首都高や市街地を走った燃費はあっさりと24.0km/Lをマーク!
2025年5月に都内で世界初公開された新型トヨタRAV4は、同年12月17日に発売された。このタイミングで発売されたのは、ハイブリッド車(HEV)のみだ。プラグインハイブリッド車(PHEV)の発売は2026年3月9日なので、試乗機会は少し先になりそうである。
6代目となる新型RAV4のラインアップを整理しておこう。国内に導入されるRAV4のパワートレーンはHEVとPHEVのみ。先代にあったガソリン車の設定はなくなった。ボディスタイルは3種類。洗練された都会風デザインの「Z」とオフロードの雰囲気を漂わせる「Adventure(アドベンチャー)」、そして、走りにこだわり抜いた「GR SPORT」である。ZはHEVとPHEVが選択可能。アドベンチャーはHEVのみ。GR SPORTはPHEVのみだ。駆動方式は全車、リヤにモーターを搭載するE-Fourである。

今回は東京・水道橋にあるトヨタ東京本社を起点に、アドベンチャーに乗って霞が関から首都高速に乗って台場に行き、潮風公園で撮影を済ませてZに乗り換え、台場〜西神田のルートで東京本社に戻った。確かめたいことはたくさんあったが、安全・先進機能などは運良くそういうシーンに遭遇しないと確認はできないこともあり、残念ながら次回持ち越しとなったシーンが多々ある。今回はその他の領域も含め、確認できた範囲でお伝えしていきたい。
RAV4は世界180の国と地域で年間100万台規模のセールスを誇る人気モデルだ。2018年にデビューした5代目は歴代で最も成功したモデルであり、モデル末期になっても人気に衰えを見せる気配はなかった。そのため、6代目の開発にあたっては「変える必要があるのか?」という議論もあったという。
悩んだ末に導き出した答えは、「先代をリスペクトしつつ継承していく部分と、新しく進化させていく部分をわかりやすく伝えていく」こと。継承する部分はパッケージである。なんと、新型では外形寸法も室内の居住&荷室スペースの主な寸法も変えていない。4600×1680mmの全長×全高も、2690mmのホイールベースも先代と同じである。Z同士の比較では1855mmの全幅も同じだ(アドベンチャーは1880mm)。

前席ヒール段差(かかと〜ヒップ)もタンデムディスタンス(前後乗員間)も荷室長も変えていない。「多くの国、地域のお客様にご愛用いただいているサイズを信じ、意思を持って変えなかった」とチーフエンジニアは語る。大きくすることだけが正義ではない、ということだ。
いっぽう、進化ならぬ「深化」させていく部分は「もっとアドベンチャーを感じるデザイン」とした。しかも、スマートさを兼ね備えた状態で。エクステリアはスマートに見えながら力強さを感じさせ、インテリアは加飾を抑えてシンプルにし、機能的なコックピットを目指したという。

さらに、「電動化」「知能化」「多様化」の面で進化させた。電動化については冒頭で触れたように、ガソリン車をなくしHEVとPHEVのみにしたのがポイント。この決定については、「自然にまみれるSUVだからこそ環境にこだわりたい」と背景を話す。燃費について触れておくと、往路の水道橋〜台場・潮風公園間の平均燃費は24.0km/Lだった。トヨタのハイブリッド車の燃費の良さについては慣れきっているつもりではいるが、数値を見るたびに新鮮な驚きを禁じ得ない。「燃費の数字を確保するのは使命。そこは譲れない。RAV4だけでなく、トヨタとして」とは別の技術者の弁である。

先代比でいうと、ハイブリッドシステムは第4世代から第5世代に進化している。A25A-FXS型の2.5L直列4気筒自然吸気エンジンを組み合わせることに変わりはないが(最高出力は131kWから137kWに上がっている)、モーターとバッテリーの出力を第4世代比で上げている。第5世代は全開性能ではなく応答性の高さやダイレクト感など、普段使いのアクセル開度で良さが感じられるチューニングを施しているのが特徴だ。

リヤモーターの効果もあり、新型RAV4のHEVはドライバーがイメージしたとおりの力が出てくれる。交通量の少ない首都高速ではライントレース性の高さを確認することができた。ストレスなく、というより気持ち良くコーナーに進入していける。

