シトロエンらしい身のこなし 便利に使える室内空間も美点

シトロエン・ベルランゴの初代モデルは、ご承知のとおり本国では初代ルノー・カングーとほぼ同時期、厳密にはベルランゴの方が1年早い1996年に登場。ただしカングーは、当時の並行輸入車の人気の盛り上がりを受け、初代の正規輸入が2002年に開始された経緯があるのに対し、ベルランゴは静観の構えだったと言うべきか。

エクステリア

2022年パリサロンの「オリコンセプト」をルーツとする新世代シトロエンの前衛的なフロントマスクを得たことに伴い、LEDヘッドライト&オートハイビームが全車標準装備となり、ボディ側面はエアバンプがフラットな形に変更された。バックドアのストラップが垂れ下がった際の地上高は173㎜。手動式で操作力も重いためガラスハッチだけ開けて荷物を載せたい。
マイナーチェンジによるリヤまわりの変更点は、ロゴがダブルシェブロンからCITROËN となり、装着位置がドアパネル中央から同左側に移った程度と控えめ。最小回転半径は5.6m。

19年10月、当時のグループであるPSAジャパンから“デビューエディション”のオンライン予約と発売のアナウンスがあり、20年8月に晴れて正式なカタログモデルの登場となった。世代で言うとベルランゴは実に3代目にして、満を持しての上陸と相成った。以降、これまでに10モデル近くの特別仕様車と限定車の投入があったほか、23年1月にロングを追加設定。さらに24年10月にはマイナーチェンジを実施、現在の温故知新的な(?)オーバルのダブルシェブロンのロゴバッジ+新しいシグネチャーライトをもつ最新のフロントデザインのフェイスリフトモデルに切り替わり、現在に至っている。

乗降性

最新のラインナップは、5人乗り/2列シートの標準ボディと、7人乗り/3列シートのロングのふたつのボディタイプを設定。さらに標準、ロングとも16インチタイヤを装着した「MAX」と、17インチタイヤを装着し、雪道や砂地など路面状況により、走破性を高めるグリップコントロール付きのモデル(特別仕様車)を設定する。搭載エンジンはいずれも1.5ℓディーゼルターボ(130PS/300Nm)+8速ATだ。

インストルメントパネル

メーターはデジタル、ステアリングは楕円状の2本スポーク、シフトはトグル&ボタン式となり、中央のタッチスクリーンも10 インチへ拡大。前衛的なデザインへと進化した。

走りの味だが、以前、同じEMP2プラットフォーム由来のプジョー・リフター、フィアット・ドブロと比較試乗したことがあり、記事で各車の走りをオノマトペでサパッ(ドブロ)、シュッ(リフター)、シトッ(ベルランゴ)と表現したのだが、それぞれブランドごとの“風味”の違いがあるのは確か。その中でベルランゴは、(本当に微妙な違いながら)乗り心地、走行中のクルマの挙動などに、シトロエンらしい神経を逆撫でしてこない穏やかさを実感した。パワートレインについても必要にして十分なスペックをもち、それに8速ATを使うことで無駄なく効率的に引き出している。通常の走らせ方であれば、アクセルを必要以上に踏み込む必要はなく、音、振動が高まって気になる……といったこともない。

居住性

実用性にかけては、心の準備なしに操作するとスライドドアの開閉にかなりの力を要すること(と、Bピラー前後でサイドウインドウ下端をデザイン的にハネ上げたことによりできた室内側から見たときの小さいが気になる死角)を除き、文句のつけようがない。やや高めに着座する運転席は慣れると見晴らしの良さが忘れられなくなるし、例によって3座独立でキッチリとした姿勢で座れる2列目、十分なサイズのシート2座が余裕をもって置かれ居住空間も十二分なロングの3列目と、ピープルムーバーとして万全の資質を備える。

うれしい装備

大きく重いバックドアを開けずとも、ガラスハッチだけを開ければ、狭い場所でも荷物を積み下ろしできる。フレキシブルラゲッジボードを下段にセットしておけば、荷物の出し入れはより一層簡単だ。
「モジュトップ」と呼ばれるルーフストレージは、前席前側や前後席中央のほか荷室側にも耐荷重10㎏の大きなフタ付き収納を備える。その開閉はバックドア側に加えて、後席側からも可能となっている。
月間販売台数   NO DATA
現行型発表    19年10月(マイナーチェンジ 24年10月)
WLTCモード燃費  18.1㎞/ℓ

ラゲッジルーム

黙っていても広大なラゲッジスペースは、クルマをコテンパンに使い倒したいユーザーには大歓迎だろう。加えて、ガラスハッチ、天井のモノ入れなども便利だ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.173「2026年 ミニバンのすべて」の再構成です。

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