登場するのはコチラの3名

●MCシモ_MC SIMO(左)

レースMCや多種多様なイベントを主催するスーパーマルチライダー。モトクロスやエンデューロにも熱中。

●中村友彦_Tomohiko Nakamura(中央)

モトチャンプメインテスターの1人にして業界27年目のフリーランス。月に1度は愛車で必ずロングランに出かける。

●宮崎正行_Masayuki Miyazaki(右)

日ごろより方々で「250ccこそ至高!」を吹聴して回るモヒカン二輪ライター。本企画への想いはかなり熱い。

3人×3台でまったりとツーリング試乗したぞ〜

「中村さんは自分のホンダ・SL230(以下、SL)で来てくださいね」。ページ担当の宮崎さんにそう言われて集合場所に向かったものの、試乗日の朝、僕は当企画の趣旨がわかっていなかった。その気持ちは編集部のサンタサンからヤマハ・ブロンコ(以下、ブロンコ)を借りて来たゲストライダー、走って喋れるレーシングアナウンサーのMCシモさんも同じだったようだが、愛車のスズキ・グラストラッカー(以下、グラストラッカー)と共に我々を待ち構えていた宮崎さんの話を聞いてなるほど納得した。


「ここ最近のモトチャンプの主力は原付二種ですけど、僕自身は、ひと昔前に生まれたオフのテイストを感じるゆるめのニーゴークラスもいいんだよね……と思っているんです。そこで道中で乗り換えしつつ3人×3台でツーリングをし、このジャンルの魅力をじっくり語りましょう、というのがこの記事の狙いです!」

もっとも、そういう狙いなら人選ミス? と思わなくもなかった。確かに僕と宮崎さんは、昔からゆるめの軽二輪を愛用しているけれど、シモさんはコンペティション指向のライダーだからだ。ところがシモさんの起用は結果的に大正解だった。

ライトウエイトだから走る・止まる・曲がる が苦にならない

早朝の市街地でもエンジン音はサイレント。信号待ちトークも気兼ねなくできる。

軽量コンパクトなボディゆえ、山道やワインディングでのライン自由度が高いのだ。

ニーハンの守備範囲はとてつもなく広かった!

中村 道中でも話していましたけど、今回のツーリングでシモさんのこのジャンルに対する意識はガラリと変わったみたいですね。
シモ 変わりました(笑)。僕は基本的にオンでもオフでも速いバイクが大好きで、今回の3台のような車両を購入対象として考えたことはなかったんですが、もう完全に目からウロコ。なかでもブロンコは最高。
宮崎 何がそんなに良かったんでスカ? 令和のいま、性能的に特筆するべきことはそれほどないような気がしますが。
シモ もちろん、ワインディングや林道をガンガン攻めるような走りはできないですよ。でも今回の3台はオンもオフも十分に楽しめたし、車格が小さくてライポジも楽だから、排気量125ccの原付二種クラスと大差ない感覚で気軽に使えそうじゃないですか。それでいて高速道路を走れるわけですから、守備範囲がとてつもなく広い。お二人が愛車として選んだ2台の車両は、そのあたりが理由では?
中村 そう言われるとそんな気はしますけど、僕はメインの車両とは別に、昔からいろいろな軽二輪トレール車を乗り継いでいて、SLの入手に特別な理由なんてないんです。でもSLはかなり気に入っているし、自分の軽二輪歴を振り返るとセロー225やAX-1が好感触だったから、やっぱりユルめのニーゴーが好きなんでしょうね。

宮崎 僕の場合は息子たちとタンデムしたかった。近所の送迎に始まり、近くの河川敷や高速を使って遠出もしてみたい。そんな理由で選びました。購入時に重視したのはタンデムシート座面〜タンデムステップ間の距離の短さ、シートの低さとフラットさで、そのニ点を見事にクリアしたのがグラストラッカーだった。
シモ なるほど。理由は各人各様ですね。ちなみにこれまでの僕は、街乗りにはスクーターやカブ系、ロングランにはクルーザーやアドベンチャーツアラーが最適だと思っていたんですが、1台で両方を楽しみたいなら、今はゆるめのニーゴーがベストかもという気がしています。

