スポーティかつ上質な装いが魅力のディーゼル専用グレード「XD Drive Edition」

マツダCX-60にクリーンディーゼルエンジン専用の新機種「XD Drive Edition」が追加になったのは2025年10月のことである。「スポーティな外観と力強さ、上質さを両立したモデルで、長距離ドライブを快適かつ経済的に楽しみたい人」に向けて企画された機種だ。外観ではフロントグリル、シグネチャーウイング、ドアミラー、アルミホイールがブラックとなり精悍な印象。インテリアでは本革シートを採用しているのが特徴となる。

2025年10月に追加された「XD Drive Edition」。パワートレインは3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンで、レザーシート(グレージュ/ブラック)、ドアミラー(ピアノブラック)、シグネチャーウイング(ブラッククローム)、フロントグリル(ハニカムタイプ/ピアノブラック)、アルミホイール(20インチ/ブラックメタリック塗装)といった装備が追加されている。

試乗車はNappa Leather Packageだった。シートが本革であることはベース車と変わりないが、しなやかさと柔らかさが特徴のナッパレザー仕立て。カラーはブラックだ。これに合わせ、インパネデコレーションパネルは同じブラックでコードバン調の合成皮革となり、シックな雰囲気が漂う。そして、シートに施されるカフェラテ色(?)のステッチとセンターのベルトがいいアクセントになっている。運転席&助手席にシートベンチレーションが付くのも、Nappa Leather Packageの特徴でありセールスポイントと言えるだろう。

試乗車は「XD Drive Edition Nappa Leather Package」。素の「XD Drive Edition」に対して、シートがベンチレーション機能(前席)付きのナッパレザー(ブラック)に、インパネデコレーションパネルがシュリンク調からコードバン調となるほか、Boseサウンドシステムも備わる。車両価格は「XD Drive Edition」が427万200円(2WD)/449万5700円(4WD)、「XD Drive Edition Nappa Leather Package」が456万5000円(2WD)/479万500円(4WD)。
見た目ヨシ、座り心地も快適なナッパレザーシート。ブラックのシートカラーは落ち着いた印象で、ボディカラーのソウルレッドクリスタルメタリックとの相性も上々だ。

ボディカラーはマツダ車のド定番とも言える、ソウルレッドクリスタルメタリックだ。赤と黒のコントラストがスポーティさを一段と際立たせる。エクステリア、インテリアともに、スポーティさとプレミアムなムードが絶妙に同居している印象だ。

エンジンは3.3L直列6気筒ディーゼル。これを縦置きに搭載し、8速ATを組み合わせる。発進デバイスにトルクコンバーターを使わず、湿式多板クラッチを使うのがマツダのこだわりで、ダイレクト感と伝達効率を重視しての選択だ。AWDモデルは縦置きトランスミッション後端のトランスファーで動力を分岐させ、フロントにも動力を伝える。

3.3L直列3気筒ディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 3.3」。最高出力170kW(231PS)/4000-4200rpm、最大トルク500Nm/1500-3000rpmを発生する。
トランスミッションはトルコンレスの8速AT。電子式のシフトレバーは逆L字のパターンが特徴だが、これは誤操作を防ぐために、「P」「R」「D」のレンジをすべて突き当ての位置に配置することにこだわったものだ。

120km/hのハイウェイクルージングは余裕しゃくしゃく。長時間ドライブも疲れ知らず

今回はディーゼルエンジンの真骨頂を味わおうと、ロングドライブを敢行した。東京23区の西の端にある用賀駅を起点に、一路(と言いつつ途中で寄り道するのだが)、奈良県大和郡山市の郡山城跡を目指した。NHKで放送中の大河ドラマ『豊臣兄弟!』にかこつけた選択である。主人公のひとり、仲野太賀演じる小市郎(後の豊臣秀長)が居城としたことで知られる城跡だ(と、さも前から知っていたかのように記す)。

その郡山城跡まで、460kmほどである。駅付近から2kmも走るともう東名高速・東京インターチェンジだ。縦置きパワートレーンをスリムに設計したため、無理のない快適なドライビングポジションがとれる。いや、順番は逆で、無理のない快適な姿勢がとれるよう、縦置きパワートレーンをスリムに設計したのだ。体が変にねじれたりしないので、腰に負担がかからず(シートもいいのだろう)、疲れ知らずである。長時間ドライブが苦にならない。

縦置きかつコンパクトなトランスミッションのおかげで運転席の足元スペースにも余裕があり、最適なドライビングポジションがとりやすいのもCX-60の美点。長時間の運転の疲れにくさにも貢献する。

