバブルが崩壊、日本市場はスポーティなクーペや高級セダンからRVブームへと移行。特に三菱「パジェロ」やトヨタ「ハイラックス・サーフ」など4WDオフローダーが大ヒットしていた。
当時本格的な4WDオフローダーを持たなかったホンダは、RVブームに上手く乗れず販売シェアが急降下。ホンダは当面の急場を乗り切るため、他社からのOEM供給でラインナップの穴を埋めることにしたのだ。OEM相手先は、当時提携関係にあったローバー社といすゞだった。

まず、「ランドローバーディスカバリー」のOEM供給を受け、「クロスロード」と名乗って1993年10月に発売。また1993年10月には、いすゞとの間で商品の相互補完に関する契約を締結し、同年にいすゞのコンパクトSUV「ミュー」を「ジャズ」の車名で、そして1994年2月のこの日に「ビッグホーン」を本格オフローダー「ホライゾン」として販売を始めた。
ビッグホーンの最上級グレードをベースにしたホライゾン

「ホライゾン」は、フロントグリルとシート表皮を変更、さらにフルオートエアコンや6スピーカーオーディオを装着するなど、ビッグホーンの最上級モデルをベースにホンダ仕様に仕立てられた。

厚みのあるエンジンフード、太くしっかりとしたピラー、フロントの曲面合わせガラスなどにより、力強いスタイリングが特徴。インテリアについても、アームレストやシートヒーターなどの快適装備に加えて、MOMO製本皮巻3本スポークステアリングを標準装備して特別感がアピールされた。

パワートレーンは、最高出力200ps/最大トルク27.0kgmを発揮する3.2L V6 SOHC、125ps/28.0kgmの3.1L 直4 SOHCディーゼルインタークーラーターボの2種エンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は、シンプルな構造の耐久信頼性に優れたパートタイム4WDだった。
車両価格は、335.2万~388.5万円(ガソリン車)/309.8万~356.5万円(ディーゼル車)。当時の大卒初任給は、13.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約572万~662万円/528万~607万円に相当する。
OEMの次はホンダ独自の“クリエイティブムーバー“戦略で人気を獲得
ホライゾンは、1998年3月のビッグホーンのマイナーチェンジに合わせて、ホライゾンも仕様変更。ガソリンエンジンが3.5L V6 DOHCに、ディーゼルエンジンはコモンレール噴射の3.0L 直4 DOHCに換装し商品力強化を図ったが、販売は期待したほど伸ばせなかった。

一方、共同開発やOEMで対応する間に、ホンダはRVの自社開発を進めた。他社とは一味違う総称“クリエイティブムーバー” (生活創造車)のミニバン「オデッセイ」と「ステップワゴン」、都会派SUV「CR-V」、「S-MX」を投入して大成功を収めた。さらに“Jムーバー”の「キャパ」と「HR-V」、そして“Kムーバー“の「ライフ」、「Z」なども追加して、ホンダ独自の新型車攻勢をかけた。

これらの成功によって、1990年半ばにはホンダは本来の勢いを取り戻したのだ。
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ビッグホーンは長くヒットモデルとして人気を維持したが、ホライゾンは今一歩人気を得ることはできなかった。OEM車ではどうしても供給元のビッグホーンのイメージが強く、ホンダらしさをアピールできずに人気を獲得するのは難しいのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
