SOEC共電解は、水蒸気のみならず二酸化炭素も電気分解し、合成燃料の原料となる水素と一酸化炭素を同時に生成することが可能とされる。また、三菱重工は、独自技術の円筒形セルスタック※3を開発している。このセルスタックで共電解を行うことで、プロセスの簡素化と、高効率な電解による経済性の向上が期待でき、コスト競争力の高い合成燃料の製造が可能になる。
国際民間航空機関(ICAO)は、国際航空分野におけるCO2排出量を2050年までにネットゼロとする⽬標を掲げている。その達成においては、SAFなどの低炭素燃料と炭素クレジットが7割以上となる⾒込みのため、今後、世界的にSAFの需要が⼤きく拡大する⾒通しとされている。三菱重工はSOEC共電解と既存のFT合成プロセスを組み合わせた一貫設備を通じて、付加価値の高いSAF製造装置の提供が目指される。
また、SOEC共電解で生成される水素と一酸化炭素は、SAFのほか、自動車や船舶向けのカーボンニュートラル合成燃料(ガソリン、ディーゼル、メタノール、メタン)、都市ガス(メタン)の原料にもなる。このようにSOEC共電解の技術は適用先が多数あることから有望であり、脱炭素社会の実現に向けて多様な選択肢を提供することが可能。


【注釈】
- SOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell:高温水蒸気電解)共電解は、固体酸化物を電解質に用いて、二酸化炭素と水蒸気を同時に高温で電気分解する技術。
- FT(Fischer-Tropsch:フィッシャー・トロプシュ)合成は、水素と一酸化炭素を化学反応させて、液体の炭化水素などを生成する技術。ドイツの化学者フランツ・フィッシャーとハンス・トロプシュの名前に由来。
- 複数のセラミック機能膜を円筒形に成型したもの。