横着なたちなので、さっそくマツダ・レーダー・クルーズ・コントロール(MRCC)をオンにした。いわゆるアダプティブクルーズコントロール(ACC)である。ステアリングホイールのスポーク部右側にMRCC系のスイッチが集中配置されている。指先の2アクションで機能がオンになる。朝の7時台ではあったが横浜青葉IC付近から渋滞は始まっており、ときおり停止を強いられたり、低中車速域で加速や減速をランダムに強いられたりする。MRCCは全車速追従機能付きなので、そんなときもクルマ任せでいられる。先行車の動きに追従しきれずにストレスを感じることもない。これなら楽ちんだ。

渋滞を抜けたらこっちのもので、制限速度100km/h区間では100km/hに車速をセットし、新東名に入って制限速度が120km/hになったら120km/hにセットすればいい。CX-60はビシッと安定した姿勢で突き進む。

ACCのコントロールは、ステアリングホイールのスポーク右側に集中配置されたスイッチで行なう。
ACCをセットすると、12.3インチのフル液晶メーターの表示も切り替わる。ヘッドアップディスプレイの画面はCX-30より3倍も大きく、目線を逸らすことなく車両の情報を掴みやすいのもうれしい。

高速道路で長時間走行を体験し、気づいたことがいくつかある。超がつくほど静かなのだ。市街地走行では耳に届いたエンジン音は風切り音やロードノイズにマスクされ、一切耳に届かない。じゃあ風切り音やロードノイズが騒々しいかというとそんなことはなく、図書館並みと言って言い過ぎなら、オフィス並みの静けさである。同乗者との会話を、声を張り上げることなく楽しめるし、オーディオシステムが奏でる音楽に耳を傾けるのもいい。

今回のロングドライブでは特別な燃費走行は行なわず、交通の流れに乗って走行した。新東名高速道路での120km/hクルーズも、CX-60なら快適そのもの。

ちなみに、100km/h走行時のエンジン回転数は1500rpm程度、120km/h走行時は1800rpm程度でしかない。遮音・吸音が行き届いているのもあるだろうが、そもそもエンジン回転が低い。それで充分な出力/トルクが出ているということだ。さらに言うと、最高出力は170kW/4000-4200rpm、最大トルクは500Nm/1500-3000rpmである。

気づいたことその2は、直進安定性に優れていることだ。フラットに見える道でも実際には細かな凹凸があり、こうした外乱を4つのタイヤがランダムに受けてサスペンションが縮んだり伸びたりする。すると、上屋が揺れて乗り味に影響を与えたりしそうなものだが、CX-60はフラットな姿勢を保ったままだ。進路が乱れる素振りを見せることもない。だから、ストレスがない。

サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リヤがマルチリンクを採用。XD Drive Editionのタイヤは235/50R20サイズを履く(試乗車のタイヤ銘柄はブリヂストン・アレンザ001)。

その印象は後席に場所を移しても変わらない。ひと言で表現すれば、やはりフラット。至って快適な移動空間である。足もとと頭上のスペースにゆとりがあるのもいい。着座した際に前席に比べてやや中央寄りに位置するレイアウトのおかげもあり、前席乗員との会話がしやすく感じるし、フロントウインドウ越しの景色が視界に入りやすく、開放感を感じるのもいい。ときおり、フロントは静かだけでリヤは騒々しいクルマに出会うことがあるが、CX-60はそんなことはなく同質である。ユーティリティ面では、後席にもシートヒーターが装備されており、USBのポート(Cタイプ2口)が用意されているのがいい。

CX-60は運転するのも楽しいが、ゆとりあるスペースを備える後席でリラックスして過ごすのもまた一興だ。

サービスエリアから本線に合流する際は、ディーゼルエンジンの力強さを実感した。新東名を含めて制限速度120km/hの区間が増えるにつれ、120km/hで走行する機会が増えてきた(もちろん、無理に120km/hで走る必要はない)。たかが20km/h、されど20km/hである。100km/hではなんともなかったのに、120km/hで走ろうとすると「あれ?」と感じることがある。振動や騒音から、エンジンも車体もいっぱいいっぱいな感じが伝わってくるのだ。100km/hで走っているときと同じようにリラックスして走ることはできず、緊張を強いられる。そんな経験をしたことはないだろうか。

3.3L直列6気筒ディーゼルエンジンを積むCX-60 XD Drive Editionの場合、120km/hの定常走行は余裕しゃくしゃくである。エンジンにも車体にも余裕があることが、落ち着いたクルマの様子から伝わってくる。加速シーンでは、120km/hに到達するのが目一杯というわけではなく、ただの通過点でしかないのを感じる。何をするにも余裕があるので、ストレスがない。長距離を移動する際に何度も遭遇する追い越しも苦にならない。ただただ、力強さが頼もしい。