落ち葉が深く積もった林道でも軽くて足つきのいいニーハンなら臆せず進める。

同じペースを共有できた3人3台。ゆっくりとツーリングを楽しむことができた。

原付二種とは異なる軽二輪ならではの魅力

中村 続いては、このカテゴリーの美点を具体的に話したいと思います。個人的には増車しても大きな負担にならない、維持費の安さは重要ではないかと。まずオフ系のブロックタイヤはオン用より価格が安い傾向ですし、オフ系なら転倒でキズがついてもあんまり気にならない。1ℓ前後というオイル容量の少なさも魅力でしょう。そのあたりは原付二種にも言える話ですが、諸経費の安さはニーゴーの美点ですよね。
宮崎 原付二種を複数台持つなら、任意保険は四輪に付帯する「ファミリー特約」が圧倒的におトク。でもクルマの所有なしで加入するのであれば、実は原付のバイク保険のほうが高いんです。事故率が高いから。
シモ 原付二種と比較するなら、スロットルワークで車体姿勢を自在に動かせることもニーゴーの魅力でしょう。例えば林道でフロントアップをしたくなったとき、125㏄クラスはサスを動かすためにライダーが身体を使う必要がありますが、250㏄クラスならスロットルとクラッチの操作だけで対応できる。もっともコンペティション系なら125㏄クラスでも対応できることが多いですが、ストリートバイクの場合は、原付二種だと力不足を感じる場面が少なくない。
中村 舗装路の峠道を走っているときも、原付二種はエンジンを回し気味になりがちで、車体姿勢のことを考える余裕はないですもんね。もちろん原付二種には原付二種ならではの面白さがあるんですが、スロットルとクラッチで車体を自在に動かせる楽しさは、軽二輪以上の特権と言っていいのかもしれない。
宮崎 今回の3台はいずれも90〜00年代生まれですが、ひと昔前の車両ならではの魅力ってあるんでしょうか? 中古車なら20万円台あたりから探せる価格は大きな魅力だと思いますが……
中村 ゆるめのフィーリングには昔ながらの気化器、負圧式キャブレターが貢献していると思いますよ。最新のインジェクションでこのフィーリングが実現できないとは言わないけれど、今回の試乗で僕はあらためて負圧式キャブレターの反応は絶妙だと感じました。それに加えて車重の軽さも、ひと昔前のニーゴークラスの魅力です。最近の軽二輪は150㎏以上が普通になっていますが、SLは115㎏、ブロンコは123㎏、重そうに見えるグラストラッカーだって134㎏ですから。

自由気まままに走って食べてまた走って……そんな一日はすぐに終わってしまうのだ。

「いた」 「だき」 「ます!」

三者三様の代替・増車プラン

中村 今回の試乗では全員がゆるめのニーゴクラスの魅力を再確認したわけですが、それを踏まえたうえで、これから所有したいモデルってありますか? 僕はすでに7万km を走っているSLがダメになったら、キャブレターのセロー250かスーパーシェルパかな、と考えています。

宮崎 息子が大きくなったら……兄弟車のビッグボーイ?(笑)。キック付の初期モデルがオススメです。
シモ 試乗ではSLの軽さとバランスの良さ、グラストラッカーのクルーザーテイストにも感心しました。ホンダXL230やカワサキ250TRなどにも興味は出てきたんですけど、今の僕の頭はブロンコでいっぱい。とりあえずオーナーのサンタサンに「売って!」って言ってみようかな(笑)

シンプルなメカニズムゆえメンテナンスも楽チンなのだ!

空冷単気筒エンジンの燃費はよく、タンク容量なりに距離を伸ばすことができる。

「ゆるニ~ ゴ~ 」車種の “ なんとなく” 3 ヵ条

<1>

排気量は200ccくらいから250ccまで。
車検がないからね。

<2>

車重はライトなほどグッド。
空冷マシンがベターかも。

<3>

高額車はノーサンキュー。
ラフに扱える気安い相棒がいい。

【ホンダ SL230】走る場面を問わないスタイリッシュランドスポーツ!(参加マシン紹介)

※ハイシートは社外品です

BORN IN 1997 【ホンダ SL230】

打倒セローに本気 正統派デュアルパーパス

新車価格:35 万 9000 円
中古車価格帯:約 23~33 万円

ひと昔前のホンダのトレール車と言ったら、XL/XLR/XRシリーズが有名だが、それらとは方向性が異なるフレンドリーな軽二輪として、同社は1997年からSL230を発売。セロー225を仮想敵に設定しつつ、独創的なモノバックボーンフレームにXLR200R用を限界まで拡大した空冷単気筒を搭載するこのモデルは、登場時はアーバンイメージを特に強調していた。シート高はセローと同等の810/805mmで、装備重量はCT125ハンターカブより軽い115/116kg。 

