磐田市の昆虫に指定されているベッコウトンボをイメージ
YCWは、これまで水道設備の行き届かない国や地域に暮らしの改善を図るため、主にアジアやアフリカの村落地域に導入されてきた。それに対し今回、同社が本社を置く静岡県磐田市にある「かぶと塚公園」への設置は、災害時の活用、子どもたちへのSDGs教育、国内での価値検証を目的としたものだ。“きれいな水を学ぶ青空秘密基地”をコンセプトに、その外観もこれまでの青一色からタンクの役割ごとに色や柄を変えた特別仕様となっている。

配色や絵柄を企画したのは同社で先行デザイン領域の仕事に携わる林輝宙さん。林さんは「最終デザインに至るまでは青以外の色や市のマスコットキャラクターを入れた案など様々なアイデアがありました」と振り返る。最終案は子どもたちへの教育活用といったことも踏まえ、今回のデザインに決まったという。

林さんは「水がろ過される仕組みや水そのものについて関心を持ってもらいたかった」と説明。設置されたYCWには、浄水の処理工程が連想できるよう処理槽ごとに異なる配色や絵柄が施されている。浄水の初期段階の水を溜める原水槽には不純物が沈殿している様子、砂利でろ過をする前処理層には砂利をイメージした形、生物ろ過をする緩速ろ過槽には微生物の絵柄が描かれている。

浄水過程の仕組み以外にも、YCWのデザインにはいたるところに地域の方々に親しみを持ってもらえるよう細やかな工夫が施されている。例えば青をベースにした配色は歴代のYCWとヤマハのイメージ、ポップな柄は公園の中での遊具のような“優しい存在感”を意識。ほかにも、磐田市の昆虫に指定されているベッコウトンボをイメージし、べっこう色が全体の差し色としてあしらわれている。
地域と一体となり運用が始まるYCW。4月15日の運用開始前に、市内の子供たちを募集したあるイベントが計画されている。「実は今回設置されたYCWの浄水槽(※)には、絵がまだ描かれていません」と林さん。YCWを身近な存在として記憶に残してほしいという想いから、子供たちに浄水槽に絵を描いてもらうペイント体験が、3月27日に予定されているのだ。
※浄水プロセスの最終段階でろ過された水がたまるタンク
林さんは「災害時に思い出してもらえること、防災やSDGsに興味を持ってもらえることはもちろん、『あのペイント体験で○○君と知り合ったな』、『大きいものに全身を動かして色を塗るの楽しかったな』というワクワクした記憶に関われたら嬉しいです。」と笑顔で語った。