そして、剛性感の高さが走りの安心感につながっているように感じる。プラットフォームは先代と同じGA-Kで、先代が1巡目なら新型は2巡目にあたる。新型の開発にあたっては全体の(とくにねじり)剛性を高めるとともに、前後サスペンションの取り付け部分といった局部剛性をしっかり高めた。さらに、高減衰接着材の適用範囲を拡大して微小な振動を抑えている。その効果か、しっかり感、しなやかさ、上質の単語で表現できる乗り味を確認できた。
サスペンションは踏ん張りが利いてほしいところとしなやかに動いてほしいところのバランスが絶妙で、瞬間的な大入力は角を丸めて伝え、コーナー進入時など踏ん張ってほしいところでは過度にロールせず、乗り手を不安な気持ちにさせない。これは、新摺動構造アブソーバー(カヤバのプロスムース。先代PHEVに適用済み)の効果もありそう。落ち着きのない細かな揺れとは無縁で、それが上質な乗り味につながっている。
「知能化」の面では新しい電子プラットフォームの搭載がニュースだ。従来は多くの部品や機能ごとにECUを搭載し、これらをつなぐ構成になっていた。新型RAV4では、複数の機能を統合している。具体的には、先進運転支援機能とコックピットをArene(アリーン)と呼ぶソフトウェアづくりのプラットフォームで統合。ユーザーは、既存あるいは新しい機能がより使いやすくなるといったメリットが享受できる。また、クルマの購入後も、ソフトウェアをアップデートすることで機能を進化させることが可能だ。
新型RAV4では先進予防安全パッケージのトヨタセーフティセンス(TSS)がアリーンとの組み合わせで進化した。例えば、リスクを先読みした運転支援機能のプロアクティブドライビングアシスト(PDA)や、レーダークルーズコントロールの制御については、「匠」と呼ばれる開発ドライバーの運転をAI解析し、人の感覚に合った加減速を目指して開発を行なったという。また、センターディスプレイの表示は直感的に視認および操作できるグラフィックと機能を付与。音声認識は応答速度と認識性能を高めている。

PDAについては2022年に発売されたノア/ヴォクシーで適用が始まって以来、筆者お気に入りの機能のひとつとなっている。とくに先行車に近づきすぎるとシステムが判断した際に、自動減速してくれる機能が気に入っている。コーナーではオーバースピードにならないよう自動減速してくれる。介入の強弱は設定画面で変更が可能。運転中は「システムが見守ってくれている」安心感が得られるのがいい。
走行中にシステムが先行車を捕捉すると、制御を介入させないまでも「ちゃんと見てますよ」ということをグラフィックの変化で教えてくれる。これにより安心感がより高まるのを感じた。グラフィックも高精細に進化しており、新鮮味がある(筆者は未確認に終わったが、ヘッドアップディスプレイの表示も進化している)。
「多様化」については前述したように、Zとアドベンチャー、GR SPORTの3タイプのスタイルを用意したことだ。今回はZとアドベンチャーのみの確認にとどまったが、ちょっと違うどころかだいぶ違う印象である。顔を変えるだけでも大仕事だろうに、Zとアドベンチャーではそれぞれ専用にシフターを設定するこだわりよう。Zはトヨタ初採用のエレクトロシフトマチックで見た目に先進的だ(かつ、直感的で使いやすい)。

いっぽう、アドベンチャーはコンベンショナルなレバー式のシフトセレクターを採用する。エレクトロシフトマチックはバイワイヤー。レバー式はケーブル作動だ。「アドベンチャーはギヤ感を出したかった」ので、あえてレバー式セレクターにこだわったとのこと。確かにアドベンチャーが醸し出すムードにはごついシフトレバー、モダンな仕立てのZには小ぶりなエレクトロシフトマチックが似合っている。

スマホのワイヤレス充電機能は装備されているし、フロント席だけでなくリヤ席にもUSB(タイプC)のポートが2つずつある(アドベンチャーのフロントは15Wなのに対しZは45W!)。ステアリングヒーターは全車標準装備。シートヒーターはアドベンチャーが前席のみ、Zは前席に加え後席左右にも装備。Zはさらに、前席にシートベンチレーションが付く。まさに至れり尽くせりだ。
移動の時間をどう過ごすのかの面で、安心、安全、かつ快適を約束するのが新型RAV4である(ドライバーには運転する楽しさも与えてくれる)。先代を確実に超えているのは間違いない。

トヨタRAV4主要諸元
| グレード | Z | Adventure |
| 全長 | 4600mm | 4620mm |
| 全幅 | 1855mm | 1880mm |
| 全高 | 1680mm | |
| ホイールベース | 2690mm | |
| 車両重量 | 1720kg | 1710kg |
| 乗車定員 | 5名 | |
| 最小回転半径 | 5.7m | |
| 燃料タンク容量 | 55L | |
| エンジン形式 | 直列4気筒DOHC | |
| エンジン排気量 | 2487cc | |
| エンジン最高出力 | 137kW(186PS)/6000rpm | |
| エンジン最大トルク | 221Nm/3600-5200rpm | |
| Fモーター 最高出力 | 100kW(136PS) | |
| Fモーター 最大トルク | 208Nm | |
| Rモーター 最高出力 | 40kW(54PS) | |
| Rモーター 最大トルク | 121Nm | |
| 動力用主電池(容量) | ニッケル水素電池(5.0Ah) | |
| Fサスペンション | マクファーソンストラット | |
| Rサスペンション | ダブルウイッシュボーン | |
| WLTCモード燃費 | 22.5km/L | 22.9km/L |
| 市街地モード | 18.0km/L | 18.5km/L |
| 郊外モード | 26.5km/L | 27.0km/L |
| 高速道路モード | 22.6km/L | 22.8km/L |
| タイヤサイズ | 235/50R20 | 235/60R18 |
| 価格 | 490万円 | 450万円 |












