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バイクの法律三角停止板とは?
三角停止板(三角停止表示板)は、高速道路などを走行中に、事故や故障、ガス欠などのトラブルにより、路側帯にやむを得ず停車しなければならないときに、後方からの追突を防ぐために設置する表示板のことだ。

緊急停止時以外では使用する機会がないため、実際に使ったことがあるという人は少ないかもしれないが、4輪車の場合、車両への積載は必須だ。一方、4輪車ほど積載スペースがない2輪車では、そもそも三角停止板を常に積んでいるというライダーはさほど多くないだろう。
だが、実は、2輪車でも、緊急停止時などの際、車体後方に三角停止板を表示することは必要だ。もし、設置していないと「故障車両表示義務違反」にあたり、二輪車は違反点数1点と反則金6000円の罰則を科せられる。
ただし、表示義務は高速道路や自動車専用道路のみで一般道では不要。また、三角停止板を常に携帯する必要もない。あくまで、緊急停車時に必要なものなので、ツーリングなどで高速道路を走る予定があるときに携帯すればいいことになる。

バイクではどんなアイテムを使う?
さらに、三角停止板には、一定の基準もある。それは主に以下の通りだ。
【三角停止板の規定】
・正立正三角形の反射部があること
・200m離れた所からでも反射していることがわかること
・反射光の色は赤色であること
・道路上で垂直に立てることができること
4輪車に搭載しているものを見たことがある人なら分かる通り、形状は正三角形、後方車のヘッドライトなどで光る赤色の反射部があるものを指す。また、200m離れた所からでも反射していることが確認できることや、道路上で垂直に立てることができるといった条件を満たす必要がある。
ただし、一般に販売されている三角停止板は、折りたためるタイプでも、4輪用だとかなり大きい。バイクだと携帯しづらいサイズであることが一般的だ。
そこで、重宝するのが、一部のメーカーから販売されているバイク専用の三角停止板だ。たとえば、筆者が使っているのは、「エマーソン(Emerson)」というメーカーから出ている「バイク専用三角停止表示板 EM-359」だ。

このアイテムが便利なのは、コンパクトに折りたためることだ。収納時のサイズは、「幅234x奥行き110x高さ47(各mm)」で、使用時には「幅431x奥行き110x高さ425(各mm)」に広げることができる。これにより、先に述べた200m離れた所からでも反射していることが分かる大きさを確保。しかも、折りたたみ時は、バッグなどに収納しやすいサイズにすることを可能としている。

また、コンパクトな収納用のプラスチックケースも付いているから、持ち運びも便利。国家公安委員会認定品である証「TSマーク」も取得しているそうなので、後方車両からの被視認性など、性能面でも安心して使えるといえる。なお、筆者は、このアイテムをアマゾンで購入したが、価格(税込み)は1777円だった。

使用時は後方の安全を確認しつつセット
実際の使い方は、たとえば、高速道路でガス欠などになり緊急停車する際。まずは、ハザードランプかウインカーを点灯させ、路側帯の安全な場所にバイクを移動させて停車させる。
停車後は、身の安全を第一に考えて行動したい。とくに、後続車からの追突される危険が大きいため注意が必要だ。まずは、すみやかにガードレールの外など安全な場所に避難する。
そして、バッグなど収納場所から三角停止板をとりだして、正三角形に広げる。その後、後方から車両が来ていないことを確認しつつ、バイクの後方に三角停止板をセットする。なお、紹介した「EM-359」の場合は、バイクの後輪などに付属のロープとベルトで固定するタイプ。筆者の愛車ホンダ「CBR650R」なら、そのまま後輪にセットできたが、リアフェンダーが低い車両では、後輪に固定できないタイプもある。その場合は、リアフェンダーより後ろ側に設置して、ベルトはリアフェンダーやナンバー部に巻き付けるといいようだ。

三角表示板を設置したら、再びガードレールの外へ避難。その後、JAFや任意保険に付帯されたロードサービスを呼ぶ。携帯電話で直接電話するか、本線上に1kmごとにある非常電話から道路管制センターにつながるので、救援を要請してもらうようにしたい。
なお、4輪車の場合は、「発煙筒」も搭載が義務化されており、緊急停止する際は使用が必須。だが、2輪車では不要なので、発煙筒までは使う必要はない。
最も安全なのは故障やガス欠などのトラブル回避
このように、もし高速道路で緊急停止する場合は、バイクでも三角停止板を表示する必要がある。そのため、まさかのときに備え、高速道路や自動車専用道路を走る際には携帯するようにしたい。
ただし、その前に、できるだけ故障やガス欠などのトラブルが起こらないようにすることも大切だ。ガソリンなど燃料の量はもちろん、タイヤの空気圧なども事前にチェックしたい。また、ツーリング時などには時間に余裕のあるスケジュールを立てることで、心や体に余裕を持たせ、できるだけ不慮の事故に遭わないようにすることも必要だろう。

あくまでも三角停止板は、もしものときの備え。使わないで済むのなら、その方がいいに決まっているのだ。
