クロスカブ110のカスタムというと、見た目重視か、逆にガチガチのハードチューンか。そのどちらかに振れがちだ。だが、今回スペシャルパーツ武川が提案した1台は、どちらでもない。狙っているのは、普段もちゃんと使えること。そのうえで、走りと操作感、さらに見た目の満足感までしっかり底上げするという、じつに現実的なライトチューンなのである。

アップマフラーとキャリア装備が際立つ左サイド。クロスカブらしいギア感と、走りの余裕を感じさせるバランスが秀逸。

主役はやはり145cc化されたエンジンまわり

このマシン最大の見どころは、新作の「ハイパーSステージボアアップキット145cc」を軸にしたエンジン周りだ。
このキットは、ただシリンダーとピストンを入れ替えて排気量を145ccにするだけではない。Φ28mmのビッグスロットルボディキット、FIコン TYPE-X、大容量インジェクターまでがセットになっていて、吸気量と燃料供給まで含めてバランスを取りながら性能を引き上げる構成になっている。

つまりこれは、“145cc化しました、以上”という単純なメニューではない。排気量アップで得たトルクを、インジェクション制御まで含めてきちんと活かそうという考え方だ。クロスカブ110の魅力である扱いやすさを残しつつ、発進から中速域までをもっと余裕あるものにしたい。そんなユーザーに向けた、かなり現実的な答えに見える。

しかも、ここにコンパクトクールキットまで組み合わせているのが抜かりない。排気量アップで熱負荷が増えることを前提に、しっかりオイル管理まで視野に入れているからだ。見た目のインパクトだけでなく、ちゃんと“乗り続けること”まで考えた仕様なのである。

ハイパーSステージボアアップキット145ccを核に、ビッグスロットル&FIコンを組み合わせた本格仕様。扱いやすさも重視している。

トラッカーマフラーが、走りと雰囲気をまとめ上げる

エンジンの仕様変更に合わせて装着されているのが、トラッカーマフラー(アップ)だ。ショートタイプのアップマフラーは、クロスカブの道具っぽさと遊びっぽさを同時に引き立てる好アイテム。サイドビューの印象を一気に軽快に見せつつ、145cc化されたエンジンとの組み合わせで、走りへの期待感も自然に高めてくれる。

クロスカブはもともと、ハンターカブほどギア感に寄せすぎず、スーパーカブほど生活感にも振り切らない絶妙な立ち位置のモデル。その中で、こうしたアップマフラーを組み合わせると“ちょっと遊べる相棒感”がグッと強まる。今回の車両はまさにそこがうまい。

アップタイプのトラッカーマフラーを装着。ショート形状のサイレンサーと取り回しで軽快なスタイルを演出しつつ、排気効率にも配慮した設計が特徴。政府認証モデル(※ノーマルエンジン時)として実用性も確保されており、145cc仕様との組み合わせで見た目と走りの両立を図っている。

ハイドロクラッチで“カブらしからぬ操作感”を手に入れる

もうひとつ注目したいのが、ハイドロクラッチコンバージョンキットだ。価格は3万円を切る設定で、思わず手を伸ばしたくなる絶妙なところを突いてきた。
クロスカブ110はもともと遠心クラッチだから、イージーに乗れることが魅力だが、その反面“もっと積極的に操って楽しみたい”“ダートや林道も遊びたい”と思う人も少なくない。そこで効いてくるのがこのキットである。

もちろん、取材でも出ていたように、ホースの取り回しやエア抜きは気を遣うポイントになる。簡単装着だけで片付けられるパーツではない。だが、それを踏まえても、左手でクラッチを使って乗り味を作れるようになる恩恵は大きい。特に排気量アップしたエンジンと組み合わせれば、クロスカブ110がただの便利な足ではなく、もっと積極的に操りたくなる存在へと変わってくる。

右サイドはエンジン周りの作り込みが際立つ。145cc化に加え吸排気と燃調まで整えた、完成度の高いライトチューン仕様だ。

小物の効かせ方も、いかにもSP武川らしい

この車両はエンジンが主役なのは間違いないが、仕上げのうまさは小物にも出ている。ゴールドのブレーキアームジョイントやチェーンアジャストナットを差し色に使い、スモークテールやLEDウインカーで引き締める。さらにフロントキャリア、ヘッドライトガード、フォグ、キャリアコンテナ、ウォータータンクまで加わることで、クロスカブらしいギア感もしっかり演出している。

やりすぎれば雑多になりがちなカテゴリーだが、この車両は“遊び道具としてのクロスカブ”と“ちゃんと使える実用品”の境界線をうまく攻めている。派手すぎないのに、見れば確実に違いがわかる。こういうまとめ方は、さすがSP武川だ。

ウォータータンクキットを装着し、ツーリング装備も充実。クロスカブらしい“道具感”を高めるアクセントになっている。

速さだけじゃない、日常を面白くするライトチューン

このクロスカブ110の面白さは、フルチューンのようなわかりやすい派手さではない。145cc化で余裕を作り、オイルクーラーで備え、マフラーで雰囲気を整え、ハイドロクラッチで操作感を変える。さらに小物で自分らしさまで足していく。
つまりこれは、速さだけを競うカスタムではなく、日常で乗るクロスカブをもっと気持ちよく、もっと楽しくするための現実解なのだ。

クロスカブ110で“もう少し余裕が欲しい”“もう少し操る楽しさが欲しい”と思っていた人には、かなり刺さる提案車といっていいだろう。

ディテールチェック!

ウォータータンクキットを装着し、ツーリング装備も充実。クロスカブらしい“道具感”を高めるアクセントになっている。
フロントキャリアは積載だけでなくスタイルにも貢献。ヘッドライトガードとの組み合わせで無骨な印象を強調する。
スモークテールレンズに加え、コンパクトなオーバルミニLEDウインカーを装着。視認性を確保しつつサイズを抑えることで、リア周りをスッキリと引き締めている。細かな電装系のアップデートだが、全体の完成度を底上げする重要なポイントだ。
キャリアコンテナセット20Lを装着。積載性をしっかり確保し、日常使いからツーリングまで対応する実用装備。

SP武川 クロスカブ110 カスタムパーツ一覧(品番付き)

製品名品番価格
ハイパーSステージボアアップキット145cc01-05-547117万6000円
コンパクトクールキット07-07-02583万9050円
トラッカーマフラー(アップ)04-02-00207万5900円
ハイドロクラッチコンバージョンキット02-01-04032万9700円
ハイパーイグニッションコイル05-02-00586380円
ジェネレータープラグセット05-02-00526380円
アルミチェーンガード09-09-00849350円
スモークテールレンズキット05-08-06043410円
LEDフォグランプキット3.005-08-06672万6400円
オーバルミニLEDウインカーキット05-08-06551万8700円
キャリアコンテナセット20L08-01-01956160円
フロントキャリアキット09-11-01051万1880円
ヘッドライトガード09-09-00729570円
アルミセンターキャリアキット09-11-01032万2000円
アンダーフレームキット06-00-00173万8500円
ウォータータンクキット09-11-04271万3750円
サイドバッグサポート09-11-03191万3200円
クッションシートカバー09-11-02356380円
リアショックアブソーバー06-04-01511万9800円
フローティングディスクローター06-08-01762万2000円

モトチャンプ