ヤマハWR155R……534.600円

2019年から発売が始まったWR155Rの主要市場は東南アジアで、日本での正規販売は行われていない。今回のテスト車は、インドネシアから独自に輸入した車両とパーツの販売に力を入れるオートサロンオギヤマの試乗車で、価格は同店独自の設定。
 

ライディングポジション ★★★★☆

着座位置が高く、膝と足首の曲がりが緩く、真横から見た際の両腕の角度が30度ぐらいになる乗車姿勢は、トレールバイクの王道と言うべき雰囲気。

前後左右に動きやすく、普通に乗っているぶんには至って快適だが、今回の試乗期間中に出かけた2度のロングランの後半では、尻と腰にジンワリとした痛みを感じた。その原因は、後述するシートの薄さとリアショックの硬さだ。

身長182cm・体重74kgの筆者は両足全面がギリギリで地面に接地したものの、880mmというシート高に抵抗を感じる人は少なくないだろう。この問題に対応するため、試乗車を借用したオートサロンオギヤマでは、ローダウンシートやローダウンリンクを準備し、スーパーモタードキットも設定。余談だが、コンペティションモデルのYZ125/250/450シリーズのシート高は、いずれも950mm以上。

タンデムライディング ★★☆☆☆

「座面が小さくて、ベルトがつかみづらくて、ステップが前すぎる。WR155Rに限った話ではないけど、やっぱり最近のトレールバイクはタンデムに向いてないね」 後部座席のフィーリングを探った富樫カメラマン(身長172cm・体重52kg)はそう語るものの、僕の印象はそこまで悪くなかった。

リアショックのスプリングが硬いWR155Rは、過去に当連載で取り合げたCRF250LやKLX230シェルパのようにタンデムでリアが大きく沈まないため、運転手は意外に普通に走れたのである。

取り回し ★★★★☆

取り回しでありがたさを感じたのは、左側に配置されたマフラー。僕の自宅ガレージは出入口が狭く、車体右側とドアの開口部が接触しそうでヒヤッとすることが多々あるのだが、このバイクはマフラーが自分の背後に位置するため、気遣いは普段の半分くらいで済んだ。

ただし、素晴らしく小回りが利くわけではない。ライバル勢のハンドル切れ角・最小回転半径が、CRF250Lシリーズ:45度・2.3m、KLX230シリーズ:45度・2.1mであるのに対して、WR155Rと基本設計を共有する弟分のWR125Rは43度・2.4m(WR155Rは数値を公表していない)。

ハンドル/メーターまわり ★★★★☆

一文字に近いハンドルは、オーソドックスなφ22.2mmバー。スタンディングで走行しているときは、もう少しグリップ位置が高くてもいいと思えた。ハンドルクランプとトップブリッジは別体式なので、カスタムの自由度は高そうだ。バックミラーの視認性はなかな良好だが、市街地や林道では左右への張り出しを抑えたくなった。

モノクロLCDメーターは、上部にトレールバイクでは珍しいバーグラフ式タコメーター、左にギアポジションインジケーター、右にガソリン残量計を配置。下部の表示内容は、オド、トリップ×2、瞬間燃費、平均燃費、時計で、各種警告灯の右に備わるボタンを押して切り替える。

左右スイッチ/レバー ★★★☆☆

左右スイッチボックスは昔ながらのデザインで、エンジンを共有する他のヤマハ製155cc単気筒車とは別物。左側にはハザード用のスライドレバーが備わる。グリップラバーは当然、細身のオフロードタイプ。

ブレーキ/クラッチレバーのピボット部に備わるラバーブーツは、昨今ではトレールバイクでもなかなか見かけないパーツ。林道ツーリングでマストアイテムとなる、ナックルガードは装備していない。

燃料タンク/シート/ステップまわり ★★★★☆

ガソリンタンク容量は、かつてのWR250Rより0.5ℓ多い8.1ℓ。シートのどこに座っても、シュラウドとサイドカバーのフィット感は良好だった。足つき性を考えれば止むを得ないのかもしれないが、シートはウレタンが薄くて幅が狭く、座面は若干前下がり。薄さはさておき、個人的には幅広&フラット化を行ってみたい。

