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今日は何の日?■3代目はタイプR唯一の4ドアセダン

2007(平成19)年3月29日、ホンダは「8代目シビック」をベースにした究極のピュアスポーツ「シビック・タイプR」の3代目を発表した(発売は翌30日)。3代目タイプRは、タイプR唯一の4ドアセダンだが、パワーアップによってレーシングテイストの走りに磨きをかけた。
スポーツスピリットを凝縮した初代シビック・タイプR(EK9)


究極のピュアスポーツを追求するホンダの“タイプRシリーズ”は、1992年11月に「NSX」に初めて設定された「NSX-R」が始まりだ。1995年10月には、第2弾となる「インテグラ・タイプR」が登場した。

第3弾が1997年8月にデビューした「シビック・タイプR(EK9)」である。初代シビック・タイプRは、6代目「シビック」のハッチバック「SiR」をベースに、各部を徹底的にファインチューニングされた。開発段階では、NSXやインテグラのタイプRよりも身近な存在のFFホットハッチとして、サーキットで他を圧倒する走りを発揮しながらも、一般路でも楽しめることを目指した。

ボディ剛性を高めた上で低重心化し、サスペンションのハードチューニングやブレーキ強化など施し、さらにスポイラーなどエアロパーツ、軽量アルミホイール、MOMO製ステアリング、レカロ製バケットシートなどが装備された。

心臓部のエンジンは、1.6L 直4 DOHC VTECエンジンをチューンナップして、最高出力185ps/8200rpm、最大トルク16.3kgm/7500rpmを発揮し、リッター出力は世界トップレベルの116ps/Lを達成。組み合わせるトランスミッションは5速MTで、レブリミットの8000rpmまで一気に回り、1.6L NA(自然吸気)とは思えない別格の走りが実現された。

車両価格は、200万円を切る199.8万円に設定され、走り好きの多くのファンから爆発的な人気を獲得した。ちなみに、当時の大卒初任給は19.5万円程度(現在は約23万円)だったので、現在の価値で約236万円に相当する。
パワーアップした英国生産の2代目シビック・タイプR(EP3)

2001年12月、2代目シビック・タイプRがデビューした。前年に発売された7代目「シビック」に3ドアハッチバックがなかったことから、英国生産の欧州向けに設定されていた3ドアハッチバックをベースにして、英国スウィンドン工場で生産したものを日本に輸入するという形がとられた。

排気量を初代の1.6Lから2.0Lに拡大し、専用チューンナップされた2.0L直4 DOHC i-VTECエンジンは、最高出力215ps/8000rpm、20.6kgm/7000rpmを発揮。もちろん、足回りやブレーキは専用チューニングされ、初代同様エアロパーツ、MOMO製ステアリングやレカロ製バケットシート、大型ブレーキローターなど、タイプRの名に相応しい装備が継承された。
車両価格は、220万円に設定。2代目シビック・タイプRは、圧倒的な走りは継承されても、ベースとなったシビックのファミリーカー的なスタイリングの影響で、ボンネットと全高が高く精悍さに欠けるという不満が散見された。

高剛性とハイパワーエンジンで走りを磨いた3代目(FD2)

2007年3月のこの日、3代目シビック・タイプRがデビューした。タイプRは基本的に3ドアハッチバックだが、3代目は8代目「シビック」をベースにしたタイプR唯一の4ドアセダンとなった。

3代目シビック・タイプRが目指したのは、“FF タイプR史上最速”のラップタイムの達成。ベースとなった4ドアボディの極めて高い剛性を活用しながら、主にシャシーおよびボディの取り付け剛性の強化によってさらなる高剛性ボディが実現された。


スタイリングは、ピュアスポーツモノフォルムをテーマに、空気をスムーズに流す面とシャープなエッジで構成され、一方でスパルタンな印象を強調する専用エアロパーツを装備。インテリアで特徴的なのは、それまで採用されていたレカロシートではなく、ホンダオリジナルのホンダR specシートに替わったことだ。
パワートレインは、先代と同じ2.0L 直4 DOHC i-VTECエンジンと6速MTの組み合わせだが、吸排気効率や圧縮比アップなどによって、最高出力225ps/8000rpm、最大トルク21.9kgm/6100rpmまで向上した。さらに、DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)の採用により、出力とレスポンスの両立が実現された。
車両価格は、先代より60万円程度高額な283.5万円。約1ヶ月で2100台受注され、相変わらずの人気を獲得した。

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3代目シビック・タイプRは、唯一の4ドアセダンなので実用性にも配慮したモデルと思われるかもしれないが、サーキット走行を前提にした従来にも増して硬めの足回りや遮音材も少な目なので、やはり街乗りには向いているとは言えない。生粋のタイプRらしいモデルなのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。


