試乗車はバッテリー容量が78kWhの「B7」
2010年12月に初代「ZE0型」を発売し、そこから約15年間、量産EVのパイオニアとして駆け抜けてきた日産リーフが3代目へとフルモデルチェンジ。これをいよいよ一般公道で試す機会がやってきた。

ちなみに筆者はこれまでに、北米仕様をベースとしたランニング・プロトタイプと、これをベースに足まわりを練り上げた日本仕様のプロトタイプを、日産グランドライブ(日産追浜試験場のテストコース)で試乗している。その経験も踏まえながら、リアルワールドでの乗り味を評価してみたい。


リーフのラインナップはバッテリ容量で分けてふたつ。ひとつは55kWhのバッテリーを搭載し、最大で521km(WLTC値)の航続距離を実現する「B5」で、もうひとつは78kWhのバッテリーによって、同じく最大702km(WLTC値)を走れる「B7」だ。
※「B5」は「S」グレード、「B7」は「X」グレードの数値。

今回試乗したのは「B7」で、グレードは最も豪華な仕様となる「G」。外観ではヘッドライトがアダプティブLEDシステムとなり、シグニチャーランプもLEDタイプに。またリヤコンビネーションランプは3Dホログラムタイプになり、19インチホイールを装備していた。
先代モデルから大幅に進化したハンドリングと優れた乗り心地

成田空港にほど近いホテルをベースに、一般道と高速道路を交えて試乗。新型リーフを走らせてまず最初に感じたのは、乗り味のどっしり感だった。
ユーザーが乗り心地にこだわる日本仕様は、その足まわりが北米仕様に較べてしなやかに設えられているはず。しかしその乗り心地は特にリヤまわりの座りが効いており、とても剛性感が高かった。

これこそが、現行モデルから採用されたリヤのマルチリンクサスペンションの効果だろう。上位モデルであるアリアのコンポーネントをコンパクトなボディに投入したことで、その乗り味は先代モデルと較べ、明確に上質な仕上がりとなっている。

骨格やシートがしっかりした分だけ、個人的にはリヤのバネ・ダンパー剛性をもう少し落としてもよいと感じたが、高速巡航時をも考えれば妥当な線か。試乗車はまだ走行2000kmに満たない新車だったから、これが馴染めばさらに懐が深くなるかもしれない。

また装着タイヤは235/45R19サイズのダンロップ「e.SPORT MAXX」だったから、やや縦バネが強くなっていることも勘定にいれるべきだ。

カヤバ製のダンパーはピストンスピードが低い領域でも減衰力がきちんと立ち上がる印象で、EV特有の横揺れ感を上手に抑え、段差やアンジュレーションで乗員の頭がぶれにくい。モーター、インバーター、減速機を一体化した3in1パワーユニットは、ロードノイズなど外乱の相殺もあって、振動が感じられず静かだ。タイヤハウスの遮音性がもう一歩高まれば、「小さな高級車」と呼べる仕上がりである。

ハンドリングも、とても素直になった。
先代モデルはここがやや緩慢だった。開発陣はかつて「既存のFWDモデルから乗り換えても違和感がない操作性を目指した」と述べていたが、ガソリンモデル共通プラットフォームにトーションビーム式リヤサスペンションという構成上の制約もあったはずだ。

対して新型リーフはCMF-EVプラットフォームを基軸としたことで、マルチリンク式サスペンションの恩恵を引き出している。低重心なEVの特性を生かしきり、リニアなハンドリングを実現できるようになった。

また適度に足まわりを締め上げたことで、先代モデルに対して前後ピッチがほぼなくなった。通常モードで初期の加速レスポンスを穏やかに制御しているせいもあるが、その加速度は早すぎず遅すぎず、実に心地良い。意地悪なアクセルワークを試しても、モーターのバックラッシュ感がないのもいい。

高速道路(東関東自動車道)でのクルージングはさらにフラットだ。
前輪駆動ゆえに直進性も高く、19インチタイヤがわだちにハンドルを取られることもない。荒れた路面がもたらす強い突き上げも、ダンパーが上手にその衝撃を減衰してくれる。

