より手が届きやすい「B5」グレードも加わり、実質負担額は300万円台前半からに

EV(電気自動車)は普及の踊り場にあって、“今は旬ではない”…かのような言われ方をしている今日このごろ。しかし、実は今こそEVの買い時なのでは!? 新型日産リーフの公道試乗会に参加して、そんな感想を抱いた今日この頃だ。

試乗車は新型リーフの最上級グレードにあたる「B7 G」。写真のボデイカラーは「ディープオーシャンブルー」で、一見では落ち着いた印象を受けるが、太陽の光が当たるとパールが鮮やかにきらめく。
ボディは先代から全長が120mm短縮され、ハッチバックスタイルからSUVスタイルに一変。全長4360mm×全幅1810mm×全高1550mmで、機械式立体駐車場に対応するのもうれしい(プロパイロット2.0装着車の全高は1565mm)。

そう思った要因のひとつは価格。真っ先にお金のお話をして恐縮だが、新型リーフ「B7」グレードの価格は以下のとおり。

・リーフ B7 X:518万8700円
・リーフ B7 G:599万9400円

絶対的には安くはないものの、注目したいのはEVを購入する際に支給される補助金の存在だ。最大90万円だったものが2026年1月から最大130万円に拡大され、新型リーフも先代モデルでは89万円だった補助金が新型では129万円へと増額されている。さらに自治体独自の補助金を併用できる地域があり、例えば東京都なら60万円の補助金が追加されるため、最上級グレードのB7 Gでも実質的な支払額は400万円台前半まで下がり、買い得感はひと際高まる。

さらに新型リーフは、1月末に価格を抑えたエントリーグレードの「B5」を追加した。そちらの価格は以下のとおり。

・リーフ B5 S:438万9000円
リーフ B5 X:473万8800円
リーフ B5 G:564万8500円

日産リーフ B5グレード。バッテリー容量がB7の78kWhから55kWhに変更することで、よりリーズナブルな価格を実現した。
ボトムグレードとなる「B5 S」のインテリア。

B7とB5は、主にバッテリー容量とそれに伴う航続距離の違いがある。B7は78kWhの大容量バッテリーを積み、WLTCモードで702kmの航続距離を実現。最大急速充電能力も150 kWに対応しており、長距離のドライブでも充電回数を劇的に減らすことが可能となっている。

一方、B5のバッテリー容量は55kWhだが、それでも521kmの航続距離があり、先代の標準モデルを大きく上回る実用性を備えている。また、モーター出力もB7が160 kW (218 ps)/355Nmなのに対して、B5は130 kW (177ps)/345Nmとやや差がつけられている。とはいえ、国の補助金を利用すれば、最廉価グレードのB5 Sならば309万9000円で購入できるという事実には驚き。この実用性や装備と価格のバランスを目の当たりにすると、内燃機関車を購入するのがバカバカしくなってくる…と言っても過言ではないかも!?

新型リーフは2026年1月末時点で約5000台の受注を獲得しており、スタートダッシュは好調の模様。さらにB5グレードが加わることで、どこまで販売台数を伸ばすことができるか注目だ。

日産が誇る緻密なモーターの制御こそスムーズな走りの源泉

さて、今こそEVの買い時と思った理由のその2は、最近のEVが一世代前のものと比べると飛躍的な進歩を遂げていることだ。リーフも初代登場から15年間積み上げてきた知見と経験が新型に存分に活かされており、2代目から3代目のステップアップ幅は実に大きい。

今回の試乗会において、走りの面で特に印象的だったのは、そのスムーズさだ。モーターで駆動するEVはエンジン車よりも滑らかさで勝るのは当たり前…だからといって、すべてのEVが気持ち良くスムーズに走れるというわけでもないのも事実。EVでもその乗り味は千差万別だが、新型リーフはひと際スムーズな印象なのである。

B7 Gグレードのインテリア。すっきりとした水平基調で視界も良好。HVAC(空調システム)をモータールームに配置したことでフロントもフラットフロアを実現。足元が広々としているのも快適だ。

