荷室高の分割や優れた積載力 素早い操舵性に安定感も美点

N-WGNはワゴンRやムーヴをターゲットとしてつくられた軽ハイトワゴン。2011年に発売された初代モデルは外観デザインが控えめで目立った存在にはならなかったが、19年に発売された2代目は往年のステップバンを思わせる、水平基調のボンネットをもった個性的な外観を採用したことで話題を集めた。

エクステリア

N-WGNカスタムは、マイナーチェンジでデザインを小変更。フロントグリルとホイールの形状が変わり、スポーティな印象を高めた。9灯式フルLEDヘッドライトを備えるのも特徴。最小回転半径はグレードにより4.5m〜4.7m。

初代同様に標準車とカスタムを設定。標準車は丸目のヘッドライトを採用し、少しクラシカルで柔和な雰囲気に仕上げた。カスタムも過度にメッキパーツをあしらうのではなく、ヘッドライト内部やフロントグリルに緻密なデザインを組み込むことでナチュラルに精悍な印象をもたせた。だが、カスタムに関しては、もう少し尖った外観が欲しいという声も多く、昨年のマイナーチェンジでフロントのデザインを変更。フロントグリルはスポーティなハニカムデザインとなり、ダーククロームのメッキパーツを組み合わせることで、より存在感を高めた。

乗降性

特徴のある外観に反して、室内は実用性を重視している。前席には小物を置くスペースが多く、使い勝手が良い。メーターやシフトの視認性や操作性も良好だ。ステアリングを前後方向に調整できるテレスコピックも付いているから最適な運転姿勢が取りやすい。インテリアの質感はN-BOXよりも少し落ちるが、前方の視界や開放感といった運転のしやすさではN-WGNの方が勝る。

インストルメントパネル

N-WGNカスタムはチタン調偏光塗装のインパネガーニッシュで特別感を演出。空調はフルオートエアコンを全車に装備する。写真の9インチナビゲーションは販売店オプション。

荷室の積載性が良いのもN-WGNの魅力。燃料タンクを前席下に置く、ホンダ独自のセンタータンクレイアウトを採用しているので、荷室開口部がライバルより15㎝程度は低くなっているのだ。そのため荷室高に余裕が生まれ、その空間を活かすために荷室を上下に分割することができるボードが装備されている。下段は床面が低いので重い物が積みやすく、上段は後席を倒したときに床面が平らになるから大きな箱物などが積みやすくなっている。

居住性

エンジンは標準車が自然吸気のみだが、カスタムはターボも選べる。ホンダの自然吸気は実用域のトルクが太く、さらに高回転域の伸びもあるので、まるでストレスを感じさせない。もちろんターボの方が全域で余裕が増すが、N-WGNの重さなら自然吸気でも問題はない。ハンドリングもハイトワゴンの中では軽快感があり、操舵に対する反応も素早い。カーブに差し掛かっても適度に引き締まったサスペンションのおかげで、重心の高さを感じることなくスムーズに曲がることができる。この安定感の高さは、N-BOXにはない美点だ。

うれしい装備

荷室のボードは二枚重ねとなっており、一枚は後席シートに固定。前にスライドさせるとボードが伸びた状態となり、奥行きは520㎜となる。
月間販売台数   3312台(22年7月〜12月平均値)
現行型発表     19年7月(マイナーチェンジ22年9月)
WLTCモード燃費  23.2km/l ※ハイブリッド車 

ラゲッジルーム

先進安全装備も充実しており、車線維持機能付きのACCや電動パーキングブレーキなどが付く、ホンダセンシングは全車に標準装備される。さらに昨秋のマイナーチェンジからは前方に障害物がない状況でも、アクセルとブレーキの踏み間違いを認識したときには警告を発し、急発進を制御する急アクセル抑制機能をディーラーオプションで設定した。見た目は個性的なN-WGNだが、走りの質は高く、使い勝手や安全装備は意外にフレンドリーなので幅広い人にマッチする軽ハイトワゴンだ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。

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