改良でエンブレム意匠を刷新 足まわりの仕上がりは超秀逸

2020年11月に本国で発表された後、日本では23年3月に発売されたのが現行3代目カングー。発売後はディーゼルモデルへのMT仕様車や折り畳み自転車付きのモデルを台数限定で設定するなどの動きがあったが、25年7月にフロントグリル中央のルノー・マーク〝ロザンジュ〞を新たなデザインに変更し、グレード体系を変更するなどのマイナーチェンジが実施されて、現在に至っている。

エクステリア

リヤスライドドアは手動式で、電動開閉機構は未設定。電動に慣れている人だと最初は重く感じるかもしれない。ステップから床面まで段差があり、1列目は低めだが、2列目は約130㎜ある。日本向けのバックドアは、お馴染みの観音開きでユーザーニーズに応えている。こちらももちろん手動開閉式だが、小柄な人でも腕を伸ばさずに閉めることができる。
2025年7月のマイナーチェンジにより前後に配置されるエンブレムが一新。16インチスチールから17インチアルミホイールに変更され、上質感も高めた。最小回転半径は5.6m。

現状では3列シートの設定こそないものの、ボディリヤセクションのスクエアな造形やシートアレンジ時のラゲッジスペースの広大さ、そして何よりもボディ両サイドにスライドドアを有することなどから、SUVと言うよりもミニバン的なキャラクターが色濃くも感じられるこのモデルは、1997年登場の初代モデルからそうした記号性を一貫して踏襲。ただし、ボディサイズは代を追うごとに拡大されており、現行モデルの3代目は初代に比べると全長で450㎜以上、全幅も200㎜以上大きくなったことに関しては、評価が分かれる部分でもある。

乗降性

日本仕様が7速DCTとの組み合わせで搭載するパワーユニットは、1.3ℓのガソリンエンジンもしくは1.5ℓのディーゼルエンジンのともにターボ付きの4気筒エンジン。最高出力はガソリンエンジンが131PS、ディーゼルエンジンが116PSとガソリンエンジンが勝るものの、最大トルクではガソリンエンジンが240Nm、ディーゼルエンジンが270Nmとディーゼルエンジンが勝り、両者が逆転する。

インストルメントパネル

広々した足元を確保するインパネシフトや高めの視点による視界の良さが美点だ。2025年7月のマイナーチェンジでメーターパネルが7インチから10インチに拡大し、視認性が大きく向上。

いずれも実用上は十分な動力性能を発揮してくれるが、高速クルージングではやはりキックダウンに頼ることなく力強い追い越し加速が得られるディーゼルエンジンの特性が光る。一方、街乗り主体の使い方に徹するならばより軽快感に富んだガソリンエンジンの走り味に軍配が上がりそうだ。しかし、走りに関するさらなる驚きのポイントは、実は非凡なそのフットワークの仕上がりにある。

居住性

元を辿れば商用車ベースのモデルでありながら、ドライバーひとり乗りという〝空車〞の状態で荒れた路面に踏み入れてもまったく跳ねるような挙動は見せず、あまつさえ高速道路でのクルージングでは「望外」と表現をするしかない高度なフラット感を味わわせてくれるのだ。一方で、そうしたクルージングのシーンだけではなく連続するコーナーにその見掛けには相応しくないペース(?)で飛び込んだとしても、1.8m超という全高にもかかわらず過大なロールを伴うでもなく涼しい顔で駆け抜けて行くのだからその走りのバランスに長けた仕上がり具合は侮れない。とはいえ、たまたまテストドライブ中に遭遇した強い横風に対してはやはり相応のフラつきは否めなかった点は付け加えておく必要がありそうだが。

うれしい装備

日本仕様は、初代と2代目と同様に観音開きのバックドアを採用する。アウタードアハンドルは左側にあり、荷物の大きさによっては左側だけ開けても積載できる。右側の開閉レバーは内側に配置する。
フロントオーバーヘッドコンソールを全車に標準装備する。前席からサッと出し入れしやすい位置にあり、ティッシュなどの日用品から帽子などの身のまわりのアイテム、アウトドアグッズなどが収まる。
月間販売台数   NO DATA
現行型発表    23年2月(マイナーチェンジ 25年7月)
WLTCモード燃費  19.6㎞/ℓ※ディーゼル車 

ラゲッジルーム

いずれにしても、そんな走りの実力を含めて歴代のカングーに根強いファンが付いて離れないのにはやはり確固たる理由がありそう。その上で商用車仕込みの広大なユーティリティスペースを備えるのだから、こうしたモデルこそが〝真のSUV〞という見方にも大いに納得だ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.173「2026年 ミニバンのすべて」の再構成です。

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