試乗車は最上級グレードのB7 G。搭載するモーターは前述のとおり、最高出力160kW(218PS)、最大トルク355Nmを発生する。最近は出力のインフレ化が著しいEVにおいて、そのスペック自体は特筆するものではない。スタートダッシュではまるで空母からカタパルト発進するかのような、猛烈な加速をかますEVもある中で、新型リーフのそれは極めて常識的なもの。いや、間違いなく速いのだけれど、脳みそが揺さぶられて気持ちが悪くなるような加速ではない。アクセルペダルを踏むと瞬時に加速態勢に移るのだが、EVでよくある「ドカン」という衝撃はなくて、スムーズかつ素早く速度が上乗せされていく。その様子は、「上質な加速感」という表現がぴったりで、やや大げさに言うと、アクセルペダルと足の裏が一体化したかのような感覚を受けるほどである。

「こう動かしたい」という思考とリンクするかのように、加減速・コーナリングも素直に反応してくれるから、運転していても疲れにくいし、心地良い。

この優れたアクセルレスポンスと滑らかさを両立できた要因のひとつが、緻密なモーターの制御にある。例えば、減速から加速に転じる際、モーターのトルクを一瞬抜いてためをつくることで、減速機のギヤが噛み合う瞬間に発生するショックを抑制する制御が盛り込まれているのだが、その単位はなんと1万分の1秒という。こうした高精度なモーター制御こそ、EVの先駆者である日産がこれまで培ってきた技術が表れている部分と言えるだろう。

また、先代リーフのモーターが2分割スキューだったのに対して、新型のモーターは6分割スキューに進化した。分割スキューとは、ローターをいくつかのブロックに分割し、それぞれのブロックを少しずつ角度をずらして積層する構造のことだが、2分割→6分割とすることで振動の次数成分を高周波側、すなわち回転数が高い領域へとシフト。その結果、低〜中速域での静粛性が向上しているのだが、特に中速域でのモーターノイズは約10dBも低減されている(高速域は先代と同等だが、タイヤノイズや風切り音が大きくなるので、モーターノイズは気にならない)。確かに新型リーフではEVにありがちな加速時の「キーン」という耳障りな音があまり聞こえてこない。それだけで、クルマの格が1ランクアップしたような気がしてくるというものだ。

また、新型リーフではモーター、インバーター、減速機を一体化した3-in-1構造を採用。先代では大きなサブフレームを使用していたため、モーターを固定するためのマウントブラケットが長くなってしまっていたが、新型ではコンパクトになったパワートレインに合わせてサブフレームの設計を最適化。マウントブラケットが短くなったぶん剛性も高くなり、モーターの振動が車体へと伝わりにくくなったのも功を奏しているようだ。

初代リーフでは別体だったモーターとインバーターを、2代目で一体化し、新型(3代目)ではさらに進化。先代モデルと比較して容積を約10%削減している。

…と、モーターの話が長くなってしまったが、それくらい、新型リーフの加速が気持ち良かったということ。で、気持ち良いと言えば、新型リーフは乗り心地も快適なのである。

日本仕様に特化したチューニングのおかげで乗り心地はまろやか

新型リーフは先代からプラットフォームが刷新されており、アリアと共通のCMF-EVプラットフォームを採用している。アリアも魅力的なEVだが、デビュー時に試乗して気になったのは乗り心地が硬かったこと(今は改善されているかもしれないが…)。大きなバッテリーを積むEVは、どうしても車体が重くなりがち。アリアの車両重量も2トン前後だから、どうしても乗り心地は硬くなってしまうのだろう。新型リーフも、やっぱり硬いのかな…と考えながら走りはじめたら、その懸念はあっという間に一掃された。実にまろやか、なのである。

新型リーフは海外にも展開されているが、日本仕様については「快適な乗り心地」に特化したつくり込みが行なわれたという。今回の試乗会場の舞台となったのは、成田空港周辺の道路。交通量が多く、トラックの数も少なくないため、舗装の状況は決してよくはない。にもかかわらず、高速道路の継ぎ目や荒れた路面を走行する際も新型リーフの足まわりは、ショックをしなやかにいなしてくれる。新型リーフの最上級グレードである「B7 G」のタイヤサイズは235/45R19なのだが、そんな大径タイヤを履いているとはとても思えないほどだ。

