バッテリーは普段はむき出しでななくカウル内に収納されていることが多い。消耗品のひとつなので定期的な交換やメンテナンスが必要なパーツ。写真はシグナスXのバッテリーで、シート下収納スペース後方のカバーを開けるとバッテリーがお目見えする。

お便り 家庭用電源が交流100Vですが バイクはなぜ直流12Vなの?の件

投稿者:広島県/ぷちっと桜さん
チェンの回答

結論からを先に言うと「使い方」と「環境」が違うから
家庭=電気を“運ぶ”前提 → 交流(AC)
バイク=電気を“ためて使う”前提 → 直流(DC)

まず家庭用電源が交流100V の理由だけど、これは交流の方が遠くの発電所から家庭まで電気を運ぶにあたって効率が良いというのが主な理由なんだ。

交流は電圧を変えるのが簡単で、高電圧・低電流で送電できる。電力の損失は、電流の二乗に比例するため、電流を低くすれば電圧損失が少なく電線の太さも細くて済むのもメリットだ。

そして、直流と違ってプラスマイナスの極性がないからコンセントをどっち側で差しても大丈夫。といっても、家電のほとんどはじつは直流電源が必要になるから、AC – DCアダプターとかで直流にしているんだけどね。なぜ100Vなのかと言うと、「高すぎず・低すぎず・安全とパワーのバランスがいい電圧」という事。低いと電子レンジは動かないし1000Vとか高すぎると絶縁も大変だし漏電時は危険だからね。

いっぽうバイクがなぜ直流か? ということだけど、実はバイクも発電時は交流。それをレギュレーター/レクチファイアで変換し、電圧調整 をして直流12Vに安定化している。その昔は直流発電機を使っていたけれど、性能面や保守点検コストが大きいため現在では車でもバイクでも交流発電が主流になっているんだ。

セルモーター/ ECU(インジェクション)/ LEDライトに直流の電源が必要であるということも理由。F I車(フューエルインジェクション車)であれば燃料系統の燃圧をあげるためのフューエルポンプやコントロールユニット(ECU)の電源が必要になるしね。

もしバイクを交流(100V)仕様にしたら、電気を貯めておけないから、アイドルの発電量では信号待ちで電装すべて不安定になるし、エンジンを切った瞬間にライトも点かない。またバイクは雨の日も走るし洗車もする。もしバイクに100Vの電気が流れていたらどうなるか……。濡れた手で100Vの電気に触れると、最悪の場合、感電死するレベルでめちゃくちゃ危険。 その点、12Vの直流なら、万が一漏電して体に触れたとしても、パチッとする程度で済む。 むき出しの車体で、過酷な環境を走るバイクにとって、「12V」というのは安全面でもベストな電圧なんだ。また12Vのうほうが配線も細く軽くできるからね(6V時代の配線が細いのは太くする必要がないため)。

交流は電気を貯めることができないため、発電機=エンジンを回し続けないとダメなのに対して、直流はバッテリーに化学エネルギーとして電気を貯めておくことができる。つまり外部のエネルギーにー頼ることなくセルスタートを可能にするために直流電源(バッテリー)が使われているということだね。

まとめ

●どっちも適材適所で併用!

●外部電源に頼れないバイクはバッテリー(直流)が必要!

著者紹介 チェン

元レースメカニックで、カスタムビルダーや二輪誌編集部員のキャリアを持つ。現在はスーパーモトのレースに参戦し、ハイエースで全国を飛び回っている。

※この記事は月刊モトチャンプ2024年3月号を基に加筆修正を行っています