自然の絶景や古い町並みに映える魂動デザイン。山道では走りの一体感に浸る

三重県に入ってしばらく走ったところで、寄り道をした。三重県名張市南部にある青蓮寺湖(アーチ式コンクリートダムの青蓮寺ダム。昭和45年7月運用開始)とその周辺である。春は桜、秋は紅葉が見物だそう。個人的には湖の南側に位置する香落渓(かおちだに)の柱状節理が見られて満足だったし、青蓮寺湖の周辺に架かって構造美を見せる青い橋(青蓮寺橋)と赤い橋(弁天橋。どちらも昭和44年竣工)を見て目の保養になった(保養とする対象がちょっとおかしい気もするが)。

三重県名張市、青蓮寺川の上流域に位置する渓谷「香落渓(かおちだに)」。火山の噴火によって堆積した火成岩が長い年月を掛けて侵食され、雄大な岩壁がつくり出された。ちなみに「柱状節理」とは、溶岩が冷えて固まる際にできる柱状の割れ目のこと。
高さ82mのアーチ式コンクリートダムの青蓮寺ダム。1970年に竣工され、左手に見えるダム湖(青蓮寺湖)が生まれた。
青いアーチが青空と美しい調和を見せる青蓮寺橋。こうした寄り道もクルマで行く旅の醍醐味だ。

湖や渓谷に向かう山道はCX-60よりもロードスターに合っていそうな道幅ではあったが、相棒がCX-60だったからかもしれず、存外楽しめた。向きを変えるのに間があったり、向きを変えるたびに大げさに揺れたりせず、決して俊敏とは言えないけれど、狙いどおりのラインをしなやかに姿勢を変化させながらトレースしてくれるので、道幅が狭く曲率の小さなコーナーでも安心して進入していける。運転のリズムが作りやすいのもCX-60の美点だ。ドライバーの思いと操作に対して素直に反応し、余計な動き、無駄な動きがないのがいい。

CX-60のボディサイズは全長4740mm×全幅1890mm×全高1685mm。決して小さいボディではないが、こうした山道を運転していると一体感を抱けるのは、ドライバーの操作に忠実に反応してくれるからなのだろう。

山を下り、池のほとりにあるカフェに飛び込みで入って、ランチタイムは過ぎているのにご厚意でランチプレートを用意していただいた。うまい! 旅先でいい雰囲気のお店やいい味に出会うと気分が上がる。

移動と撮影に追われて、2時過ぎにようやく駆け込んだカフェでランチをいただく。ハンバーグもグラタンも美味!

奈良までは名阪国道(自動車専用道路)を走った。アップダウンが激しくカーブが連続するルートを大型トラックがいい調子で走っている。しかも交通量が多い。小さなクルマなら気後れしそうだが、CX-60に乗っているおかげで堂々としたものである。機械抵抗を含めて走行抵抗が極めて小さいのか、下り勾配ではギヤを何段か落としても期待したほど減速してくれず、「仕方ない、ブレーキ踏むかぁ」となったシーンが何度かあった。この抵抗の小ささが、いい燃費を生む理由のひとつなのだろう。

郡山城跡に着いたのは夕方だった。城下町あるあるで、道が碁盤の目状に張り巡らされているのはいいが、道幅が狭いのには閉口する。角を曲がって狭い道に入るときは問題なかったのに、奥で道幅がさらに狭くなるとは知らず、肝を冷やした。1890mmの車幅がうらめしくなったが、見切りがいいので案外、狭い道での扱いに苦労しない。

大河ドラマ『豊臣兄弟!』にすっかりハマってしまった編集部員、その強い希望により目的地となったのが奈良県大和郡山市。郡山城は豊臣秀長(秀吉の弟)が天正13年(1585年)に城主となって大改修を実施した。こちらは復元された追手門。

発見だったのは、前輪がよく切れることだ。山道も含めて何度方向転換を行ったかしれないが、これで目一杯かなと思ったよりももう一段切り増しができる。クルマの体格から「切り返しが必要かな」とイメージするシチュエーションでも一発でクリアできるシーンが何度もあった。

全長が4740mmあり、ホイールベースが2870mmあるCX-60の最小回転半径は5.4mでしかない。CX-30(全長4395mm、ホイールベース2655mm)の最小回転半径が5.3m、現行CX-5(全長4575mm、ホイールベース2700mm)の最小回転半径が5.5mと記せば、CX-60の取り回しの良さが伝わるだろうか。意外に小回りが利くのである。駐車場に出入りしたり、転回したりという、日常使いで小回りが利いてほしいシーンで、CX-60は思った以上に期待に応えてくれる。だから、ここでもストレスがない。

