運転感覚と乗り味がこだわり 先進安全機能は最新版を搭載

1997年5月に誕生した初代エルグランドは高級ミニバンというカテゴリーを創出し、高価ながら当初は年間5万台をゆうに超える売れ行きを見せて注目された。

エクステリア

ローフォルムでありながら、3列目まで大人でも実用になるパッケージングを実現している。助手席側のワンタッチオートスライドは全車標準。運転席側は、オプション設定となる「250ハイウェイスター S」のFF車を除き標準になる。パワーバックドアは、「250 ハイウェイスター プレミアム」以上に標準で、ほかはオプション。
安定感を抱かせるローフォルムが特徴。「アーバンクロム」は、クリアブラックのリヤコンビランプやグラファイトフィニッシュのアルミホイールを備える。最小回転半径は5.7m。

2002年登場の2代目はFRレイアウトを踏襲し、先進的な内外装デザインに一新された。ところが、1日違いのタイミングでトヨタが強力な刺客を送り込んだ。両車の販売は当初は拮抗していたように記憶しているが、ほどなく差が開いていき、やがて大きく水をあけられた。続く3代目では方向性を大きく変え、FF化するとともに低床フロアを採用して車高を下げた。当時の開発責任者がFF化と低床化によるデメリットはまったくないと断言していたことが思い出される。

乗降性

だが、ライバルはやはり手強かった。高価なクルマにもかかわらず販売上位の常連に名を連ねた一方で、エルグランドは伸び悩んだ。ライバルが08年以降も15年と23年にモデルチェンジしたのに対し、エルグランドは現行型になった10年からずいぶん時間が経過しても、なかなか次期型に関する有力な情報は聞こえてこなかったところ、ようやく25年のジャパンモビリティショー2025で次期型エルグランドが披露されたという次第である。

インストルメントパネル

黒基調のスポーティな仕立てで、上級仕様は本革巻きかつ木目調コンビステアリングが装備される。3ゾーンオートエアコンが標準で、写真の10 インチナビはオプション。

この15年間で、発売当初は2万台を超えていた年間販売台数も近年は10分の1程度となっているが、あえて選んでくれるユーザーのために、見た目をリフレッシュしたり、先進安全技術をアップデートするなど、できる限りのことをやってきたのは、根強いニーズに少しでもよい形で応えるためにほかならない。ワンステップで車内にアクセスでき、運転感覚においても重心の高さを感じさせない安定したドライブフィールを実現しているのは、低床プラットフォームを用いたからこそに違いない。

居住性

リヤにマルチリンクサスペンションを採用していることも効いて、足まわりにストローク感がある。リヤがダブルウイッシュボーン式のライバルも最新型はずいぶん改善されたが、そのあたりには日産の走りへのこだわりが感じられたものだ。後席の居住性についても、いち早く採用した中折れ機構やオットマンを備えた2列目キャプテンシートにより、申し分のない快適な座り心地を実現している。3列目を跳ね上げ式ではなく、構造がシンプルでシートのサイズやクッション厚を確保する上で有利な前倒し式を採用していることも効いて、3列目の着座感も良好だ。

うれしい装備

シートバック中折れ機構は、背もたれ上部が中折れすることで、身体の負担を軽減。オットマン、角度調整式アームレストも付く「コンフォタブルキャプテンシート」により長時間でも快適な移動が可能。
ラゲッジボードを取り外すと、洗車用品などを積載できる床下収納が出現。9インチ相当のゴルフバッグを立てて積載できるなど、深さのある荷室が美点だ。ベビーカーもタイプによっては横積みが可能。
月間販売台数     127台(25年5月~10月平均値)
現行型発表    10年8月(一部仕様変更 24年3月)
WLTCモード燃費  10.0 ㎞/ℓ※「250」系のFF車

ラゲッジルーム

長らく走りに関する変更は伝えられていないが、当初よりも揺れやノイズが低減して乗り心地や静粛性が向上したり、ステアリングフィールが改善されたりと、時間の経過とともに大なり小なり表に出ないところで改良されてきたことは、年式の新しい個体に乗ると明らかだ。当初は上級グレードでないと設定がなかった先進運転支援機能を含めた装備類も最新版は充実している。販売台数ではライバルに遠くおよばなくても、エルグランドもまた独自の存在感を発揮し続けてきた。いずれ次期型が出てからも、当面はプライドと満足感をもって乗れることだろう。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.173「2026年 ミニバンのすべて」の再構成です。

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