Alpine A390 GTS

ディエップ工場において2025年に製造開始

フル電動クロスオーバー「アルピーヌ A390」の製造工程。
アルピーヌ3番目、A290に続くドリームガレージ(BEV)・シリーズの第2弾として発表された「A390」は2025年から製造を開始する。

アルピーヌのラインナップに、A290に次ぐ2番目のフル電動モデル「A390」が加わった。A390は、A110の俊敏性とパフォーマンスを備えた5シーター・フル電動ファストバック・クロスオーバーとして開発。最新のオンボードテクノロジー、パワフルな3基の電動モーター、シャシーのアルピーヌ専用セットアップにより、市街地だけでなく、ワインディングロードでもライバルを凌駕する走行性能が与えられた。

A390のフル電動プラットフォームは、ルノー傘下のEV&ソフトウエア開発メーカー「アンペール(Ampere)」社から供給。オーナーには「モバライズ・パワー・ソリューション(Mobilize Power Solutions)」社が開発した双方向V2G充電などの充電サービスも提供される。

A390は、アルピーヌ生誕の地、ディエップのマニュファクチュール・アルピーヌ・ディエップ・ジャン・レデレにおいて設計・製造。フランスにおける価格は「GT」が6万5000ユーロ、パフォーマンス仕様の「GTS」が7万6000ユーロから。発売は2025年第4四半期からを予定しており、最終的な価格は販売地域での受注開始時に発表されるという。

アルピーヌ・ブランドを傘下に持つルノーグループのルカ・デメオCEOは、アルピーヌ A390の発表を受けて次のようにコメントした。

「誰かが『人生は70歳から始まる』と言ったことがありますが、アルピーヌにとってこの言葉はまさに真実かもしれません。70周年の2025年、『ドリームガレージ』の2番目のモデルA390が、ここにデビューしました」

「2025年に販売を開始するA390は、世界に対して『ソウル(魂)がソフトウェアよりも重要である』と再確認させるでしょう。私のようなカーエンスジアストにとって、伝説のブランドを復活させ、新たな領域へ展開し、オリジナルレシピが今な生き続けていることを示すのは、何よりもエキサイティングなことだと実感しています」

エアロダイナミクスを追求したエクステリア

フル電動クロスオーバー「アルピーヌ A390」のエクステリア。
空気を切り裂くプロトタイプレーシングカーをイメージしたエクステリアは、ボディ各部にエアロダイナミクスを意識したコンポーネントが導入されている。

エレガントなスポーツファストバックのフォルムに、アルピーヌらしい個性を備えたA390は、5名のパッセンジャーがリラックスできる室内空間を兼ね備える。全長4615mm、全幅1885mm、全高1532mmという扱いやすいボディサイズでありながら、アルピーヌ製フル電動モデルとして、これまでにないゆとりあるスペースを実現した。

エクステリアは、遠くからも近くからも、100%アルピーヌのDNAが感じられるデザインを目指しており、ヘルメットバイザー型リヤウインドウとコンパクトなガラス面がスポーティで引き締まったフォルムをかたち作っている。

フロントバンパーはアルプスの山々からインスピレーションを得た三角形状。フロントセクションには“コズミックダスト”とネーミングされた、彗星をイメージするデイタイムランニングライトが配置された。リヤセクションには「Alpine」ロゴをセンターに配置し、まるでボディを切り裂くようなライトバーがシャープにレイアウトされる。

17度のルーフアングル、リヤホイールフラップ、LMDhプロトタイプレーシングカーからインスパイアされたリヤディフューザーなど、航続距離に直結するエアロダイナミクスを徹底的に追求。リヤウインドウ下部に組み込まれたブラックのスポイラーが、このスポーツファストバックの空力システムを控えめに完成させている。

ボディカラーは、ノワール・プロフォン、ブルー・アビス、ブルー・アルピーヌ・ヴィジョン、アルジェント・メルキュール、ブラン・トパーズ、グリ・トネール・マットの6色をラインナップ。ルーフはボディ同色かブラックからチョイスが可能となっている。足元には、耐久レースからインスパイアされた専用の20インチエアロダイナミッククリスタルホイールを標準装着。オプションで21インチアルピーヌスノーフレークスタイルホイールを選ぶことも可能だ。

