広い室内空間だけでなく、最新/先進の安全&快適装備が充実
軽スーパーハイトワゴンのトップセラーには、長らくホンダN-BOXが君臨してきたが、それを猛追しているのがスペーシア。特に現行モデルの人気は高く、2025年上半期では、N-BOXに約1万8000台差の2位に付けている。
興味深いのはキャラクターの違い。N-BOXは性能や品質を登録車並みに高めた結果、価格まで登録車並みになっているのに対し、スペーシアは軽の本分である“軽く、安く、燃費良く”を追求。エントリー価格は約153万円と、N-BOXより約21万円安い。車重はもっとも軽いグレードで比較すると、スペーシアのほうが約60kg軽い。WLTCモード燃費も、もっとも良いグレード同士ではスペーシアが3.5km/L上回っている。
軽さの秘密は“ハーテクト”と呼ばれるプラットフォーム。前後方向の骨格を前から後ろまで連続して通すことで、衝突エネルギーを効率よく吸収。余分な補強を加えることなく、高い安全性を確保している。またアッパーボディの一部にも、普通の鋼板の5倍以上の強度を持つ冷間成形1470MPa級鋼板を使用して板厚を下げるなど、徹底した軽量設計が行われている。
内外装のデザインも、高級感ではなく道具感をアピール。先代モデルはスーツケースや工具箱を、現行モデルはコンテナをモチーフにしたそう。だからといってチープ感はなく、ボディカラーが2トーンの仕様は、なかなかオシャレだ。
内装の樹脂部品にも安っぽさはなく、触感も精度も登録車並み。スピードメーターはデジタル表示で、その右側には運転支援システムの作動状態が表示できるTFT液晶が配置されている。カスタム「HYBRID XS」系とギアには標準装備として、ダッシュボードから立ち上がるスクリーンに速度やエンジン回転数、シフトポジションが投影されるコンバイナ式のヘッドアップディスプレイが用意されるなど、上級コンパクトカー並みの装備も用意されている。
グレード名に「X」が入るモデルは、快適装備も充実。ダッシュボードのエアコン吹き出し口から出てきた冷気を後席に届ける“スリムサーキュレーター”や後席ドアガラスのロールアップ式サンシェード、寒い季節にはうれしいステアリングヒーターなどが標準装備されている。さらに後席のシートクッションには、“マルチユースフラップ”という独特の機能も装備。座面の前側に独立した部分があり、ヘッドレストのように伸縮させたり、回転させたりすることができる。これを前に伸ばせば、ふくらはぎを支える“オットマン”として使用でき、上側に回転させると、後席に載せた荷物の滑り落ち防止ストッパーとして機能させられる。
さらにライバルにないのは、助手席の折りたたみ機構。座面を前に持ち上げ、そこに背もたれを倒し込むことができるため、後席も折りたためば、最大約2mの前後長が確保できる。床は凸凹するので、クッションなどを使って平らにする必要はあるが、ひとりなら車中泊ができるのだ。
エンジンには自然吸気エンジンとターボが用意され、いずれも電気モーターを組み合わせたハイブリッド方式。といっても、モーター走行できるストロングハイブリッドではなく、エンジン駆動の発電機を、発進や加速時にアシストモーターとして使用するマイルドハイブリッド方式だから、走行中の電動感はまったくない。それでも追い越し加速でアクセルを踏んだ瞬間、エンジンの応答が遅れる間をモーターが補ってくれるため、知らない間に恩恵には授かっている。しかもWLTCモード燃費はクラス最高の25.1〜19.8km/Lと申し分ない。
グレード展開は3種類。サブネームの付かない標準車は、カラッと明るいカジュアルなイメージ。お馴染みとなった『カスタム』は、切れ長のヘッドランプと大きなフロントグリルでワイルド感を演出している。そして3つ目は、同クラスではSUV風モデルの先駆けとなった『ギア』。ヘッドランプまで専用設計して独自の表情をつくった、のかと思ったら、丸形の灯体はジムニーと共用しているとのこと。6本のメッキ部を持つフロントグリルのデザインは、JB23-10型(先代最終)ジムニーの特別仕様車“ランドベンチャー”に通ずるイメージをオマージュしている。
3つの個性的デザインを持つスペーシアだが、乗り味の差別化は図られていない。『ギア』も車高アップや大径タイヤは採用されておらず、スペーシア共通の“市街地ベスト”のチューニングをしている。カスタムのターボ車はタイヤが55扁平となるため、操舵応答がピリッとし、レーンチェンジ後の収まりもよく感じられるが、自然吸気エンジン車でも、背の高さから来るグラグラ感は感じられない。ダイハツ・タントのミラクルオープンドアやホンダN-BOXのセンタータンクレイアウトのような“飛び道具”はないが、その分、軽く堅実にできているスペーシア。背伸びをしないクルマづくりは、いかにも“軽No.1”のスズキらしい1台といえる。
【スペーシア】



