

先生(右):損 保太郎
某損保サービスセンターに勤務。今回は一般的に理解されにくい非弁行為について解説するよ。
生徒(左):モン太
もらい事故でしんどい時に自分で示談交渉!? そんなのひどすぎるモン。なんでか教えて!
もらい事故の示談交渉の代行は法律違反になってしまう?
モン太 不吉なタイトルだモン。保太郎さん! 仕事したくないからって嘘をついているんじゃないモンか?
損 保太郎(以下 保太郎) そんなことはないよ。完全なもらい事故の場合は、保険会社が被保険者に代わって示談交渉をする(以下、示談代行)ことが禁じられているんだ。
モン太 この期に及んで往生際が悪いモン。それだったらなんのために保険に入っているかわからないモン。
保太郎 ぼくらもお客様からそのように言われることはよくある……。そんなわけで、今回はこの部分について解説するね。
まず禁止されている根拠は弁護士法72条にあるんだ。要約すると、ここでは、弁護士でないものが「反復」して「報酬を得る目的」で「他人」の「法律事務」を取り扱ってはいけないと規定されている。示談についてもここでいう法律事務の範疇で、これに違反することを非弁行為と定義して禁止しているんだ。
モン太 なんか難しい言葉で丸め込もうとしているモンな。じゃあ普通の事故の場合はどうして示談交渉をやってくれるモンか?
保太郎 契約者に過失がある事故の場合は、保険会社は対物賠償責任保険や対人賠償責任保険の支払責任が発生する。つまり被保険者が支払うべき賠償金を保険金として支払う義務がある。また、等級が下がることを嫌がり被保険者が保険を使うの拒否した場合でも、一定の手順を踏めば被害者が直接加害者の保険会社に請求することができる直接請求権が認められている。おおまかに言うと、保険会社が「当事者」に代わって示談交渉をやってくれるというわけ。
モン太 なるほど。被保険者に過失があって、賠償金を支払う必要がある場合は示談代行ができるってことだモンな。例えばどんな事故の場合はダメだモンか?
保太郎 事故形態で言うと、信号待ちの時に追突された場合や、センターラインオーバーや信号無視で相手に突っ込まれたような場合は被保険者に過失が無いため保険会社が示談交渉することはできないんだ
弁護士法 第72 条
弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。
困った時は第三者機関で弁護士に相談するのも手「弁護士費用特約」も加入しておくと安心だ
モン太 素人の自分が百戦錬磨の保険会社と直接交渉しなくちゃいけないってのはすごく心細いモン。
保太郎 確かにそうだよね。事故ってそう経験するものじゃないし、普通の人は知識も経験もないから、自分で交渉するのはすごく不安だよね。だけど必要以上に心配することはないよ。たいていの場合は円満に解決しているから。
だけど、やはり賠償額などで争いが起きることも一定数はある。そんな場合は、第三者に判断をゆだねるのも手だ。
代表的な第三者機関としては、「交通事故紛争処理センター」がある。センターに申し入れをすると、センターの相談担当弁護士が中立公正な立場で相手の保険会社との間に入って交通事故の解決を無料で斡旋してくれるんだ。
他にも損害賠償請求額が60万円以下であれば、地域の簡易裁判所へ自分で少額訴訟を起こすことができる。少額訴訟は手続きが簡単で、即日判決が下される。費用も1万円前後なので通常の訴訟に比べればリーズナブル。詳しくはインターネットで調べてみてね。
モン太 いざという時はそんな解決方法もあるモンね!だけどちょっと大変そうだモン。
保太郎 あとは、示談交渉ができなかったとしても加入している保険会社には連絡はしてね。
モン太 なんでだモンか?なんにもしてくれないのに!
保太郎 「弁護士費用特約」に加入していれば、弁護士との相談費用や弁護士へ交渉を依頼する時にかかる費用が保険金として受け取れるからね。完全なもらい事故の場合は示談代行自体はできないけど、車両保険や、ロードサービスの特約や人身傷害保険などで保険金を受け取れる場合もあるしね。嫌な思いをしないためにも加入を検討してみてもいいかもしれないね。
※本文中に登場する過失割合はおおまかな目安です。事故が起きた際の状況によって変化します。
※この記事は月刊モトチャンプ2024年3月号を基に加筆修正をしています
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