パフォーマンスターゲットは「A110」

フル電動クロスオーバー「アルピーヌ A390」の走行シーン。
フル電動クロスオーバーのA390だが、スポーツモデルのA110 Rに匹敵するパフォーマンスを実現した。

パワートレインは、ルノーグループが開発したEV専用プラットフォーム「AmpR ミディアム」をベースに、アルピーヌが独自の味付けを施した。バッテリーをフロアに備えた低重心設計に加え、フロント49%、リヤ51%という理想的な重量配分を実現。バランスのとれた、アルピーヌらしい遊び心のあるハンドリングを提供する。

フランス国内で製造されたアルミニウム製シャシーには、フロントに1基、リヤアクスルに2基の電気モーターを搭載。3モーター式全輪駆動により、あらゆるコンディションにおいて最高レベルのトラクションを発揮する。ハイパフォーマンス仕様の「GTS」は最高システム出力470PS、最大トルク808Nmを発揮し、最高速は220km/h(リミッター)。0-100km/h加速はわずか3.9秒で、この加速力はA110 Rにも匹敵するという。

89kWhという余裕を持ったバッテリー容量により、最大航続距離は20インチホイール装着時で最大555km(WLTP、以下同)、21インチホイール装着時で最大520km。ヒートポンプはすべてのトリムレベルに標準装備され、室内温度を最適化し、航続距離の延伸をサポートする。

アルピーヌのプロダクト・パフォーマンス担当副社長を務めるソバニー・アンは、A390のパフォーマンスについて次ようにコメントした。

「私たちはA390のパフォーマンス面に関して非常に高いハードルを設定しました。エンジニアとテストドライバーは、この技術的な挑戦に応え、A110に匹敵する性能を達成しながら、十分な航続距離と快適性を備えた電動ファストバックを完成させました」

アルピーヌらしいレーシーな室内空間

フル電動クロスオーバー「アルピーヌ A390」のインテリア。
コクピットには12.3インチ&12インチの高解像度スクリーンを配置。ホールド性の高い、電動調整ヒーター付きアルピーヌ・スポーツシートが標準装備される。

コクピットは、12.3インチ&12インチの高解像度スクリーンがドライバーを取り囲む。フラットボトム形状のヒーテッド・スポーツステアリングホイールはブルー・ナッパレザー製。ステアリングを介して、ドライビングモード、ドライバーアシスタンス、電話、ボイスアシスタント、空調機能を調整できる。ステアリングには、F1グランプリからインスパイアされた2基の専用アルミニウムボタンが配置され、「ワンペダル」モードまでの回生レベルと、追い越し時などの「ブースト」モードをコントロールする。

センターコンソールはA110をイメージし、シートやトリムにはアルカンターラなどの素材が印象的に配置された。サポート性と快適性に優れた電動調整ヒーター付きアルピーヌ・スポーツシートは標準装備。シート上部にはアルピーヌの「A」ロゴが刺繍であしらわれた。最上級グレードには、ブルーとグレーのナッパレザーのサベルト製スポーツシートが装備され、オプションでリヤセクションにカーボンツイルか、フォージドカーボンのインサートが奢られる。

リヤシートはスポーツ走行時にも2名のパッセンジャーが快適なサポートを得られるよう十分なホールド性を確保。ラゲッジルームは通常時で532Lの広大な容量を誇り、オプションのダブルフロアを追加することで、様々な用途にも対応するという。

EV専用プラットフォーム「Amprミディアム」を採用した「アルピーヌ A390_β」のエクステリア。

“F1みたいな運転感覚?”アルピーヌのクロスオーバーEVコンセプト「A390_β」をワールドプレミア「2025年市販化予告」

10月14日から開幕するパリ・モーターショーを前に、アルピーヌはフル電動クロスオーバーコンセプト「A390_β」をワールドプレミアした。ルノー・グループが開発したEV専用プラットフォーム「Amprミディアム」を採用し、2025年に量産化される予定だ。