- リアドアの開き方:スライドドア
- 最小回転半径:4.4m
- 全高:1785mm
【スペーシアカスタム】



- リアドアの開き方:スライドドア
- 最小回転半径:4.4m(「カスタムXS」系は4.6m)
- 全高:1785mm


メッキとツヤのあるブラックを組み合わせた大型フロントグリルやメッキフロントバンパーガーニッシュ、メッキバックドアガーニッシュなどで洗練された都会的なシルエットを持つ。


内部をブラック化した薄型LEDヘ ッドランプとLEDフロントシーケンシャルターンランプ、クリスタル感あふれる肉厚なインナーレンズのリアコンビネーションランプを採用。
【スペーシアギア】



- リアドアの開き方:スライドドア
- 最小回転半径:4.4m
- 全高:1800mm


ひと目でスペーシアギアとわかる、丸目のヘッドライトとメッキブロックのフロントグリル。前後にスキッドプレートも採用して、ワイルドなSUVテイストを発散する。

運転席と助手席に、スペーシアギアの専用装備となるシートバックアッパーポケット。アクティブなメッシュ素材で運転席側にはタグ付き。
【スペーシアシリーズの特徴】

全車にマイルドハイブリッドを採用。標準車は自然吸気、カスタムとギアはターボエンジンも選択が可能。高効率なCVT、転がり抵抗の少ないエコタイヤで省燃費にも貢献。

スズキの予防安全技術「セーフティサポート」は単眼カメラとミリ波レーダー、超音波センサーで衝突被害軽減をもたらす「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」のほか、車線維持支援、アダプティブクルーズコントロールなど、頼れる先進安全装備が充実。

事故や緊急時に消防/警察への通報をサポート、車両トラブル発生時のオペレーターサービス、エアコン操作や駐車位置確認、運転履歴などをスマホで確認できるアプリサービス、見守り機能などを備えた安心のコネクティングシステム。

9インチメモリーナビ(メーカーオプシ ョン)が進化。全方位モニター付きで、ドラレコやスズキコネクトに連携、さらにHDMI入力にも対応している。

シートバックに備わるパーソナルテーブルは、スマホを立てかけられるストッパー、500mlパックも入るドリンクホルダー、ショッピングフックを装備。

スズキの軽自動車ではすっかりお馴染みの便利装備。助手席側のシート座面を持ち上げると十分な深さの小物入れスペースが出現。1人乗車時にバッグを置くのにも安定感があっていい。

インパネボックス、ビッグオープントレー、フロントドアアッパーポケ ットなど、助手席の収納類が充実。使いやすさやレイアウトにも配慮されている。


寒い時期のドライバーに優しいステアリングヒーターや、スマートかつ安全な運転操作が可能な電動パーキングブレーキをスズキの軽として初採用した。


後席での快適性や使い勝手を向上させる「マルチユースフラップ」。座面を延長する「レッグサポートモード」、足を伸ばせる「オットマンモード」、荷物を固定する「荷物ストッパーモード」と、3つのアレンジが可能。

スリム形状のサーキュレーターは車内の空気を効率よく循環させて、冷たい空気/温かい空気の偏りを解消。車内の会話を妨げない、静音設計となっている。

左右独立リアシートスライド/ワンタッチダブルフォールディングが可能。開口部には自転車の積み下ろしガイドを設置し、27インチサイズまでの積載が可能。
【スペーシアシリーズのインテリア比較】

ブラウンとカフェラテカラーで、アウトドアリビングのような心地よさを追求した、スペーシアのインテリア。マットな質感のアクセントや帆布のようなナチュラルで清潔感あふれるパイル添加樹脂素材が爽やか。シート生地は、心地よさと楽しさをミックスしたカラーメランジ表皮。



ホテルラウンジのように、華やかで上質な室内空間を求めた、スペーシアカスタム。ボルドーとピアノブラックのコントラストで、ツヤの違いを魅せる。シートのメイン生地はツイード調で、グレードによりフルファブリック仕様とフ ァブリック×合皮仕様の2種類を使い分けている。



遊び心いっぱいのスペーシアギアはインテリアも個性的。濡れたまま乗り込んでも汚れにくい撥水加工シート、砂や泥にも強い防汚性ラゲッジフロアを採用。シート表皮は山の稜線や歯車、タイヤパターンなどをモチーフにデザイン。エンボスのツヤ感と凹凸感を絶妙にバランスさせた。





デジタルスピード表示のカラーTFT液晶メーターは視認性にも優れる。それぞれ別デザインとなっており、ギアは丸モチーフに多角形ディテールを組み合わせた、プロテクト感のある意匠。
【スペーシアシリーズのココがポイント!】
自然吸気エンジンの最高出量は49PSと、660ccエンジンではもっともローパワーだが、実用域でのトルクは十分にあるし、クルマが軽いから不足はない。お膝元静岡の新東名120km/h区間でもテストしているとのこと。
【スペーシア/スペーシアカスタム/スペーシアギア】の詳細DATAはコチラ

【人気No.1グレードに標準装備されている人気装備をココで判別!】



※本稿は、モーターファン別冊 「最新軽自動車カタログ2026」の再構成です。



