2027年モデルで追加される「ニスモ」の6速MT車

現行RZ34日産「フェアレディZ」には、2022年に発売された当初より、新開発の9速ATのほか、6速MT車が先代Z34より継続設定されているが、2023年8月発表の2024年モデルで追加されたホットバージョン「ニスモ」には、6速MT車がなく9速AT車のみとされていた。

それは、6速MT=愛知機械工業製R31A型6速MTのトルク容量が、本来は450Nmということに起因する。現行RZ34に搭載されるVR30DDTT型3.0L V6ツインターボエンジンの最大トルクは、「ニスモ」以外の標準グレードでも475Nm。これに対応するため、ベアリングとクラッチのサイズ拡大やシンクロナイザーの強化など、様々な対策を施しているが、それでも「ニスモ」用VR30DDTTの最大トルク520Nmには対応できず、6速MT車の設定は見送られた。
6速MTの主な耐久性向上策は?
だが、水面下では「ニスモ」に対応できる6速MTの開発が進められており、晴れて2026年夏発売予定の2027年モデルで、「ニスモ」にも6速MT車が設定されることとなった。
では具体的に、従来の6速MTに対し、どのような点が変更されたのだろうか? フェアレディZのほか「インフィニティ」ブランド各車や「スカイライン」などFR系スポーツモデルの開発を指揮する、日産自動車の江田博文(えたひろふみ)CVE(チーフビークルエンジニア)に聞いてみると、6速MT自体の主な耐久性向上策としては、
・クラッチスプリングの強化
・トランスミッションミッションケースの強度アップ
・オイル流路変更
を挙げている。なお、これらの変更点は「ニスモ」のみならず標準グレードの6速MTにも適用されるというから、「ニスモは高すぎてちょっと…」という人にも朗報だろう。

また「ニスモ」6速MT車専用に、VR30DDTTのエンジン制御プログラムを変更。よりレスポンスが鋭い「SPORT」ドライビングモードを追加しつつ、ノーマルモードでは従来の「ニスモ」よりトルクの出方を穏やかかつリニアにしたという。これに伴い、変速時にエンジンの回転合わせを自動で行う「シンクロレブコントロール」のON/OFFスイッチを、標準グレードのシフトレバー右前から、「ニスモ」ではシフトレバーの真後ろに移動させている。
いまや希少なMTのスポーツカーだけに、その仕上がりに期待!

さらに、スポーツ走行時などにより素早く変速できるよう、標準グレードに対しシフトレバーを短縮したほか、クラッチのミートポイントも変更。車外での静粛性は保ちつつ車内では走行状況に応じてエンジンサウンドを制御する「アクティブ・サウンド・コントロール」も、低回転域では野太い音から始まり、回転が上がるにつれて甲高い音へとリニアに変化するよう変更したことを、江田CVEは明らかにしている。

筆者が以前、現行RZ34フェアレディZ・2025年モデルの6速MT車に試乗した際、その6速MTのフィーリングに少なからず不満を感じるとともに、姉妹車と言える「スカイライン400R」の完成度の高さを思い出し、6速MT車のみならず現行RZ34フェアレディZ自体の存在意義に疑問を抱いたことを、今でもよく覚えている。
果たして2027年モデルでの改良がどれほど功を奏しているか、それは実際に試乗しなければ分からない。だが、「9速ATの速さや効率の良さをかなぐり捨ててでも、6速MTを自分の手で操り、走りを楽しみたい!」という熱いスポーツカー好き、フェアレディZファンの想いに応えてくれる6速MTに進化していることを、期待できることだけは間違いない。


