近年、xEVやデータセンターの急速な普及により、冷却系部材や電装部材に求められる性能の高度化、多様化が進んでいる。従来、市場ではフッ素系樹脂が用いられてきたが、昨今のPFAS規制強化や、それに伴う原料調達リスクを回避するため、代替素材への要望がますます高まっている。また、オレフィン系エラストマー配合の東レの柔軟PPS樹脂は、軽量性・成形性を活かした幅広い用途で使用されてきたものの、フッ素系樹脂に相当するレベルでの柔軟性・難燃性・耐熱性すべての両立には至らず、これらを同時に付与することが技術的な課題であった。

本開発材は、東レ独自の革新的微細構造制御技術NANOALLOY※2を活用し、エラストマーに代わる新規柔軟成分をPPSポリマーに微分散化することで、従来の柔軟PPS樹脂では到達できなかった難燃性(UL94規格※3におけるV-0相当)と、耐熱性、軽量性を高いレベルで保持することに成功した。

2026年1月より、バッテリー周辺部材や半導体製造装置部材用途などにおいて、顧客向けに有償サンプルの提供が開始された。2026年度中に量産体制を構築するとともに、PFAS規制への対応と高機能化を両立しつつ、既存の設計技術が適用可能な次世代材料として、xEVやデータセンターの冷却配管、固定具、バッテリーやインバータの周辺部材、さらに産業配管や結束部材など、高温・高信頼性が求められる幅広い用途に展開される。

また本開発材は、2026年2月18~20日に開催される「高機能素材Week名古屋」にて展示される予定。

【公式】高機能素材 Week[名古屋]|2026/2/18-20

高機能素材 Week [名古屋]とは、モビリティマテリアル、フィルム、プラスチック、金属、セラミック、塗料、接着・接合技術など、製品の高付加価値化に欠かせない高機能素材と製造・加工・検査技術が一堂に出展する展示会です。同時開催するPhotonix[名古屋]は光・レーザー関連技術の総合展です。

https://www.material-expo.jp/nagoya/ja-jp.html

【注釈】

  1. 世界初:柔軟・難燃・高耐熱を同時に達成したPPS樹脂として世界初の材料。2025年10月1日時点、東レ調べ。
  2. NANOALLOY(ナノアロイ):複数のポリマーをナノメートルオーダーで混合させることで、従来材料と比較して飛躍的な特性向上を発現させることができる、東レ独自の革新的微細構造制御技術。
  3. UL94規格:プラスチック材料の燃焼特性を評価するための製品安全規格。UL Solutions Inc.(UL)が認定している。V-0は、垂直燃焼試験における最高水準グレードを示す。