マツダの新世代ラージ商品群第1弾の現在地は?
今回試乗した「XD Premium Sports(4WD)」は、2025年10月に追加された新機種で、「XD-HYBRID」やPHEV搭載車で人気が高いというタン内装が印象的だ。CX-60が訴求している上質感を存分に享受できる。3283ccの水冷直列6気筒DOHC24バルブ直噴ターボエンジンに、湿式多板クラッチを使うトルクコンバーターレスの8速ATを組み合わせている。

乗り心地の改善は明らか
登場時のCX-60は速度域を問わず、リヤの突き上げが明らかに大きく、低速域では左右に揺すぶられるなど、高級車志向の割に洗練されているとは言いがたい乗り味だった。その後、CX-60は、度重なるサービスキャンペーンという名目で足まわりも含めて、アップデートを図っている。さらに、8速ATのギクシャク感の解消も盛り込んだ。

2024年のサービスキャンペーン後にすぐに乗る機会があり、改善ぶりは明らかだったが、新グレードの「XD Premium Sports」ではさらに洗練度合いが高まっているのが印象的だった。酷評されてきたリヤサスペンションの突き上げ感はかなり解消していて、ほとんど気にならないレベルになっている。
「○」は走りの良さ!スタッドレスタイヤでもマツダらしいハンドリングは健在
さらに、低速域を中心に左右に揺すぶられるような動きもかなり小さくなっていて、全域にわたってフラットライド感が高まっている。まず、最新のCX-60の「○」は、課題だった乗り味が大幅に改善していることだろう。なお、試乗車はスタッドレスのブリヂストン「ブリザックWZ-1」を履いていたが、想像よりも乗り心地が良かった。

雪上はあまり走行できなかったが、滑りやすい路面でも着実に止まる(短い距離でしっかりと)という点では、さすがという仕上がりだ。さらに、高速道路や山岳路でもハンドリングを十分に楽しめ、直進安定性も含めたスタビリティの高さも印象的だ。

湿式多板クラッチを使う8速ATの洗練度も高まっている。1速から2速、2速から3速など低速域を中心としたギクシャク感はかなり収まり、十分にスムーズと表現できる仕上がりだ。一方で、登場時の切れ味とトレードオフの関係になっている模様で、素早い変速フィールという感覚は希薄になった感がある。
コースティングからのアイドリングストップまでの流れは△

走りの面で少し気になったのは、制動時にブレーキを少し戻すとエンジンが再始動してしまうという点だ。いわゆる“カックンブレーキ”を避けるブレーキングが身についていると、完全に停止する前に少しブレーキを戻す方も多いだろうが、その際はブレーキの踏力が小さくなる。ストロークセンサーを使っているはずだが、コースティングから完全停止に向かっているのに、停止する直前にエンジンが再始動するというギクシャクな動きになってしまう。
マツダの考え方としては、しっかりとブレーキを踏ませることで、アイドリングストップさせているはず。しかし、アクセルを離してコースティング(滑走)になり、ブレーキングするという一連の流れでは、スムーズさを欠いてしまう。

先述したように、カックンブレーキを避けようとすると、コースティングでエンジンが停止し、ブレーキを戻すとエンジンが再始動、その後、完全停止でバッテリーに余力があればアイドリングストップ(エンジンが停止)という流れになる。そして、マイルドハイブリッドだが、モーターアシストがありながらも発進時にエンジンが始動する。アイドリングストップからの再始動自体は静かで振動も小さめだが、エンジン始動状態で停止していると、ディーゼルならではの音や振動が少し気になる。
このコースティングからブレーキング、アイドリングストップ、再発進という流れは洗練されているとは言えない。慣れもあるだろうが「△」だ。

なお、気になるのであれば、インパネ右下にある「i‑stop OFF」スイッチを押す手もあるが、アイドリングストップはデフォルトになっている。アイドリングストップを解除するには毎回、押す必要があるのだ。なお、燃費性能や排出ガス規定(WLTCモード)をクリアするためには、エンジン始動時(デフォルト)のモードで計測する必要があるためだろう。
やはり慣れが必要だった逆L字型のシフトレバーも△
そのほか、最近のマツダ車が採用している逆L字のシフトレバーは慣れが必要だろう。最新のマツダ車に乗っているのであればスムーズに操作できそうだが、初めてであれば戸惑う方が大半なはず。とくに、「P」から横に動かす際が使いにくい。「D」から「R」に入れる際に誤って「P」に入ってしまうことを防ぐ配置になっているのだろうが、久しぶりに乗ると、シフトレバーの配置、操作方法を確認してから乗る必要があるのも「△」だ。

「×」はないが、あえて言うなら大柄なボディサイズ
登場時よりも明らかに洗練された走りに加え、マツダらしいハンドリングの良さも美点で、「×」といえる項目はなかったが、あえていえばボディサイズ、取り回しを織り込んでおく必要はあるだろう。全長4740×全幅1890×全高1685mmというボディサイズは、狭い道でのすれ違いで気を使うのは間違いない。その割に、最小回転半径5.4mで収まっているのは救いだが、リヤピラーは太く、後方と斜め後方の視界は良好とはいえない。

今回は都市部だけでなく、郊外で走らせたが、日本は狭い道や駐車場が多いという現実をCX-60のワイドな全幅で実感させられた。現行CX-5の買い替え、アップサイジングを考えている人もいるだろうが、駐車も含めて取り回しできるのかは要チェックだ。
