新プロポーション「2.5ボックス」とは何か

ノイエクラッセ(Neue Klasse)とは、ドイツ語で「新しいクラス」を意味する。1951年から1972年までBMWが生産した中型乗用車の名前でもある。これがのちのBMW3シリーズへと発展する。
今回紹介するVision Neue Klasse(ビジョン・ノイエクラッセ)は、2023年のIAA(フランクフルト・モーターショー)でワールドプレミアされたコンセプトカーである。
初代のノイエクラッセが重要だったのと同じく、ビジョン・ノイエクラッセの役割も大きい。BEVへと切り替わる次期3シリーズのコンセプトであると同時にこれからのBMW全モデルのデザインの方向性を示す役割を担っているからだ。

このビジョン・ノイエクラッセ、これまでのBMWのデザインテイストと明らかに違う。
全長×全幅×全高:4700mm×2070mm×1410mm
ホイールベース:2880mm
というボディサイズ。全幅が広いのはコンセプトカーならではだが、それを差し引いても新しいプロポーションだ。ジャパンモビリティショー2023にも展示されていたから、生でご覧になった方も多いだろう。
キドニーグリルのなかに4つのヘッドライトを配したフロントフェイス。サイドウインドウのホフマイスター・キンクはBMWの文法に則っている。

長いホイールベースと短いオーバーハング、21インチサイズの大きなタイヤ……BMWが「新しい2.5ボックスデザイン」と呼ぶプロポーションは、たしかにセダンでもクーペでも、もちろんハッチバックでもない新しさがある。
さて、このビジョン・ノイエクラッセは、発表されたBMW i3へとつながっていく存在だ。並べて見てみよう。



BMW i3のボディサイズは
全長×全幅×全高:4760mm×1865mm×1480mm
ホイールベース:2897mm
現行3シリーズのボディサイズは
全長×全幅×全高:4720mm×1825mm×1445mm
ホイールベース:2850mm
だから、全長に占めるホイールベースは60.4%
ノイエクラッセのそれは61.3%
BMW i3は60.9%
長いホイールベースといっても、プロポーション的には劇的に長いわけではない。どちらかといえば、前後オーバーハングが短いという方が合っている。では、両者のプロポーションを見比べていこう。
ビジョン・ノイエクラッセとBMW i3を見比べる
エクステリア





並べて見ると、ボディサイドの面の作り方がだいぶ違うことがわかる。テール部分の処理もかなり違う。BMW i3は個性的ではあるが、量産車としてはだいぶ「普通」だ。






再びサイドビューを見てみよう。


コンセプトカーであるビジョン・ノイエクラッセは、見せたい未来を強めに表現し、量産モデルであるBMW i3は現在、そして近い未来のユーザーに受け入れやすい処理をしていることがわかる。こうしてサイドビューだけ(つまりキドニーグリルが見えなくても)でも、このクルマが新しいBMWだと感じさせるデザイン力はさすが、と言わざるを得ない。ご存知のとおり、これまでのBMWは後輪駆動だったが、ビジョン・ノイエクラッセ/BMW i3は、駆動力配分はリヤ寄りとははいえ、前後にモーターを搭載するBEV(電気自動車)だ。フロントにはエンジンはないが、かといってエンジンを横置きするFWDモデルにも見えない。



ビジョン・ノイエクラッセ






BMW i3












インテリア





ビジョン・ノイエクラッセではインテリアも新しい提案をしている。BMWらしいドライバー志向の設計は変わらないが、必要な情報は従来のメーターではなくフロントウインドウの下に映し出している。それにともなってステアリングホイールは完全に再設計されている。


ビジョン・ノイエクラッセのインテリア






BMW i3のインテリア








ビジョン・ノイエクラッセは、電動時代のBMWがどういうクルマになるか、を示すという重大な役割を持って世に送り出された。それゆえ、ドイツ・フランクフルトからスタートして、世界中のモーターショーで展示され、来るべき新しいBMWモデルを予告し、やや強めの印象を与えてきた。だから、新型BMW i3がデビューしても、多くの人は新鮮さとBMWらしさを同時に感じることができるわけだ。