B7 Gグレードが履くユニークなデザインの19インチアルミホイール。タイヤはダンロップのEV向けタイヤ「e.スポーツマックス」で、サイズは235/45R19。

また、前後席で乗り心地の印象が異なるクルマはEVに限らず少なくないが、新型リーフの好印象は、運転席から後部座席に居場所を変えても同様なのがうれしい。

新型リーフのボディは接着剤の追加や構造の見直しにより、ねじり剛性を先代比で86%向上。また、リヤにマルチリンク式サスペンションを採用することで、横剛性を高めつつ、前後方向の入力をいなすブッシュチューニングを行っているという。それらの改善は操舵フィールの向上にも貢献しており、さらにラックアシスト式になってステアリング剛性が48%向上した電動パワーステアリングの採用と相まって、リニアで気持ち良いハンドリングを実現している、というわけだ。

リヤサスペンションはマルチリンク式。空気抵抗低減のため、サスペンションアームはカバーで覆われている。

長距離ドライブの疲労を格段に低減してくれるプロパイロット2.0との相性もバツグン

もうひとつ、新型リーフで印象的だったのはプロパイロット2.0の利便性である。プロパイロット2.0はGPSに加えて、カメラで捉えた標識や路面の目印を3D高精度地図データと照合しながら運転支援を行なうのが特徴で、高速道路の同一車線内においては、全車速域(渋滞時から120km/h区間まで)でのハンズオフドライブ(ハンドルから手を離しての走行)が可能となる。

プロパイロット2.0装着車は、ルーフのアンテナが2本になるのが特徴。そのうちの1本はGNSS(衛星測位)用で、高精度3D地図データと連動する位置情報の受信に使われる。

一般的なアダプティブクルーズコントロール+車線維持支援だけでも高速道路での長距離ドライブはずいぶんと楽になるもの。それに加えて、ハンドルから手を離せることにどれだけ意味があるのだろうか。そんな風に、ちょっと斜に構えながら東関東自動車道で試してみると、これが予想以上に楽チンなのである。ハンドルを保持しているだけでも、意外に労力を使っていたんだな、ということに改めて気付かされる次第だ。

新型リーフでは車両の特性に合わせてチューニングが施されており、ハンズオフ状態では上半身が揺れやすくなるため、ふらつきを抑えた極めて安定感の高いレーンキープ性能を実現している。実際のところ、120km/h区間でも車両の動きにふらつきや不安定さはなく、滑らかなハンズオフ走行を披露してくれた。

ステアリングスポークの左側にACC系のスイッチを配置。左上がプロパイロットの作動用、その下が「車線変更・追い越し支援」用。前方の遅いクルマを検知すると車線変更・追い越しを提案してくれ、そのタイミングでスイッチを押すとウインカーの点灯/消灯やハンドル操作を自動で行なってくれる。これも反応が的確で、結構便利!

惜しむらくは、このプロパイロット2.0がオプション装備であること、そしてその価格が40万9200円と決して安い金額ではないこと。特に高速道路を利用する機会が少ない人にとっては、ちょっと手が届きにくいかもしれない。自分がもし新型リーフを購入するとなったら、プロパイロット2.0をつけるかどうかは相当悩みそうだ…。

Gグレードのシート地はテーラーフィット。合成皮革ながらナッパレザー並みの触感を持ち、耐久性にも優れているのが特徴だ。

プロパイロット2.0はオプション装備だが、インテリジェントディスタンスコントロールは標準装備。これは何かというと、アクセルペダルを戻すだけで先行車との車間距離を保ちながら完全停止まで制御してくれる新機能だ。こちらはプロパイロットとは異なり、ブレーキを踏んだ後にその都度システムを再設定する必要がないのがメリット。信号や渋滞などで停止と発進を繰り返す街中でも、機能を解除することなく継続して使い続けることが可能だ。こちらの加速も回生ブレーキによる減速も実にスムーズ。このあたりもレスポンスに優れるモーター制御の恩恵を感じる部分だ。