郡山城にほど近い紺屋町は、染め物屋が集まる町だった。道路脇には、染め物を洗うための水路が今も残る。箱本館「紺屋」は、元藍染商の町家を再生した観光施設で、藍染体験も受け付けている。

翌朝は早起きして奈良市の朱雀門ひろばと東大寺を訪れた。満足である。奈良公園では鹿をたくさん見た。交差点では律儀に横断歩道を渡っているシーンに出くわした(歩行者側は赤信号だったが)。心残りがあるとすれば、奈良漬けを食べ忘れたことくらいだ。

「なんと(710)見事な平城京」でおなじみ(!?)、奈良時代に日本の首都だった平城京。その正門にあたるのが朱雀門だ。現在は復元された建物やその前の広場を含む、平城京跡歴史公園が整備されている。
奈良公園には多くの鹿が生息している。その数、なんと1300匹以上だとか。

高速では20km/Lを楽々クリア。1000kmを走行して7000円弱の燃料代はお得感アリ

帰路は名阪国道まで向かうルートに山道を選択した。たまたま、前にロードスターがいたので思わずランデブー(相手がその気かどうかは知らない)。ドライブモードをSPORTに切り換えるとデジタルメーターが表示する計器盤はレッドに切り替わり、気分を盛り上げる。エンジン回転を高めに保つ制御になってアクセルペダルの動きに対する追従性は上がり、NORMALモード時よりも俄然元気になる。

ノーマル、スポーツ、オフロードの3種類が選べるドライブモード(Mi-Drive)。PHEVモデルではEVモードも用意される。切り替え用のスイッチは、シフトレバーの奥に配置されている。

東京・用賀駅周辺に戻って来て給油した時点で、ロングドライブの総走行距離は1001kmになった。残り走行可能距離は37kmである。メーターが表示する平均燃費は18.3km/L。満タン法で算出すると19.1km/Lになった。今回のドライブでは撮影のためにエンジン停止と再始動を繰り返したり、撮影スポットから撮影スポットへ移動するのにごく近距離の移動を繰り返したりした。奈良ではその間、18km/L台を記録していた平均燃費が16km/L台まで落ちたのを確認している。

東京と奈良を往復した1泊2日のロングドライブ取材、総走行距離は1001km。車載の平均燃費計は18.3km/L、満タン法での燃費は19.1km/Lだった。モーターによるアシスト機構がない純内燃機関車でこの燃費性能は立派のひと言。道中、撮影のための寄り道がなければ、もっと燃費は伸びたはずだ。
ワンタンク1000kmをこなす足の長さが自慢のCX-60。ロングドライブでは給油のわずらわしさを軽減してくれるのもうれしい。

帰路の高速道路では21km/L台の区間燃費を示していた。純粋に旅の移動だけなら、ワンタンクでこなす往復1000kmのドライブはずっと余裕でこなすことができただろう。ちなみに、1001km走行した時点で給油した際の燃料(軽油)代は6864円である。ディーゼルエンジンの燃費の良さに燃料代の安さが掛け合わされるので、お得感はグンと増す。

マツダCX-60 XD Drive Editionはただ経済的なだけでなく、プレミアムなムードたっぷりの空間に身を任せながら、疲れ知らずの快適な走りとスポーティな走りがシチュエーションや気分に応じて味わえる。そこが魅力だ。付け加えれば、室内および荷室空間にゆとりがあり、取り回しは望外にいい。これほどスマートなチョイスはなかなかない。

マツダCX-60 XD Drive Edition Nappa Leather Package(4WD)
全長×全幅×全高:4740mm×1890mm×1685mm
ホイールベース:2870mm
乗車定員:5名
車重:1870kg
サスペンション:Fダブルウィッシュボーン式/Rマルチリンク式 
駆動方式:4WD
エンジン
形式:直列6気筒DOHCディーゼルターボ
型式:T3-VPTS型
排気量:3283cc
最高出力:170ps(231kW)/4000-4200rpm
最大トルク:500Nm/1500-3000rpm
燃料供給:電子式(コモンレール)
最小回転半径:5.4m
燃料:軽油
燃料タンク:58L
トランスミッション:トルクコンバーターレス8AT
燃費:WLTCモード 18.4km/ℓ
 市街地モード15.2km/ℓ
 郊外モード:18.2km/ℓ
 高速道路:20.5km/ℓ
車両本体価格:479万500円