YECVTがもたらす新次元の走行フィール

ヤマハ発動機が誇るMAXシリーズに、2026年型の「NMAX155 Tech MAX」が欧州で加わった。最大のトピックは、新開発YECVT(Yamaha Electric Continuously Variable Transmission)の採用にある。電制制御によって変速特性を自在に変化させるこのシステムは、従来のスクーター像を塗り替える走行体験を実現する。
ライダーはSportモードとTownモードを選択可能。Sportでは変速比を低めに設定し、より高回転を維持することで鋭い加速を引き出す。例えば60km/hでの加速時、Sportでは約6000rpm、Townでは約5000rpmとなり、体感できるレスポンス差が生まれる。減速時にも制御は及び、Sportでは60km/hから30km/h域で強めのエンジンブレーキが働き、よりダイレクトなコントロール性を提供する。エンジン停止後も最後に選択したモードを記憶する設計とした。
Downshift機能とEURO5+ Blue Coreエンジン
YECVTの進化はそれだけに留まらない。新搭載のDownshift機能は、シフトボタン操作や急激なスロットル開度変化に応じて即座に回転数を引き上げ、より力強い加速を生む。減速時にはエンジンブレーキを強調し、マニュアル車のような積極的な走りを楽しめる。
心臓部はEURO5+適合の155cc Blue Coreエンジン。可変バルブ機構VVAを備え、低燃費と高効率を両立する。クランクシャフトやクランクケース、吸排気系、オイルポンプを刷新し、油圧式カムチェーンテンショナーも採用。摩擦低減と静粛性向上を図った。燃費は2.4L/100km、CO₂排出量は57g/kmを実現する。アイドリングストップ機構とスマートキーも標準装備とした。
MAXデザインとプレミアム装備
2001年に登場したTMAX以来続くMAXシリーズのDNAを色濃く継承。ブーメラン形状フレームを核に、短いオーバーハングと縦基調フロントフェアリングが力強い存在感を放つ。広いフットボードは多様なライディングポジションに対応し、市街地から郊外まで快適性を確保する。
4.2インチカラーTFTディスプレイはGarminナビゲーションに対応。ヤマハのMyRideアプリと連携し、通話やメッセージ通知、音楽再生機能を表示可能とした。シートはゴールドステッチ入りのエコレザー仕様。Tech MAXにふさわしい上質感を演出する。
シャシー性能と市場での存在感
軽量コンパクトな車体はしなやかさと剛性のバランスを追求。フロント100mm、リア91mmのサスペンションストロークが都市部の荒れた路面にも対応する。13インチホイールに110/70-13(前)、130/70-13(後)タイヤを組み合わせ、前後230mmディスクブレーキとABSで制動力を確保した。フルLED灯火類が夜間視認性を高める。
NMAXシリーズは欧州で累計18万台以上、世界では約500万台を販売し、ヤマハの欧州市場スクーター販売の4台に1台を占める存在へと成長した。新型NMAX155 Tech MAXはCrystal GraphiteとMidnight Blackの2色を設定し、価格は4099ユーロ。A2・A3ライセンス層が125ccからのステップアップを図る選択肢として、有力なポジションを築く一台となる。