メーターはシンプルで愛嬌のある円型

撮影車はライター中村の個人車で、シートには着座位置を上げる加工を施している。

SPECIFICATIONS

■全長×全幅×全高:2070mm×825mm×1135mm ■シート高:810mm ■車重:115kg ■エンジン形式:空冷4ストSOHC 2バルブ単気筒 ■総排気量:223cc ■最高出力:20.0ps/7500rpm ■最大トルク:2.1kgm/6000rpm ■燃料タンク容量:10.0ℓ ■変速機形式:6速リターン ■ブレーキ(前・後):ディスク・ディスク ■タイヤサイズ(前・後):2.75-21・120/80-18

【ヤマハ BRONCO】新たな可能性を模索したセロー225の派生機種(参加マシン紹介)

※ハンドルグリップとウインカーは社外品です。

BORN IN 1997 【ヤマハ BRONCO】

生まれるのが早すぎた?「 ネオ」クラシカルオフ

新車価格:39 万 9000 円
中古車価格帯:約 30~45 万円

どうしてわずか数年で販売をやめてしまったんだろう。97年に登場したブロンコに対してそう感じている人は少なくないはずだ。以後のネオクラシックブームを考えれば、セロー225をベースとするこのレトロなスクランブラーこそが人気を獲得した可能性は十分にあるのだから。そんなブロンコのモチーフは、ヤマハ製トレールの原点となった1968~70年のDT-1/DT250で、フロントタイヤもあえて19インチ(セロー225は21インチ)を選択した。

アナログ指針式メーターには速度/積算距離/トリップを表示。右側の四角は各種インジケーターをまとめる。

空冷単気筒エンジンは同時代のセロー225と共通だが、1/2速ギヤは専用設計。負圧式のキャ
ブレターはミクニBST34。

SPECIFICATIONS

■全長×全幅×全高:2030mm×800mm×1140mm ■シート高:795mm ■車重:123kg ■エンジン形式:空冷4ストSOHC 2バルブ単気筒 ■総排気量:223cc ■最高出力:20.0ps/8000rpm ■最大トルク:1.9kgm/7000rpm ■燃料タンク容量:8.3ℓ ■変速機形式:6速リターン ■ブレーキ(前・後):ディスク・ドラム ■タイヤサイズ(前・後):2.75-19・120/80-18

【スズキ グラストラッカー】「ボルティ」ベースの脱力系!(参加マシン紹介)

※ガソリンタンクはオリジナルペイント、リヤキャリアは社外品です。

BORN IN 2000 【スズキ グラストラッカー】

多くのライダーから支持を集めた実直で親しみやすい特性

新車価格:36万 4000 円
中古車価格帯:約 15~40 万円

2000年にデビューしたグラストラッカー。日本ではあまり馴染みがないけれど、その大径タイヤ仕様(18/17→19/18インチに変更)であるビッグボーイ(2001年発売)は、欧米のグラストラックレースを意識したモデルだった。とは言っても開発ベースはボルティー。同時代のホンダが販売したFTRのようにレースでの使用を考慮した構成ではないものの、実直にして親しみやすいキャラクターが支持を集めて2017年まで販売が続くロングセラーになった。

オドメーターを装備しない計器
のシンプルデザインはバンバン
200とよく似ているものの、警
告灯の配置は異なる。

撮影車が装着するリヤキャリアは社外製
で、取り回し時やタンデムライドに貢献。

SPECIFICATIONS

■全長×全幅×全高:1995mm×900mm×1130mm ■シート高:745mm ■車重:134kg ■エンジン形式:空冷4ストSOHC 4バルブ単気筒 ■総排気量:249c c■最高出力:20.0ps/7500rpm ■最大トルク:2.1kgm/6000rpm ■燃料タンク容量:6.0ℓ ■変速機形式:5速リターン ■ブレーキ(前・後):ディスク・ドラム ■タイヤサイズ(前・後):3.00-18・120/80-17

※この記事は月刊モトチャンプ2024年1月号に加筆修正を行ったものです