
乗り方やメンテナンスでバッテリーの寿命を伸ばすこともできる
バイクに搭載されているバッテリーは乗らない間も放電してしまうので、いつの間にか弱っていることも多い。特に冬の間は乗らない期間も長くなり、いざ乗ろうと思ったときにはセルモーターが回らないし、キックしてもなかなか掛からないなんてこともよくある。
昔のバイクであれば、燃料の供給はキャブレターから、エンジンの点火もマグネット式だから、バッテリーがなくてもキックや押し掛けでエンジンを掛けることができたのだが、現代のバイクはほとんどがインジェクション(FI)を採用しており、バッテリー点火式。エンジンだけでなくトータルで電子制御されている車両もあり、スマートキーを採用するモデルもあるほど。バッテリーが弱っているとロックの解除すら困難になってしまう場合もあるのだ。ツーリング先などで困らないようバッテリーの状態は気にするクセをつけておきたい。
乗り方やメンテナンスでバッテリーの寿命を伸ばすこともできるので、これを機にバッテリーのメンテナンスにも注目してみよう。
●弱ったバッテリーを復活させる!?
弱ってしまったバッテリーは充電器で充電するのが基本。エンジンが掛からないほどの放電を繰り返したバッテリーは性能が低下していることも多いので、修復機能のついた充電器やバッテリー強化液で性能を回復させることもできる。
復活テクその1 パルス付きの充電器を使う

高機能のバッテリー充電器にはパルスを発生させてサルフェーションを取り除いたり、バッテリーの状態を検知して自動で充電、補修を行ってくれる。

サルフェーションとは、一般的な鉛バッテリー内部の電極盤部分に水垢のような物質が付着してバッテリーの性能が低下してしまう症状。高機能タイプの充電器はこのサルフェーションを充電時に除去してくれる。
復活テクその2 バッテリー強化液を使う

開放型バッテリーの場合、定期的に電解液の補充が必要になる。その際にバッテリー強化液を加えておけば、性能低下を防いで寿命を伸ばす効果が期待できる。

電解液の補充は専用の補充液のほか、不純物を除去した精製水も使用できる。使用中の電解液は希硫酸なので直接手で触れないように注意しよう。
Q. 走ればバッテリーは復活する!?

バッテリーはエンジン内部の発電機によって充電されるので、エンジンを動かせば充電できる。ただし、アイドリング程度だと十分な発電量にはならないので、できれば1時間以上は走った方がいいだろう。いくら走っても充電されない場合はバッテリーが劣化しているか、ジェネレーターなどが故障している場合もあるのでバイクショップで点検してもらうことをおすすめする。
●バッテリーを長持ちさせるコツ
バイク用バッテリーの寿命は約3年といわれるが、使い方によって大きく変わってくる。最もよくないのはエンジンが掛からないほどの放電を繰り返してしまうこと。普段から短距離しか乗らないのであればこまめに充電を行うことで延命できる。また、電装アクセサリーを繋ぎっぱなしにしないなど、バッテリーに負担をかけないように心がけたい。
コツその1 セルは長く回し続けない

エンジンが掛かりにくい場合でも、セルモーターは長時間回さないこと。3〜5秒ほどでエンジンが掛からない時は、キーをオフにして少し時間を置いてから。セルモーターは大きな電流が流れるのでバッテリーにも負担がかかる。
コツその2 なるべく満充電をキープ

一般的な鉛バッテリーは満充電の状態をキープし続けた方が寿命は長くなる。環境が許すならあらかじめ充電用ケーブルを取り付けて、コネクターを繋ぐだけで充電できるタイプの充電器もおすすめだ。
コツその3 長く乗らない時はマイナス端子を外す

冬季や長期出張などであらかじめ長く乗らなくなることがわかっている時には、バッテリーの⊖端子を外しておくと放電が抑えられる。再び乗る前には取り外して充電しておくとモアベター。
●STUDY バッテリーの構造を知っておこう
バイクや車に搭載されているのは「鉛バッテリー」が一般的。内部には鉛の電極板と希硫酸が入っていて、化学反応によって電力を蓄えておくことができる。従来の「開放式」は充電時にガスの発生によって電解液が蒸発するので、定期的に補充が必要だったが、バイク用のバッテリーは電解液を密閉して補充が必要のない」密閉式」が主流になっている。充放電を繰り返すことによって電極板にサルフェーションと呼ばれる硫酸鉛の結晶が付着して、充電性能が低下してしまう。

バッテリーを分解した写真。内部には、プラスとマイナスの電極板がいくつも重ねられ電解液が充填されている。12Vバッテリーの場合はこの電極板が収められた部屋(セル)が6個並んでいる。6V バッテリーなら3個になる。

分解時に少し壊してしまったが、電極板はマットを挟んでいくつもの層になっている。ここにサルフェーションが付着して充電できなくなるとバッテリーの寿命となる。
●STUDY 電圧だけでなく「CCA」数値も重要
バッテリーの性能を示す値は電圧や容量だけでなく、CCAと呼ばれるものがある。CCAはコールド・クランキング・アンペアの略で、バッテリーの始動させる能力を示す値だ。バッテリー性能が低下してしまうと、充電後に12V以上を示していても、セルモーターを回せずに始動できないこともある。CCA の数値は専用のテスターが必要となるので、機会があればショップなどで計測してもらうといいだろう。
●STUDY バッテリーの選び方
バッテリーは必ず指定された型番のバッテリーを使用すること。サイズがほぼ同じでも容量的にマッチしなかったり、密閉式が指定されている車種に開放式を使用すると、液漏れやガスの発生による危険もあるので、間違えないように。より高性能なドライバッテリーやリチウムイオンバッリーも販売されているので、自分の使用状況や適合を確認して使用してほしい。
バッテリーの種類

開放式
鉛の板と希硫酸が充填されている鉛バッテリー。充電時にはガスが発生し、電解液が蒸発するので定期的な補水が必要。横に倒すと電解液が漏れてしまう。昔はこれが一般的だった。

密閉式
構造的には開放式とほぼ同じ。ケースの構造によって内部の電解液を密閉させ、充電時に発生するガスを外部に漏らさない。横向きに搭載できるタイプもある。最もポピュラー。

ドライバッテリー
一般的な液体の電解液の代わりに、ゲル状の電解液や、電極に電解液を染み込ませて密閉したバッテリー。容量が大きくコンパクトにでき、横向きでも縦置きでも搭載できる。

リチウムイオンバッテリー
これまでのバッテリーとは異なり、どちらかといえばスマホのバッテリーに近い。エネルギー密度は鉛バッテリーの3倍なので驚くほど軽いのが特徴。
注意! 古いバイクには6V用バッテリーが必要

現在販売されているバイクはほとんどが12Vのバッテリーを使用しているが、1980年代までのバイクでは6V バッテリーが使用されていることも。間違えて接続すれば電装系を壊してしまうこともあるので注意しよう。補水用のキャップが3個なのが特徴。
季節の変わり目程度の頻度で十分だから愛車のバッテリーの状態、気にしてみてね!
※この記事は月刊モトチャンプ2024年3月号のものです。