EVの弱点を克服する数々の機能 冬が苦手というのは過去の話に

「EVって冬は走行距離も短くなるし、充電もできないんでしょ?」という懸念を持っている人もいるかと思うが、新型リーフは、EVの弱点とされる「冬場の性能低下」や「充電効率のばらつき」といった課題に対しても、「統合の熱マネジメントシステム」によって克服している。従来のモデルでは大気中に放出されていた熱を、単一の回路に統合して徹底的に再利用するのが本システムの特徴だ。

具体的には、モーターや充電器から発生した廃熱をバッテリーの加温に転用し、逆にバッテリーの熱を車内の暖房に利用する。こうした熱の相互利用により、電力を浪費することなくシステム全体の効率を高めているのだ。これにより、バッテリー容量を闇雲に大きくすることなく、エネルギーを使い切ることで実用的な航続距離を改善できた。

東関東自動車道・酒々井パーキングエリアには150kWの充電器が設置されており、新型リーフの急速充電性能をフルに活用することができる。
急速充電ポートは左フロントフェンダー部に配置。反対側には、普通充電ポートが備わる。

また、ナビゲーションと連動した「インテリジェント ルート プランナー」による先回り制御も、EV特有のストレスを軽減させている。例えば、下り坂など負荷の低い状況ではエアコンのコンプレッサーを止め、走行風を活用する「マイルドクーリング」に切り替えて電力を温存。また、目的地に急速充電器が設定されている場合には、到着に合わせてバッテリーを最適な受入温度まで自動調整する「事前加温」を行ない、冬場や高負荷走行後でも最大速度での充電を可能にしている。

目的地を検索する際、現在のバッテリー残量やルート上の負荷を考慮し、最も効率的な充電スポットを組み込んだルートを導き出してくれるインテリジェント ルート プランナー。
目的地に充電器が設定されている場合、到着に合わせてバッテリーを最適な温度(一肌脱ぐ程度の温かさ)に調整し、充電速度を最大化してくれる。

特にEVが苦手とする極寒の環境下での改善も著しい。バッテリー温調と暖房の効率化により、氷点下での航続距離の悪化を最小限に抑えている。マイナス10度の環境下においても、バッテリー自体の改良と寒冷地用ヒーターの相乗効果により、充電性能は従来比で約150%向上した。

ついつい原稿が長くなってしまったが、それだけ新型リーフの完成度が高いということだ。これからEVライフを始めようと思っている人の背中を力強く押してくれるはずだ。さらに言えば、新型リーフは「EVの中では」というくくりを抜きにして、1台のクルマとして極めて高い資質を備えている。

ガラスルーフはスイッチ操作などでガラスの透過度を切り替えることができる、日産初の調光(エレクトロクロミック)機能を備えている。一般的なガラスルーフは太陽熱を吸収してガラス自体が熱くなりがちだが、このルーフは赤外線を反射(跳ね返し)して室内への熱侵入を抑えることで、エアコンにかけるエネルギーを節約でき、実用的な航続距離の向上にも寄与する。

日産リーフ(B7 G) 主要諸元

■ボディサイズ
全長×全幅×全高:4360×1810×1550(プロパイロット2.0装備車は1560)mm
ホイールベース:2690mm
室内長×室内幅×室内高:1970×1540×1160(ガラスルーフ装備車は1200)mm
車両重量:1920kg
乗車定員:5名
最小回転半径:5.3m
最低地上高:135mm

■パワートレーン
モーター種類:交流同期電動機
モーター定格出力:70kW
モーター最高出力:160kW/4400-11700rpm
モーター最大トルク:355Nm/0-4300rpm
総電力量:78kWh
総電圧:353V
一充電走行距離(WLTCモード):685km
交流電力量消費率(WLTCモード):133Wh/km

■シャシー系
サスペンション形式:Fストラット・Rマルチリンク
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク・Rベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:235/45R19

■価格
599万9400円

新型リーフ、選ぶべきはB7、B5? 車両価格、補助金、航続距離……比べてみた

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後席の乗り心地が格段にアップ!新型リーフは家族もうれしい

日産リーフのデリバリーが始まった。注文台数は約5000台。しかも、バッテリー容量の大きいB7グレードのみでの数字だ。B5グレードの追加で、さらなるセールス拡大を狙っている。今回は、そのリーフの後席インプレッションをお届けする。