装備厳選姉妹車より低価格 足元も頭上も広い後席に驚き

欧州全土でお仕事グルマとして活躍するバンをベースとして、広さと使いやすさ、そしてタフな走りを売りとするスライドドア付きレジャーカーを、バカンスの国のフランスでは「ルドスパス」と呼ぶ。

エクステリア

リヤゲートは2mを超える高さだが、モデルの橋本咲季さんが握っているストラップまでの地上高は1.8m弱となり、使い勝手の問題は感じないだろう。スライドドアの開口部は十分以上に確保されているが、開閉時にそれなりに重さを感じる手動タイプである点は理解しておきたい。3列シートの「MAXI」はホイールベースが2975㎜と長く、最小回転半径は5.8mとなる。
リヤゲートの開口部を大きくとった機能的デザインは、後ろ姿からも実感できる。ルーフレールや16 インチアルミホイール、リヤスポイラーは全車に標準装備。

日本で買えるルドスパスと言えば、つい最近までルノー・カングーの独壇場だったが、そこに同じフランスを本拠とするプジョーシトロエン(PSA)が参入したのは2019年のことだ。相次いで上陸したシトロエンのベルランゴとプジョーのリフターは、基本構造を共有する姉妹車である。そんなPSAも今や、ドイツのオペルや英ボクスホール、そして旧FCA傘下のイタリアとアメリカのブランドもすべて抱える巨大経営統合体「ステランティス」の一部になっていることはご承知のとおりだ。

乗降性

ドブロは00年に初代が、09年に2代目がデビューしたフィアット版ルドスパスである。2代目まではフィアットの自社開発・自社生産だったが、23年発売の3代目からはステランティスとして旧PSAから供給されるようになった。つまり、今のドブロは、ご覧のとおり、ベルランゴやリフターの姉妹車となっている。ドブロはハードウエアとしてはベルランゴ/リフターと同じクルマと考えていい。明確に専用デザインとなるのはヘッドライトやグリル、バンパーなどのフロントエンド部分のみで、その他のディテールはベルランゴやリフター、あるいは欧州にあるオペル版などの部品をうまく組み合わせて差別化している。

インストルメントパネル

視界が広く、機能的なコクピット。メインメーターは10 インチ液晶の多機能タイプ。ドライバー側に傾けられたセンターディスプレイも10 インチで、スマホ連携機能を持つ。

ただ、ステアリングホイールやサイドプロテクター、テールランプなど、多くの主要部品はベルランゴから引用されているケースが多いようだ。日本仕様のパワートレインもベルランゴ/リフターという旧PSA系の姉妹車と同じ1.5ℓディーゼル+8速ATで、駆動方式もFFのみ。2列5人乗り標準モデルのほか、3列7人乗りのロング版(ドブロでは「マキシ」)が用意される点も、旧PSA系の姉妹車と変わりない。

居住性

価格が姉妹車より手頃なことも、ドブロの美点のひとつだ。24年末にマイナーチェンジした最新型ドブロだとベルランゴより10万円前後、リフター「GT」より30万円以上安い値付けなのだ。とはいえ、その割安価格の理由は、パノラミックルーフの有無やタイヤサイズ、外装加飾や内装素材などで、走行性能や安全性、インターフェイスなど、クルマの基本部分ではなんら劣らない。実際の乗り味も、例えば同じタイヤサイズのベルランゴとほぼ選ぶところはない。ディーゼルはパワフルで、標準モデルより100㎏重い「マキシ」でも軽々と走らせる。乗り心
地はしなやかでフラット。食パンのような箱型ボディなのに、下手なスポーツカーも追い回せるくらいに優秀なロードホールディングは、典型的な欧州産ルドスパスだ。

うれしい装備

リヤゲートにはガラスハッチが備わる。狭いスペースでの荷物の出し入れなど、便利に活用できる機能だ。転がり落ちそうな荷物を積んでいるときは、ガラスハッチを先に開けて取り出すといいだろう。
シートバックテーブルを左右に装備。カップホルダーが紙コップ対応のデザインとなっているのは欧州車的だが、しっかりとしたつくりで、テーブルとしての機能には十分以上に満足できる。
月間販売台数     NO DATA
現行型発表    23年5月(一部改良 24年12月)
WLTCモード燃費  18.1㎞/ℓ

ラゲッジルーム

3列7人乗りの「マキシ」は、ロングホイールベースの分だけ、さらにフラットな安定感が光る。3列目の居住空間は簡素だが、シートそのものは堅牢だし、足元も頭上も広々。これと同じくらいしっかり座れるサードシート空間をもつクルマは、誤解を恐れずに言えば、国産ミニバン王者のトヨタ・アルファード/ヴェルファイアくらいかもしれない。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.173「2026年 ミニバンのすべて」の再構成です。

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