気になったのはAピラーの傾斜がやや強いこと。0.26というCd値で電費を稼ぐ姿勢はわかるが、もう少し斜めの視界を広く確保したい。日産らしさで解決するなら、ピラーの内側に死角を見通すデジタルウインドウを付けてもよいと思う。

高速道路で120km/hのハンズフリー走行を試す
ハイライトはプロパイロット2.0を使った120km/hのハンズフリー巡航だ。
スカイラインに初搭載された頃はかなりのマージンをもって作動していたハンズフリーも、いまや素早く起動するようになった。

制限速度120km/h区間でもシステムは車線を真っ直ぐ維持し、前走車との車間はもちろん、進路変更してくる車輌も適切にセンシングしてくれた。ウインカー連動の自動車線変更はしないが、手を添えていれば操舵支援はしてくれる。
120km/hのハンズフリー体験はなかなかに刺激的で、技術の進歩を感じる瞬間だった。車内でも編集担当氏と一緒になって、その半自動運転状態に、ここぞと盛り上がった。

しかし俯瞰して考えれば、ここで盛り上がってる場合じゃない、と感じたのも事実だ。
ハンズフリーの本質はドライバーの疲労軽減であり、高速巡航下でも当たり前にリラックスしているのが理想だ。現状はまだ「手放し運転に喜んでいる状態」であり、言ってみれば「我が子の運転を見守る親の心境」に近い。

そして完全なリラックスを得るには、もう少しだけクルマ全体が醸し出す安定感が必要だと感じた。大げさに言えばそれは、200km/hで走っていても安心できるような、圧倒的な接地感だ。地図データの読み込み精度が向上し、センサー類や操舵の制御もよくなった。次は可変ダンパーを用いて車体をフラットに維持できれば、さらに理想に近づくだろう。

また4WD(eー4ORCE)の採用も有効だが、そうなれば価格は限りなくアリアに近づいてしまう。日産的にも当面その予定はないとのことだが、「NISMO」仕様などから展開しての拡充を期待したい。
| 車名(グレード) | 価格 |
| アリア(B6) | 667万5900円 |
| アリア(B6 e-FORCE) | 728万900円 |
| アリア(B9) | 746万7900円 |
| アリア(B9 e-FORCE) | 807万2900円 |
| リーフ(B5 S) | 438万9000円 |
| リーフ(B5 X) | 473万8800円 |
| リーフ(B5 G) | 564万8500円 |
| リーフ(オーテックB5) | 616万2200円 |
| リーフ(B7 X) | 518万8700円 |
| リーフ(B7 G)※試乗車 | 599万9400円 |
| リーフ(オーテックB7) | 651万3100円 |
パドルタイプの回生ブレーキは積極的に使いたくなる
リーフといえば「ワンペダル」操作だが、試乗車である「G」グレードには回生ブレーキパドルが付いてたから「e-Pedal」ボタンはあまり必要ないと感じた。ちなみに回生レベルはパドルが4段階で、ボタンを押すと最大制動が得られる。

回生ブレーキを利用した走りは街中でもペダルの踏み替えが減って便利であり、高速巡航だと前後の車間をスマートに調整できる。任意にその強さを選べる点では、パドルが便利だと筆者は感じた。

SOC(State of charge=充電率=バッテリー残量)84%からスタートし、一般道から高速道路を26km走った残りは79%、航続可能距離は484kmだった。今回は時間が限られていたこともあり、途中サービスエリアに立ち寄り、150kW充電器で87%まで11分ほど充電体験をして帰路についた。本来であれば長距離移動をこなし、10-80%時の充電を35分でこなすという急速充電のメリットを体験したいところだが、次回におあずけだ。

新型リーフはアリア世代のコンポーネンツを共用しているため、電圧システムは400V級となっている。しかし高圧・高出力充電器のインフラが整いきらない日本だと、800V級システムはまだ「持て余す」存在だ。
対してリーフはパワートレインやエアコンを交えたサーマルマネージメントによって充電効率を上げながら、ようやく150kW充電器が増え始めた状況にぴたりと追従している。Googleマップと連携すれば、目的地に着くまでの充電のルートプランも構築できるのも心強い。

そう考えれば200kW超の充電インフラが当たり前に整うまで、新型リーフは極めて現実的で、長く現役を張れるEVに仕上がっていると感じた。












