初の試みに踏み込む旗艦モデルゆえの覚悟

カーナビとして初の採用となったミニLEDから始まり、10インチモデルの投入と、初の試みが続いた本モデル。電気設計を担当する多羅澤氏はいう。
「通常であれば、液晶メーカーさんの製品を設計部門で選定し、弊社の規格を満足するように開発を進めていきますが、今回は液晶メーカーさんにご協力いただき、一から弊社のこだわりも盛り込んで設計していただいたという経緯があります。その分、既存のものと比べて圧倒的な差が生まれたと思います(多羅澤氏)」。
困難さはスタート前から存在していた。
「まず、仕様決めのところですね。人の目で見た時に綺麗に見えるような色味を最初に選定するところが苦労したポイントでしたね。日本人は、黄色っぽい白色よりも青っぽい白色を目の特性として好んだりなど、人によって見え方の感覚が違うところもあるので(多羅澤氏)」。
光の反射率を抑えて見え方の品位を保ち、白はもちろん黒の表現も光漏れのない緻密なオンオフ制御で黒はより黒らしく、さらには特殊なフィルムを使うことで再現できる色の領域を広げた。
「今までの液晶と比較すると、ミニLEDや量子ドットフィルムを採用したことで、圧倒的に色鮮やかでかつ鮮明です。設計的な目線で見ると、かなり満足した製品に仕上がったと思います(多羅澤氏)」。
類い希な映像美に見合うよう、映像面以外でも初の試みが続く。機構設計の廣井氏も述懐する。
「映像にも負けないぐらいのデザインになってると思います。例えば本体パネルの下の部分。さりげなく、これアルミなんです。デザイナーさんと協議を進めまして、ここだけは絶対こだわりたいと。自分も機構設計を長くやっていますが、アルミ部材を量産品に入れるというのは初めての経験です(廣井氏)」。
量産性やコストを考えると、アルミはなかなかの高級品。しかも制約もある。
「熱くなったり、電波的にも制約ががあるんです。この辺もやったことがない流れですね。形状的にも、何回もシミュレーションして評価も行いました(廣井氏)」。
そこに踏み込んでまでも差別化を譲れなかったのは、フラッグシップ機ゆえのこと。
「やはりアルミっていうのはステータス。それでいて、アルミらしさを主張しすぎないヘアライン仕上げもですが、全てのお客様にこの高級感を感じて頂けるようなデザインがコンセプトになっています(廣井氏)」。
仕様が決まった後も、ひと筋縄ではいかなかったという。
「実際に製造メーカーさんと打ち合わせると、ちょっとこれは難しいなと。量産するには難しいということですね。製造メーカーさんを選択するところも、今となってはポイントだったなと思います(廣井氏)」。
これまで使用していた部材は海外メーカーのもの。最終的にアルミ部材の製作を引き受けたのはとある国内メーカーだった。国内生産をうたう本モデルは海外販売のない日本市場向けのスペシャルモデル。冒頭にて触れた通り、色味決定に際しても、日本のユーザーを想定したモノ作りが徹底されている。

(左)
株式会社JVCケンウッド
技術本部 IVI商品技術1部
1グループ
多羅澤 康平 氏

(右)
株式会社JVCケンウッド
技術本部 IVI商品技術1部
4グループ エキスパート
廣井 純 氏
KENWOOD『彩速ナビ TYPE Mシリーズ MDV-MX12F』
カーナビへのミニLED採用は業界初となる試み。高温環境に強く、発光体も劣化しにくいために車載用途にも優れ、高輝度・長寿命・高コントラストとなる特性を備えるに至った。
「デザインの面も妥協を許さんっていう所が
コンセプトとしてありました」
「人の目で綺麗に見えるような
仕様決めが最初のヤマ場でした」