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今日は何の日?

■ダイハツからOEM供給されたトヨタ・ブリザード

1980年4月にデビューしたトヨタ「ブリザード」(1980年の雑誌広告から)

1980(昭和55)年4月1日、トヨタは小型4WDオフローダー「ブリザード」を発売した。ブリザードは、1974年に誕生したダイハツ「タフト」のOEMであるが、エンジンはトヨタ製の2.2L 直4 SOHCディーゼルが搭載された。

ブリザードのOEM元のダイハツ・タフト

1951年に誕生した「トヨタジープ BJ型」

国産4WDオフローダーの始まりは、1951年に自衛隊の前身である警察予備隊が使う制式車両の入札のために試作した小型4WD車に遡る。採用されたのは、米国カイザー・ウィリス社と技術提携していた中日本重工業(現在の三菱重工のルーツのひとつ)の「三菱ジープ」だった。またこの入札には、日産「4W60ジープ」(後のパトロール)とトヨタ「トヨタジープBJ」(後のランドクルーザー)も参加し、これが日本の4WDオフローダーの始まりとなった。

1970年4月にデビューしたスズキ初代「ジムニー」
1970年4月にデビューしたスズキ初代「ジムニー」

また、1970年4月には軽自動車の4WDオフローダー、スズキ「ジムニー」が誕生。初期のジムニーはオフロードでは威力を発揮したが、オンロードでは排気量が小さい分、速度が上がらず快適とは言えなかった。これらのジープ系の大型オフローダーと軽オフローダーの中間を狙った小型オフローダーが、1974年にデビューしたダイハツ「タフト」だった。

ダイハツ初代「タフト」

タフトのスタイリングは、ジープスタイルでルーフもドアもない。平面ガラスのフロントウインドウは、頑丈なフレームとともに前方のエンジンフードの上に倒すことができた。前席の後ろにはロールバーが装備され、ドアの代りに2本の開閉可能なバーがセットされた。

頑強なラダーフレームで、パワートレーンは「コンパーノ」にも搭載されていた最高出力58ps/最大トルク8.0kgmを発揮する1.0L 直4 OHVエンジンと、4速MTに2速トランスファーを組み合わせたパートタイム4WDを採用。サスペンションは前後ともリーフスプリングの固定軸を組み合わせたタイプだった。

小型車の本格4WDオフローダーとしてデビューしたタフトは、当時はまだ4WDオフローダーを楽しむユーザーは少なかったが、それでも一部のファンからは支持された。

タフトにトヨタ製エンジンを搭載したブリザード

トヨタは、1967年11月にダイハツと業務提携し、実質的にダイハツを傘下に収めて連携を強化した。当時、すでにトヨタは本格的な4WDオフローダー「ランドクルーザー」のモデル展開を進めていたが、4WDオフローダー市場の拡大を目指して、1980年4月のこの日にダイハツ「タフト」のOEM供給を受けて発売を始めた。

1980年4月にデビューしたトヨタ「ブリザード」

ブリザードはランクルの弟分と位置付けられ、シャシーやサスペンション、ボディスタイルなどはタフトと同じだが、エンジンはトヨタ製の最高出力72ps/最大トルク14.5kgmを発揮する2.2L 直4 SOHC渦流副室OHVディーゼルエンジンに換装された。ボディタイプは帆タイプと固定ルーフのバンの2種だったが、1981年にはサンルーフ付のFRP製トップのグレードも追加された。

トヨタ初代「ブリザード」のバンタイプは一体構造の鉄屋根に加え、途中からFRPトップ(タフトではレジントップ)が登場

車両価格は、126.5万円(帆タイプ)/130.5万円(バンタイプ)に設定。当時の大卒初任給は11.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約253万円/261万円に相当する。

トヨタ初代「ブリザード」のエンジン。ディーゼルにしてはコンパクトに見える。パワステやクーラーがないことも効いている。バッテリーは運転席の下
1981年式のFRPトップ車のコクピット。上位グレードのDXではセンターパネルに計器類が装備される
トヨタ初代「ブリザード」のシートはランクル40系のLXに似たパターンの縞模様にリクライニング&スライド式

ブリザードは、トヨタの販売網が強力だったことから、本家のタフトの販売台数を上回る実績を残したが、小型4WDオフローダー市場を開拓するまでには至らなかった。

その後のタフトとブリザード

ブリザードは、1984年5月に2代目にモデルチェンジした。先代と同じくダイハツからのOEM供給で対応したが、ダイハツのタフトが「ラガー」と車名を変更したため、2代目ブリザードのOEMベースはラガーに代った。しかし、ブリザードの人気が伸び悩んだことから、1990年3月にブリザードは生産終了し、トヨタの小型4WDオフローダーのラインアップから消えた。

1999年にデビューしたトヨタ「キャミ」。ダイハツ「テリオス」のOEM供給車
2006年にデビューしたトヨタ「ラッシュ」。ダイハツ「ビーゴ」のOEM車

その後、トヨタは本格オフローダーではないが、1994年5月に都会的な雰囲気のやや大きめのクロスオーバーSUV「RAV4」を発売。その後も、1999年5月にややオフローダー色の強いコンパクトSUV「キャミ(ダイハツ「テリオス」のOEM)」、2006年1月にクロスオーバー色が強くなったコンパクトSUV「ラッシュ(ダイハツ「ビーゴ」の兄弟車)」、そして2019年11月にはクロスオーバーSUV「ライズ(ダイハツ「ロッキー」のOEM)」を投入した。

2019年にデビューしたコンパクト・クロスオーバーSUV、トヨタ「ライズ」。ダイハツ「ロッキー」のOEM車

一方ダイハツのタフトは、1984年4月にモデルチェンジして上記の通り国内向けは「ラガー」に車名を変更。その時点で国内におけるタフトの名はラインナップから消えたが、2020年6月に軽クロスオーバーとなって、「タフト」は復活を果たし人気モデルとなっている。

2020年6月にデビューしたダイハツの軽自動車「タフト」

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ジムニーは別としても、現在本格的な4WDオフローダーは世界的にみても大型車に限定されている。ファミリーカー志向の強い小型・中型車は、1990年代半ばからは都会的な雰囲気を持つクロスオーバーSUVが大人気で、4WDオフローダーのタフトとブリザードが生き残るには、厳しい状況だったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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