ステップは完全なオフロード仕様で、バーに脱着式のラバーは備わらない。フレームのスイングアームピボット周辺を保護する樹脂製ガードは、ゴツいオフロードブーツを愛用するライダーにとっては嬉しい装備。

積載性 ★☆☆☆☆

タンデムシートが存在しないカワサキZX-10RRを除くと、これまでの当連載では全車にシートバッグを装着してきたが、今回は断念。無理をすれば装着できなくはないものの、どうやっても外装に傷が付きそうだった。

もちろん、一般的なトレールバイクと同様にシート下の収納スペースもナシ。まあでも、トレールバイクで旅を楽しむライダーは、純正アクセサリーかアフターマーケット製のリアキャリアを導入するのが通例だから、ノーマルの積載性の低さは特に問題にならないと思う。

ブレーキ ★★★☆☆

ブレーキは、フロント:φ240mmペーダルディスク+片押し式2ピストンキャリパー、リア:φ220mmペータルディスク+片押し式1ピストンキャリパーで、ABSは装備しない。フロントは非常に扱いやすかったけれど、ロックが早すぎるリアは丁寧な操作が必要だった。アルミリムのサイズは、フロント:1.60×21・リア:2.15×18。

サスペンション ★★★☆☆

ブレーキと似たような話になるけれど、φ41mm正立式フロントフォークが好感触な一方で(路面の凹凸を軽やかに吸収し、ハードブレーキングにも余裕で対応)、リンク式リアショックの印象はいまひとつ。と言っても、スポーツライディングに没頭しているときは明確な手応えが得られるのだが、ロングランの後半ではゴツゴツ感が気になった。その原因はスプリングの硬さのようで、プリロードのアジャストでは対応できず。

実測燃費 ★★★★★

第1/2回目でも記したように、WR155Rの燃費は素晴らしく良好で(指定燃料はレギュラー)、平均燃費から算出できる航続可能距離は42.5×8.1=344.25km。もっとも、同系エンジンを搭載しているYZF-R15のWMTCモードの燃費は50.2km/ℓだから、エコランを意識して走れば、さらなる好結果が得られるのかもしれない。ちなみに、弟分に当たるWR125RのWMTCモードの燃費は44.8km/ℓ。

純正指定タイヤはCRF250LシリーズやKLX230シリーズと同じ、オンオフ兼用のIRC・GP-21/GP-22。同じIRCで方向性を明確にするなら、オンロード派にはGP-210かGP-410、オフ好きにはGP-610が良さそうだ。

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主要諸元

車名:WR155R
全長×全幅×全高:2145mm×840mm×1200mm
軸間距離:1430mm
最低地上高:245mm
シート高:880mm
車両重量:134kg
エンジン形式:水冷4ストローク単気筒
弁形式:OHC4バルブ
総排気量:155cc
内径×行程:58mm×58.7mm
圧縮比:11,6
最高出力:12.3kW(16.7ps)/10000rpm
最大トルク:14.3N・m(1.46kgf・m)/6500rpm
始動方式:セルフスターター
潤滑方式:ウェットサンプ
燃料供給方式:フューエルインジェクション
トランスミッション形式:常時噛合式6段リターン
クラッチ形式:湿式多板
ギヤ・レシオ
 1速:2.833
 2速:1.875
 3速:1.364
 4速:1.143
 5速:0.957
 6速:0.840
1・2次減速比:3.041・3.642
フレーム形式:ダイヤモンド
懸架方式前:テレスコピック正立式φ41mm
懸架方式後:スイングアーム・リンク式モノショック
タイヤサイズ前:2.75-21
タイヤサイズ後:4.10-18
ブレーキ形式前:油圧式シングルディスク
ブレーキ形式後:油圧式シングルディスク
使用燃料:無鉛レギュラーガソリン
燃料タンク容量:8.1L
乗車定員:2名